

仕入れた材料は全額経費にならない
ハンドメイド作品を制作販売する場合、材料費の勘定科目は「仕入高」または「消耗品費」を使用します。具体的には、アクセサリーに使用する天然石や金具、布小物に使用する糸やファスナーなどメインの材料は「仕入高」として計上し、細かいパーツやミシン糸、接着剤などの少額で消耗性の高い備品は「消耗品費」で処理します。
参考)ハンドメイド作家の確定申告はいくらから?やり方や経費計上でき…
この区分は必ずしも厳密である必要はなく、あなたが管理しやすい方法で一貫性を持たせることが重要です。
ただし、税務上重要なのは「買ったときに全額経費になる」のではなく、「作品に使ったときに、使った分が経費になる」という点です。つまり仕入れた材料の未使用分は在庫として処理する必要があります。年末の棚卸で残りの材料を在庫として処理し、使った分だけを経費にするのが原則です。
在庫管理をしないと経費が過大計上されるリスクがあります。
ハンドメイド作家が確定申告で経費として計上できる主な項目は、売上を得るために直接必要な支出です。全額経費にできるものには、材料費・生地代・工具・道具・機械代・製作の勉強用の書籍代・イベント展示用の備品・販売手数料・送料・出店料・振込手数料・交通費(イベント出店、材料調達など)があります。
一方、一部を経費にできるものとして、パソコン代・スマホ代・家賃・通信費・電気代などがあります。これらはプライベートでも使用するため「家事按分」が必要です。
参考)知らなきゃ損!ハンドメイドの確定申告で経費にできるもの【ネッ…
試作品や失敗作に使用した材料費も経費として認められます。これは実際に販売できなくても、事業活動の一環として発生した必要経費とみなされるためです。
参考)https://www.nihonsupport.org/syugeishikaku/syugei/syugei-column06/
具体的な按分割合は使用頻度や面積によって合理的に決めます。
参考)ハンドメイド作家のため会計・経理・確定申告サポート
自宅でハンドメイド制作を行っている場合、家賃や光熱費、通信費の一部を「家事按分」として経費計上できます。家事按分とは、プライベートと事業で共用している費用を合理的な割合で分ける処理です。
参考)ハンドメイド作家の確定申告ガイド!税負担を抑えるポイントも紹…
家賃の按分割合は、ハンドメイドの制作・販売・梱包作業などで使用しているスペースの面積割合で決めます。例えば1LDKの賃貸住宅で約40%の面積をハンドメイド事業として使用している場合、家事按分の割合も40%とします。家賃が10万円であれば、40%分の4万円が経費です。
参考)ハンドメイド作家が確定申告で家賃を経費にするには?~家事按分…
通信費については、インターネット回線の使用時間のうち制作活動に使用した割合を合理的に計算して経費計上します。スマホ代も同様に、事業利用分を按分して経費にできます。
按分割合は合理的な根拠があれば問題ありません。
年末時点で販売されず在庫として残っている材料については、「棚卸資産」として資産計上され、その年の経費にはなりません。
これは税務上の重要なルールです。
仕入れた材料の全額を経費として計上してしまうと、税務署から指摘を受ける可能性があります。
参考)個人事業主の仕入れと経費を解説|違い・仕訳・確定申告の方法
棚卸の具体的な手順は、期末に残っている材料と製品の在庫を実際に数え、その金額を計算することです。製造販売を行うハンドメイド作家の場合、材料だけでなく半製品や仕掛品も在庫に含まれます。
参考)確定申告の損益計算書の⑦(①-⑥)がマイナスに、、、 - 相…
在庫管理表を継続的に更新しておくと、棚卸作業がスムーズになります。前期の制作・販売管理表を引き続き更新し続け、在庫のあるものだけを抜き出して棚卸表にまとめる方法が効率的です。
参考)ハンドメイドの確定申告2019 とりあえず棚卸やってみた
小規模事業者の場合、おおまかに在庫が把握できれば実務上は問題ありません。
ハンドメイド作家向けの経費管理ツールとして、スマホアプリやスプレッドシートが活用できます。「Sellerbook」は売上・在庫の一元管理、利益率の自動計算、グラフでの視覚化が可能で、ベーシックプランは無料です。プレミアムプランは月額480円で、多機能な包括的管理ができます。
参考)【テンプレ有】仕入れ・売上管理が簡単!ハンドメイドアクセサリ…
「サッカノカンリ」は材料と販売価格の一元管理に特化し、シンプルなUI設計で初心者に優しい操作性が特徴です。コスト分析機能やリマインダー機能もあり、適正価格設定のサポートになります。
仕入れ管理を行うことでコスト削減につながり、利益率を向上させることが可能です。計画的にまとめ買いを行うことで材料費の割引を受けられ、必要以上に仕入れないことで無駄な支出を抑えられます。
スプレッドシートの無料テンプレートも活用できます。
ハンドメイド作家の確定申告について、やり方や経費計上の詳細が解説されています
ハンドメイド作家が見落としがちな経費として、作品撮影のためのカメラマン代があります。プロに依頼した場合の費用は全額経費として計上できます。製作環境に関わる費用として、収納や作業台なども経費になります。
イベント出展時の交通費や宿泊費は「旅費交通費」として計上可能です。また、技法書や専門雑誌、参考書など事業に関係する書籍の購入費は「新聞図書費」として経費計上できます。
参考)ハンドメイド材料費の勘定科目選び方と注意点を徹底解説 - 株…
電気炉で作品を作っている場合や染物で水を大量に使う場合、水道光熱費の一部も経費になります。電気代は消費電力と使用時間で計算して按分します。
参考)ハンドメイドの必要経費がわかるようでわからない。仕訳け方を実…
ラッピング材料のOPP袋や台紙、包装紙も「消耗品費」として計上できます。
これらの項目を漏れなく計上することで、適正な節税ができます。
税務担当者として把握しておくべき重要な点は、ハンドメイド作家の材料費計上における「全額経費計上」と「製品単位の経費計上」の違いです。全額経費計上は材料を仕入れた段階で全額を経費として計上する方法ですが、材料の在庫管理が的確にできていないと経費が正しく計上されない可能性があります。
製品単位の経費計上は、製品1つ当たりの材料費を計算して計上する方法です。この方法は手間がかかりますが、より正確な原価管理ができます。
会社員として働きながらハンドメイド作品を販売している場合、年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。例えば年間売上が100万円で材料費や販売経費が70万円なら所得は30万円となり、申告が必要になります。
所得は20万円を超えると申告義務が生じます。
家賃全額を経費にしてしまうと、税務署から申告漏れを指摘されるリスクがあります。家事按分の割合は合理的な根拠に基づいて計算し、説明できるようにしておくことが重要です。メガネなど仕事以外でも使う生活必需品は、基本的に経費にできません。
参考)個人事業主が迷う「どこまで経費?」よくあるQ&Aをもとに解説…
人件費については、個人事業主の場合は自分の給与を経費として計上することはできません。
これは税務上の基本ルールです。
ハンドメイド作家の確定申告と経費計上について、税理士による詳しい解説があります