非課税不課税違い|消費税課税要件と仕入税額控除の仕組み

非課税不課税違い|消費税課税要件と仕入税額控除の仕組み

非課税不課税違い

非課税取引を不課税として処理すると課税売上割合の計算から除外されます。


参考)税区分の「対象外(不課税)」と「非課税」の違いを教えてくださ…

この記事の3つのポイント
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不課税は消費税の対象外

給与や寄附金など、そもそも消費税の課税要件を満たさない取引です。課税売上割合の計算で分母にも分子にも入りません

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非課税は社会政策的配慮

土地や有価証券、社会保険医療など、本来は課税対象だが法律で非課税とされています。課税売上割合の分母にのみ算入されます

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仕入税額控除への影響が異なる

非課税売上対応の仕入は原則控除不可ですが、不課税取引は課税売上割合の計算対象外となるため影響の出方が変わります

非課税取引の消費税課税要件と仕組み


非課税取引は、消費税の4要件(国内取引、事業者による取引、事業としての取引、対価を得て行う資産の譲渡等)をすべて満たしているにもかかわらず、社会政策的配慮や課税になじまない性質から消費税を課さないこととされた取引です。土地の譲渡や貸付け、有価証券の譲渡、預貯金の利子、社会保険医療の給付などが該当します。


参考)No.6209 非課税と不課税の違い|国税庁


非課税取引は課税売上割合の計算上、分母(総売上高)にのみ算入され、分子(課税売上高)には含まれません。このため非課税売上が多い事業者は課税売上割合が低下し、一括比例配分方式を採用している場合には仕入税額控除額が減少します。


参考)消費税の非課税取引とは|免税取引との違いや不課税、対象につい…


非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入税額控除ができません。個別対応方式を採用している場合、非課税売上対応の課税仕入れは控除対象外となるため注意が必要です。


参考)課税売上も非課税売上も「ゼロ」の場合の仕入税額控除


不課税取引の判断基準と具体例

不課税取引は、消費税の4要件のいずれか1つでも欠ける取引です。そもそも消費税の課税対象外であり、消費税の計算・申告の対象になりません。給与や賃金は雇用契約に基づく労働の対価であり「事業として」の要件を満たさないため不課税です。


参考)消費税がかからない取引とは?非課税・不課税取引の具体例 | …


寄附金、祝金、見舞金、補助金などは「対価を得て行う」要件を満たさないため不課税となります。国や地方自治体からの給付金のような無償給付も同様です。国外取引は「国内取引」の要件を欠くため不課税に分類されます。


参考)非課税と不課税の違いをわかりやすく解説!具体例・一覧あり


不課税取引は課税売上割合の計算において、分母にも分子にも算入されません。このため不課税売上がいくらあっても課税売上割合には影響しません。つまり仕入税額控除の計算に直接的な影響を与えないということですね。

非課税不課税の仕入税額控除への影響

非課税取引は課税売上割合の分母に算入されるため、非課税売上が増えると課税売上割合が低下します。課税売上割合が95%未満または課税売上高が5億円超の事業者は、仕入税額控除を個別対応方式または一括比例配分方式で計算する必要があります。


一括比例配分方式では、仕入控除税額は「課税仕入等の消費税額×課税売上割合」で計算されます。非課税売上の増加により課税売上割合が下がれば、それだけ控除できる税額も減少します。課税売上が0円で非課税売上が10円の場合、課税売上割合は0%となり一括比例配分方式では全く控除できません。

個別対応方式を採用すれば、課税売上対応の仕入は課税売上割合に関係なく全額控除できます。非課税売上対応の仕入のみが控除不可となるため、適切な区分が重要です。不課税取引は課税売上割合の計算対象外のため、給与等の不課税支出が増えても仕入税額控除には影響しません。


参考)No.6205 非課税と免税の違い|国税庁


非課税不課税の区分を間違えた場合のリスク

非課税取引を不課税として処理すると、本来課税売上割合の分母に算入すべき金額が除外され、課税売上割合が実際より高く計算されてしまいます。この結果、一括比例配分方式では仕入税額控除を過大に計算し、消費税を過少申告することになります。


税務調査で区分の誤りが発覚すれば、過少申告加算税や延滞税が課されます。過少申告加算税は追加本税の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)です。延滞税は年率2.4%~8.7%程度で、納付期限の翌日から完納日まで日割り計算されます。


参考)税務調査で脱税がバレるきっかけは?発覚時のリスクも解説

仮装・隠蔽など不正行為があったと認定されれば、重加算税35%(無申告の場合は40%)が課される可能性もあります。悪質なケースでは刑事罰の対象となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科されることがあります。つまり単純な処理ミスでも、金銭的・社会的リスクが大きいということですね。

区分ミスを早期に発見した場合は、税務調査前に自主的に修正申告を行うことで、過少申告加算税が軽減または免除されます。帳簿や証憑書類を適切に保存し、定期的に税区分の妥当性をチェックする体制が重要です。

非課税取引の実務上の注意点と判断基準

土地の譲渡・貸付けは原則非課税ですが、1カ月未満の貸付けや駐車場などの施設利用を伴う場合は課税対象となります。駐車場は土地の貸付けではなく「施設の利用」とみなされるため、青空駐車場でも課税です。


参考)新着情報


社会保険医療の給付は非課税ですが、美容整形や差額ベッド代、市販医薬品の購入は課税対象です。健康保険が適用されるかどうかが判断の分かれ目となります。介護保険サービスも保険給付対象なら非課税ですが、利用者が選択する特別な居室提供や送迎は課税です。


住宅の貸付けは契約で居住用と明示されていれば非課税ですが、1カ月未満の短期貸付けは課税となります。ウィークリーマンションは1カ月未満なので課税対象ですね。商品券やプリペイドカードの譲渡は非課税ですが、それらを使って商品を購入する際は消費税を支払います。

登記、許可、検査など国が行う一定の事務手数料は非課税ですが、国からの補助金は対価性がないため不課税です。同じ行政関連でも取引の性質により区分が変わるため、個々の取引内容を慎重に判断する必要があります。


参考)税区分とは?会計ソフトで迷わない!初心者でも0からわかる選び…


国税庁タックスアンサーで最新の取扱いを確認できます
No.6201 非課税となる取引|国税庁

非課税不課税と免税の違いと仕入税額控除

免税取引は輸出や国際輸送など、国内で消費されない取引に対して消費税を免除する制度です。課税対象の取引であることは変わりませんが、税率が0%になるイメージです。免税取引のために行った課税仕入れについては、仕入税額控除が可能です。


参考)非課税と不課税と免税。何が違うの?<3分で読める税金の話>|…


非課税取引は課税売上割合の分母に算入されますが、免税取引は分子(課税売上高)にも分母(総売上高)にも算入されます。このため輸出事業者は課税売上割合が100%近くになり、ほぼ全額の仕入税額控除を受けられます。

非課税と免税の最大の違いは、仕入税額控除ができるかどうかです。土地の売却は非課税なので、その土地の整地費用等の仕入税額は控除できません。一方、輸出は免税なので、輸出商品の仕入れに係る消費税は全額控除できます。

免税事業者(課税売上高1,000万円以下の小規模事業者)も消費税の納税義務が免除されますが、これは免税取引とは別の概念です。免税事業者は仕入税額控除の計算そのものを行いませんが、免税取引を行う課税事業者は仕入税額控除を受けられます。制度の趣旨が異なるので混同しないようにしましょう。


参考)非課税・不課税・免税・課税の違いを徹底解説!


消費税法の基礎知識については国税庁の解説が参考になります
No.6205 非課税と免税の違い|国税庁




実務でみかける 消費税の誤りやすい処理