

利用者識別番号を複数回取得すると、古い番号のメッセージボックスが永久に見られなくなります。
利用者識別番号とは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用するための専用ID番号です。国税庁が発行する半角16桁の数字で構成されており、各個人・法人に対して固有の1つの番号が割り当てられます。
この番号はe-Taxにログインする際の「住所」のような役割を果たし、申告・申請・納税証明書の請求など、国税に関するあらゆる電子手続きで共通して使われます。つまり、e-Taxを利用するすべての起点となる番号です。
よく混同されるのが「マイナンバー(個人番号)」との違いです。マイナンバーは行政全体で使う12桁の番号で、e-Taxのログイン認証に利用されます。一方、利用者識別番号はe-Taxシステム内でのみ使われる16桁のIDであり、目的が全く異なります。また「納税用確認番号」という6桁の番号もありますが、こちらはATMやインターネットバンキングで電子納税をする際に使う別物です。
| 番号の種類 | 桁数 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 利用者識別番号 | 16桁 | e-Taxへのログイン・申告・申請 |
| マイナンバー(個人番号) | 12桁 | 行政手続き全般・e-Taxの本人認証 |
| 納税用確認番号 | 6桁 | ATM・ネットバンキングでの電子納税 |
一度取得すれば、引越しなどで納税地が変わっても番号は変わりません。年度をまたいでも同一の番号を使い続けられる点は大きなメリットです。なお、利用者識別番号の取得・維持には費用は一切かかりません。無料です。
参考:e-Taxの利用者識別番号の概要(国税庁公式)
【e-Tax】国税電子申告・納税システム「ご利用の流れ」|国税庁
利用者識別番号の取得方法は大きく3つに分かれます。現在の状況や手持ちの環境に合わせて選ぶことが重要です。
① マイナンバーカード方式(オンライン)
最もスピーディーな方法です。マイナンバーカードと、それを読み取れるスマートフォン(またはICカードリーダライタ)があれば、自宅から数分で手続きが完了します。
オンラインで送信した場合は即時発行される点が大きな強みです。番号は画面上に表示されるので、必ずスクリーンショットか印刷で手元に控えておきましょう。
② ID・パスワード方式(税務署窓口)— ※2025年10月以降は新規取得不可
かつてはマイナンバーカードがなくても、税務署の窓口で本人確認を受けることでIDとパスワードを発行してもらい、e-Taxを利用できました。しかし、2025年(令和7年)10月1日からID・パスワード方式の新規発行は停止されています。
すでに取得済みの方は引き続き使えますが、これから取得する方はマイナンバーカード方式一択となります。マイナンバーカードをまだ持っていない方は、まず市区町村窓口でカードを申請するところから始める必要があります。
③ 書面(郵送または税務署持参)
「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を国税庁ホームページからダウンロードして記入し、管轄の税務署に郵送または持参する方法です。後日、税務署から利用者識別番号が記載された通知書が郵送されてきます。書面申請の場合は、通知が届くまでに数日〜1週間程度かかることがあります。時間に余裕をもって手続きすることが条件です。
| 取得方法 | 所要時間の目安 | マイナンバーカードの要否 | 2026年現在の利用可否 |
|---|---|---|---|
| オンライン(マイナンバーカード方式) | 即時(数分) | 必要 | ✅ 可能 |
| 税務署窓口(ID・パスワード方式) | 当日 | 不要(本人確認書類が必要) | ❌ 新規停止 |
| 書面(郵送・持参) | 数日〜1週間 | 不要 | ✅ 可能 |
今後はマイナンバーカード方式が唯一のオンライン取得手段となります。まだマイナンバーカードを持っていない方は早めの取得を強くお勧めします。
参考:ID・パスワード方式の新規停止について(e-Tax公式)
e-Taxの「ID・パスワード方式」とは何かを知りたい|国税庁
利用者識別番号を取得してe-Taxで電子申告することには、金銭的なメリットがあります。それが青色申告特別控除の最大65万円適用です。
青色申告特別控除は、フリーランスや個人事業主が所得から控除できる制度です。書面で申告した場合の上限は55万円ですが、e-Taxによる電子申告を行った場合は最大65万円になります。つまり、利用者識別番号を取得してe-Taxで申告するだけで、書面申告と比べて控除額が最大10万円多くなるということです。
具体的にどれくらい節税になるかをイメージしてみましょう。所得税率が20%の場合、10万円の控除額の差は2万円の節税に相当します。住民税(税率10%)でも1万円の節税が生まれるため、合計で年間3万円前後の節税効果が期待できます。
また、e-Taxで申告すると還付金の振り込みが書面申告より早くなります。書面申告では還付まで約1ヶ月〜1ヶ月半かかることがありますが、e-Taxを利用すれば目安として2〜3週間程度に短縮されます。これは使えそうです。
さらに、e-Taxの利用者識別番号があると、還付金の処理状況をオンラインで自分で確認できます。税務署に電話して問い合わせる手間が省ける点も見逃せないメリットです。
青色申告65万円控除を適用するには、複式簿記での記帳と確定申告書への貸借対照表・損益計算書の添付も必要です。会計ソフトの活用が前提となる場面も多いため、freeeやマネーフォワード クラウド確定申告のようなe-Tax連携対応のクラウド会計ソフトを同時に導入するとスムーズです。
参考:青色申告65万円控除の要件(国税庁)
65万円の青色申告特別控除|国税庁(PDF)
「過去に取得したはずだけど番号が見当たらない」という状況は珍しくありません。焦る必要はありません。まずは以下の手順で確認してみましょう。
【確認方法①】過去の書類から探す
利用者識別番号は、以下の書類に記載されている可能性があります。
【確認方法②】e-Taxのマイページで確認する(マイナンバーカードが必要)
マイナンバーカードを持っている方は、番号が分からなくてもマイナンバーカードでe-Taxにログインできます。ログイン後に「マイページ」→「基本情報」を開くと、利用者識別番号が表示されます。パスワードを忘れた場合もここから再設定が可能です。
【確認方法③】変更等届出で再通知を受ける
どうしても番号が確認できない場合は、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を税務署に提出して再通知を受ける手続きをとります。この場合の注意点が重要です。
❗ 「変更等届出」であって「新規取得」ではないという点を必ず守ってください。誤って新規で利用者識別番号を取得してしまうと、古い番号に紐づいていたメッセージボックスのデータが永久に確認できなくなります。過去の還付通知や税務署からの通知が消えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
変更等届出は、e-Tax上でオンライン作成・送信することも、書面で税務署に持参・郵送することも可能です。オンラインでの送信なら即時で番号が再通知されます。
参考:利用者識別番号の確認・再発行(e-Tax公式)
利用者識別番号を忘れた(取得したかどうか分からない)場合|e-Tax 国税庁
e-Taxを使い始める人が実際によくやってしまうミスが「二重取得」です。利用者識別番号を複数回取得するという行為は、気づかないうちに起こりやすいトラブルです。
例えば、「去年使ったIDが見当たらないから新規で取り直した」という経験はないでしょうか。これが二重取得にあたります。この場合、新しく取得した番号が有効になる代わりに、古い番号は自動的に廃止されます。問題なのは、廃止された古い番号に紐づいたメッセージボックスの内容が、以後一切確認できなくなる点です。
メッセージボックスには、税務署からの還付通知・申告受付結果・調査に関するお知らせなど、税務上重要な情報が蓄積されています。古い番号が廃止されると、これらの履歴へのアクセスが完全に失われます。過去数年分の申告受付記録が確認できなくなると、税理士や金融機関への説明が必要な場面で困ることがあります。
二重取得を防ぐための手順として重要なのは、番号を忘れたときに「まず確認してから動く」という順番を守ることです。マイナンバーカードがあればマイページで確認し、それでも見つからない場合に限り「変更等届出」の手続きを選ぶ。これが原則です。
なお、万が一二重取得してしまった場合は、e-Tax公式のFAQに対処法が記載されています。マイナンバーカード方式での二重取得の場合は、マイナポータルとのe-Tax連携を一度解除してから、最新の利用者識別番号で再連携する手順で対応できます。
| 状況 | 対応方法 |
|---|---|
| 番号を忘れた(マイナンバーカードあり) | e-Taxマイページの「基本情報」で確認 |
| 番号を忘れた(マイナンバーカードなし) | 過去の書類を確認→変更等届出で再通知 |
| 誤って二重取得してしまった | 最新番号で再ログイン・連携し直す(旧番号は復元不可) |
| 取りやめ届出を出した後に再利用したい | 改めて開始届出書を提出して新規取得 |
参考:二重取得の対処法(e-Tax公式)
e-Taxの利用者識別番号を複数(二重に)取得してしまった場合の対応|国税庁