贈与税の税率一覧と計算方法・節税のポイント完全解説

贈与税の税率一覧と計算方法・節税のポイント完全解説

贈与税の税率一覧と基礎知識・計算方法・節税特例

毎年110万円ずつ贈与しても、やり方次第で全額に課税される場合があります。


この記事の3つのポイント
📊
税率は「誰から誰へ」で変わる

贈与税の税率は一般税率と特例税率の2種類。親から18歳以上の子への贈与なら特例税率(軽減税率)が適用され、同じ金額でも税額が大きく異なります。

⚠️
毎年110万円贈与は「定期贈与」と見なされるリスクあり

同じ金額・同じ時期の繰り返し贈与は「定期贈与」と判断され、複数年分を一括課税されるリスクがあります。やり方の工夫が必要です。

💡
2024年改正で生前贈与の持ち戻し期間が延長

相続開始前の生前贈与の持ち戻し期間が3年から最長7年へ段階的に拡大。2031年以降は7年分が相続財産に加算されます。早めの対策が重要です。


贈与税の税率一覧|一般税率と特例税率の速算表


贈与税の税率は、一律ではありません。「誰から誰へ渡す贈与か」によって、適用される税率表が2種類に分かれます。平成27年(2015年)1月1日以降、贈与財産は「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区別され、それぞれ異なる速算表を使って税額を計算します。これが基本です。


一般贈与財産とは、直系尊属以外からの贈与、または直系尊属からでも受贈者が未成年の場合に適用されます。具体的には、夫婦間の贈与・兄弟間の贈与・義父母からの贈与などが該当します。一方、特例贈与財産とは、父母・祖父母などの直系尊属から、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子・孫への贈与に適用される軽減税率です。


以下の速算表を参照してください。いずれも「基礎控除後の課税価格(贈与額 − 110万円)」に当てはめて計算します。


🔵 一般贈与財産の税率表(一般税率)


| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |


🟢 特例贈与財産の税率表(特例税率)


| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | — |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |


(出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」)


両者を比べると、特例税率のほうが全体的に低く設定されています。たとえば課税価格が690万円(贈与800万円 − 110万円)の場合、一般税率では「40% − 125万円 = 151万円」の税額になりますが、特例税率を使うと「30% − 90万円 = 117万円」に収まります。差額は34万円です。


税率を選ぶ前に、贈与者と受贈者の関係・受贈者の年齢を確認することが条件です。


国税庁による速算表の公式ページです。税率・控除額を正確に確認できます。


国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」


贈与税の税率を使った計算方法と金額別早見表

速算表の使い方を具体的な数字で確認しましょう。計算式は次の通りです。


$$\text{贈与税額} = (\text{贈与額} - 110\text{万円}) \times \text{税率} - \text{控除額}$$


たとえば、父親(55歳)から25歳の息子へ500万円を贈与した場合を考えます。受贈者が18歳以上の成年で、父は直系尊属なので特例税率を使います。課税価格は「500万円 − 110万円 = 390万円」、特例税率の表では400万円以下のため税率15%・控除額10万円です。


$$\text{贈与税額} = 390\text{万円} \times 15\% - 10\text{万円} = 48.5\text{万円}$$


同じ500万円を夫婦間で贈与した場合は一般税率を使います。課税価格は同じく390万円ですが、一般税率では400万円以下で税率20%・控除額25万円です。


$$\text{贈与税額} = 390\text{万円} \times 20\% - 25\text{万円} = 53\text{万円}$$


関係が違うだけで4.5万円の差が生まれます。つまり税率の選択ミスは即、実際の支出に直結します。


💰 金額別の贈与税早見表(概算)


| 贈与額 | 特例税率での税額 | 一般税率での税額 |
|---|---|---|
| 200万円 | 9万円 | 9万円 |
| 300万円 | 19万円 | 19万円 |
| 500万円 | 48.5万円 | 53万円 |
| 800万円 | 117万円 | 151万円 |
| 1,000万円 | 177万円 | 231万円 |
| 1,500万円 | 366万円 | 470万円 |


※いずれも暦年課税・基礎控除110万円適用後の概算です。


高額な贈与になるほど、一般税率と特例税率の差が広がります。1,000万円では54万円、1,500万円では実に104万円の差になります。これは使えそうです。


複数の贈与者から同じ年に贈与を受けた場合(例:父から300万円+配偶者から100万円)は、一般財産と特例財産が混在するため、計算方法がやや複雑になります。その場合は、それぞれの割合に応じて按分計算を行う必要があります。こういったケースは税理士への確認が確実な方法です。


贈与税の税率が下がる相続時精算課税制度と2024年改正の注意点

もう一つの課税方式が「相続時精算課税制度」です。60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫に対する贈与が対象で、累計2,500万円までの贈与が非課税になります。超えた部分の税率は一律20%と、暦年課税の最高55%と比べてシンプルです。


ただし、この制度は「贈与税がゼロになる」わけではありません。相続が発生したとき、制度の選択後に贈与した財産の全額を相続財産合算して相続税を計算し直す仕組みです。つまり「贈与税の先送り」という性質を持ちます。


2024年1月1日以降の改正で、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。この110万円以下の部分については贈与税がかからず、相続財産への持ち戻しも不要です。これは大きな改善点です。


一方で、見落とされやすいデメリットもあります。


- 一度選択すると暦年課税に戻せない(取り消し不可)
- 贈与した土地に小規模宅地等の特例が使えない(場合によっては相続税が大幅に増える)
- 贈与財産の価値が値下がりしても、贈与時の評価額で相続税が計算される


特に小規模宅地等の特例は、自宅の土地なら最大80%の評価減が受けられる制度です。これを失うと、相続税が想定より数百万円単位で増えるケースもあります。厳しいところですね。


相続時精算課税制度のメリット・デメリットが詳しくまとめられています。


チェスター相続税理士法人「相続時精算課税制度とは?メリット・デメリット解説」


贈与税の税率を意識した暦年課税の落とし穴|定期贈与と生前贈与加算

「毎年110万円以内に抑えれば贈与税はかからない」と考えている方は多いでしょう。基本的には正しいのですが、落とし穴が2つあります。


落とし穴①:定期贈与と見なされるリスク


毎年同じ金額・同じ時期に贈与を繰り返すと、税務署から「最初から総額を贈与すると決めていた定期贈与」と判断される場合があります。たとえば「毎年110万円を10年間」という計画があったと認定されると、初年度に「1,100万円の贈与があった」として一括で高額な贈与税が課される可能性があります。痛いですね。


これを避けるには、贈与のたびに贈与契約書を作成する・金額や時期を年ごとに変える・贈与の都度、受贈者名義の口座に入金するといった対策が有効です。


落とし穴②:生前贈与加算の持ち戻し期間が7年に延長


2023年度の税制改正により、暦年贈与の生前贈与加算の期間が「相続開始前3年以内」から最長7年以内へ延長されました。2024年1月1日以降の贈与から適用が始まり、2031年1月以降の相続では過去7年分の贈与が相続財産に加算されます。


| 相続発生時期 | 持ち戻し対象期間 |
|---|---|
| 〜2026年12月31日 | 3年以内 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 段階的に延長(最大6年) |
| 2031年1月1日〜 | 7年以内(完全適用) |


なお、延長された4年分(3年超〜7年以内)については総額100万円までは相続財産に加算されない緩和措置があります。ただし、110万円以下の暦年贈与でも3年以内の部分は加算対象になる点は変わりません。


生前贈与は「早めに・長期にわたって」実施することが、改正後も有効な対策です。2031年以降を見据えて今から計画することが原則です。


2026年時点での生前贈与ルールの全体像が整理されています。


前田税理士「【2026年版】生前贈与ルール・持ち戻し早見表」


贈与税の税率が0円になる非課税特例の一覧と活用条件

贈与税には、税率の前に「そもそも課税されない」特例が複数あります。これらを使えば、贈与税の税率表は関係なくなります。主な非課税特例を整理しましょう。


📋 主な贈与税の非課税特例一覧


| 特例の種類 | 非課税限度額 | 期限 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 住宅取得等資金の非課税 | 最大1,000万円(省エネ等住宅) | 2026年12月31日 | 18歳以上、所得2,000万円以下 |
| 教育資金一括贈与 | 最大1,500万円 | 2026年3月31日 ※廃止予定 | 30歳未満の子・孫 |
| 結婚・子育て資金一括贈与 | 最大1,000万円 | 2027年3月31日 | 18〜50歳未満 |
| 配偶者控除(おしどり贈与) | 最大2,000万円 | 期限なし | 婚姻20年以上、居住用不動産 |
| 生活費・教育費の贈与 | 制限なし | 期限なし | その都度必要な金額のみ |


特に注意が必要なのは教育資金一括贈与の非課税特例です。最大1,500万円(学校以外の習い事等は500万円まで)が非課税になる制度ですが、2026年3月31日をもって廃止が決定しています。利用を検討しているなら、期限に注意が必要です。


一方、住宅取得等資金の非課税は2026年12月末まで延長されています。省エネ基準を満たす住宅なら1,000万円、それ以外の一般住宅なら500万円が非課税です。基礎控除110万円と合わせると、最大1,110万円まで非課税で親や祖父母からの支援を受けられます。


配偶者控除(おしどり贈与)は基礎控除110万円と合算で最大2,110万円まで非課税になる魅力的な制度ですが、利用すると注意点があります。婚姻期間が20年以上でも、相続発生時に配偶者控除(1億6,000万円まで無税)が別途使える場合、必ずしも有利ではないケースも指摘されています。事前に試算しておくことが条件です。


生活費・教育費については金額上限がありませんが、「まとめて渡して貯蓄させる」「使わなかった分が残る」といった使い方をすると課税対象になります。必要なときに必要な分だけを渡すことが原則です。


非課税特例ごとの手続きや注意点を確認できます。


TMN相続「3つの贈与税特例 住宅資金・教育資金・結婚子育て資金」


贈与税の税率・節税対策を金融知識として活かすための実践ポイント

ここまでの内容を踏まえて、実際の判断に役立つポイントを整理します。


① 税率の種類を最初に確認する


贈与者と受贈者の関係・受贈者の年齢(1月1日現在)によって、一般税率か特例税率かが決まります。「義理の父母からの贈与」「未成年の子への贈与」は特例税率の対象外なので、計算を誤らないよう注意が必要です。特例税率が条件です。


② 暦年課税を使うなら定期贈与対策を忘れない


毎年の110万円贈与を活用する場合は、次の3点が基本対策です。


- 毎回、贈与契約書を書面で作成する
- 贈与の金額・時期を毎年変える(例:ある年は80万円、翌年は100万円など)
- 受贈者自身が管理する口座へ、受贈者が自由に使える形で振り込む


③ 相続時精算課税は「撤回不可」を理解してから選ぶ


一度選ぶと暦年課税には戻れません。特に自宅の土地を贈与する場合は、小規模宅地等の特例との兼ね合いを必ず税理士と確認することが重要です。


④ 生前贈与は2031年以降を見越して早めに始める


2031年以降の相続では相続前7年分が持ち戻しになります。今(2026年時点)から贈与を開始すれば、2031年時点でもすでに5年以上の贈与実績ができます。相続税の最高税率55%(6億円超)を考えると、長期にわたる計画的な贈与が有利です。


⑤ 非課税特例は「期限のあるもの」を優先確認する


教育資金一括贈与の非課税(2026年3月末廃止)・住宅取得等資金の非課税(2026年12月末まで)など、期限が迫っている特例は対象者であれば優先的に検討する価値があります。これは使えそうです。


金融に関心が高い方ほど「税コストをどう最小化するか」という視点が重要です。贈与税の税率は一度学ぶだけで、長期にわたって資産移転の戦略に活かせる知識です。具体的な計画を立てる際は、相続専門の税理士に相談することで、シミュレーションの精度が格段に上がります。


贈与税・相続税を一体で捉えた節税の考え方が参考になります。






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