第一号被保険者の保険料徴収の仕組みと注意点

第一号被保険者の保険料徴収の仕組みと注意点

第一号被保険者の保険料、徴収方法と知らないと損するポイント

介護保険料の年金天引きは、自分で「普通徴収に切り替えたい」と申し出てもできません。


📋 この記事の3つのポイント
💰
徴収方法は自動で決まる

第一号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、年金年額18万円以上なら自動的に年金天引き(特別徴収)となり、本人の希望で変更することはできません。

⚠️
滞納すると介護サービスが使えなくなる

保険料を2年以上滞納すると、介護サービスの自己負担が1割から3割に引き上げられ、高額介護サービス費の払い戻しも受けられなくなります。

前納制度で年間最大約1.7万円節約できる

国民年金第一号被保険者は2年前納(口座振替)を使うと、毎月払いと比べて約17,370円の割引が受けられます。知らないだけで損している人が多い制度です。


第一号被保険者の保険料とは何か:介護保険と国民年金の2種類を押さえる

第一号被保険者の保険料」と聞いたとき、多くの人が介護保険だけをイメージしますが、実は2つの制度が関係しています。一つは介護保険、もう一つは国民年金です。この2つは対象年齢も徴収の仕組みも異なるため、それぞれ正確に理解することが大切です。


介護保険の第一号被保険者とは、65歳以上のすべての人を指します。住んでいる市区町村(保険者)が直接保険料を徴収し、その金額は市区町村ごとに3年ごとに設定される「基準額」に、所得段階別の乗率をかけて算出されます。2024〜2026年度(第9期)の全国平均は月額約6,000円前後で、自治体によって大きく異なります。所得段階は標準で9段階ですが、2024年度からは最大16段階まで細分化した自治体も増えています。


国民年金の第一号被保険者は、20歳以上60歳未満の自営業者・フリーランス・学生・無職の方などが対象です。月額保険料は2025年度で17,510円、2026年度からは17,920円に引き上げが予定されています(令和8年度)。会社員や公務員(第二号被保険者)と異なり、保険料は全額自己負担です。


つまり基本は2種類です。この記事では主に65歳以上の方に直結する介護保険の第一号被保険者の保険料徴収を中心に、国民年金の重要ポイントも合わせて解説します。


| 区分 | 対象者 | 保険者・徴収主体 | 保険料の目安(月額) |
|------|--------|----------------|-----------------|
| 介護保険 第一号被保険者 | 65歳以上 | 市区町村 | 約5,000〜8,000円(所得・自治体により異なる) |
| 国民年金 第一号被保険者 | 20〜60歳未満の自営業者等 | 日本年金機構 | 17,510円(2025年度)→17,920円(2026年度) |


日本年金機構:第1号被保険者の定義と保険料の概要(公式)


第一号被保険者の保険料、特別徴収と普通徴収の違いと仕組み

介護保険の第一号被保険者の保険料には、「特別徴収」と「普通徴収」という2種類の納付方法があります。どちらが適用されるかは、自分では選べません。条件によって自動的に決まる仕組みです。


特別徴収とは、年金からの天引きのことです。老齢年金遺族年金障害年金の受給額が年額18万円以上(月額1万5千円以上)の方が対象となります。年金保険者(日本年金機構など)が年金支払いの際に保険料を差し引き、市区町村に納付します。年6回の年金支給に合わせて2か月ごとに徴収されます。


普通徴収は、市区町村から送付される納付書で直接支払う、または口座振替で支払う方法です。年金年額が18万円未満の方、65歳になった年度の途中から対象になった方、転入直後の方などが対象となります。


ここで多くの人が誤解しているポイントがあります。「特別徴収(年金天引き)は面倒なので普通徴収(納付書払い)に変えたい」と思っても、介護保険料については法律上、被保険者の希望で徴収方法を変更することは一切できません。後期高齢者医療保険料は口座振替への切り替えが認められているのとは異なり、介護保険料は制度上、選択の余地がない点を覚えておきましょう。


| 徴収方法 | 対象条件 | 納付のタイミング | 変更 |
|---------|---------|----------------|------|
| 特別徴収(年金天引き) | 年金年額18万円以上 | 年6回(偶数月)に年金から自動差引き | 不可 |
| 普通徴収(納付書・口座振替) | 年金年額18万円未満など | 市区町村が定めた各期の納期限まで | 不可(条件で自動決定) |


変更はできない、が原則です。


なお、65歳になって初めて第一号被保険者になった年度は、前半期は普通徴収となり、翌年度から特別徴収に切り替わるのが一般的です。この移行期に気づかず未払いになるケースが後を絶ちません。65歳の誕生日を迎えたら、市区町村からの郵便物を注意深く確認する習慣をつけておくことが重要です。


厚生労働省:介護・国保・後期高齢における保険料の特別徴収について(PDF)


第一号被保険者の保険料、所得段階別の計算方法と平均額

介護保険の第一号被保険者の保険料は、全員が同じ金額ではありません。所得に応じて段階的に設定されており、低所得者ほど負担が軽くなる構造になっています。


計算の基本は「基準額×所得段階別乗率」です。基準額は市区町村が3年ごとに条例で定め、そこに所得段階に応じた係数をかけることで実際の保険料が算出されます。2024〜2026年度(第9期)から、国が定める標準段階が従来の9段階から13段階に拡充され、さらに市区町村が独自に最大16段階まで設定できるようになりました。


例えば標準的な第5段階(課税世帯で合計所得120万円未満)は乗率が1.0で、基準額そのものが保険料となります。東京都町田市の場合、2024年度の基準額は月額5,750円(年額69,000円)です。一方、生活保護受給者や住民税非課税世帯の方は第1段階(乗率0.285相当)となり、大幅に軽減されます。


| 所得段階(標準) | 対象のイメージ | 乗率 |
|--------------|-------------|------|
| 第1段階 | 生活保護受給者・住民税非課税かつ年金等収入80万円以下 | 0.285 |
| 第3段階 | 住民税非課税かつ年金等収入120万円超 | 0.685 |
| 第5段階(基準) | 住民税課税・合計所得120万円未満 | 1.0 |
| 第9段階 | 住民税課税・合計所得320万円以上 | 1.7 |
| 第13段階(最高) | 合計所得1,000万円以上など(市区町村による) | 2.4程度 |


これは使えそうです。所得が低い時期には必ず段階確認を行い、適切な段階が適用されているかをチェックすることが節約につながります。


なお、保険料の決定通知書は毎年7月ごろ郵送されます。前年の所得が反映されるため、退職や収入が大きく変わった年の翌年には段階が下がる可能性があります。更新時期に通知書を必ず確認することが、適切な保険料を把握するうえで基本です。


知るぽると(金融広報中央委員会):介護保険の仕組みと第1号被保険者の保険料設定


第一号被保険者の保険料、滞納が招く給付制限と差し押さえのリスク

保険料を払えない状態が続いた場合、介護保険では段階的なペナルティが科されます。これを知らないままでいると、いざ介護が必要になった時に深刻な経済的打撃を受ける可能性があります。


滞納が始まると、まず督促状が納付期限から20日以内に届きます。督促手数料(70〜100円程度)と延滞金も加算されます。痛いところですね。


滞納が1年〜1年6か月続くと、介護サービスを利用した際の費用が「一時全額自己負担」になります。通常は1〜3割の自己負担で済むところ、いったん10割(全額)を支払わなければなりません。返還申請をすれば9割が戻ってきますが、手続きの手間が発生します。


滞納が1年6か月〜2年に及ぶと、給付が一時差し止めになります。全額を支払っても、差し止められた給付金は滞納保険料の充当に使われてしまい、9割の払い戻しが受けられなくなります。


滞納が2年以上になると、介護サービスの自己負担が恒久的に1割から3割に引き上げられます。また、2年を超えると時効によって保険料を払えなくなるため、未納が確定し、その期間の給付制限が解除されることもありません。高額介護サービス費(1か月の自己負担が一定額を超えた場合の払い戻し制度)も使えなくなります。


さらに最終手段として、市区町村による財産の差し押さえが行われます。厚生労働省の調査では、2019年度に差し押さえを受けた65歳以上の高齢者が過去最多の2万1,578人を記録しました。預貯金・不動産・動産などが対象になります。


滞納が起きた場合は早急に市区町村の介護保険窓口に相談し、分割納付や減免の申請を行うことが唯一の対策です。「あとで払えばいい」と放置するのが最も危険な行動です。


朝日生命:介護保険の給付制限とは?滞納時の措置と対処法


国民年金第一号被保険者の保険料、前納割引と免除制度で賢く節約する独自視点

国民年金の第一号被保険者には、多くの人が見落としがちな「節約と保護の両方」に使える制度が2つあります。前納割引制度と免除・猶予制度です。この2つを知っているかどうかで、数万円単位の差が生まれます。


前納割引制度は、保険料をまとめて前払いすることで割引を受けられる仕組みです。2026年度(令和8年度)の具体的な割引額は以下のとおりです。


| 前納方法 | 割引額(2026年度) |
|---------|-----------------|
| 口座振替・2年前納 | 約17,370円割引 |
| クレジットカード・2年前納 | 約16,010円割引 |
| 口座振替・1年前納 | 約4,360円割引 |
| 現金・6か月前納 | 約830円割引 |


2年前納(口座振替)で約17,370円の節約は、ちょうど国民年金1か月分に相当します。月々払い続ける方法と比べると、2年間でほぼ「1か月分タダ」と同じ効果です。


ただし注意点があります。2年前納は毎年2月末が申し込み期限で、4月初旬から引き落としが始まります。期限を逃すと翌年度まで待たなければなりません。確認する時期は毎年1〜2月です。


免除・猶予制度は、収入が減少した際にフル活用すべき制度です。申請は「申請時点から最大2年1か月前まで遡ってできる」という点が見落とされがちです。例えば廃業・失業・育休中などで収入が下がった場合、すぐに申請しなかったとしても、一定期間内であれば過去分にさかのぼって免除が認められます。


免除を受けた期間は年金受給額の計算に部分的に算入されます。全額免除の場合は通常の1/2が反映されます。一方、申請せず未納のままにしておくと、年金額への反映がゼロになるだけでなく、受給資格期間にもカウントされません。つまり免除申請さえすれば、保険料を払わなくても最低限の保障を受け続けられます。


また、見逃せない点として、世帯主と配偶者にも連帯納付義務があるという事実があります。第一号被保険者本人が保険料を滞納した場合、日本年金機構は世帯主や配偶者にも督促状を送付し、強制徴収の対象にすることができます。子どもが独立せずに同じ世帯に住んでいる場合、子の保険料未納が親(世帯主)の財産差し押さえにつながるケースも実際に起きています。この連帯義務は「事実上の婚姻関係」にある配偶者にも適用されます。


まず前納申し込みの期限(毎年2月末)だけ手帳にメモしておくと、来年から確実に節約できます。


日本年金機構:国民年金保険料の2年前納制度(割引額の詳細)


日本年金機構:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(申請方法)