定率法の償却率と計算を完全ガイドで解説

定率法の償却率と計算を完全ガイドで解説

定率法の償却率と計算:基礎から節税活用まで徹底解説

耐用年数が2年の資産を定率法で計算すると、2年かけずに1年目でほぼ全額を経費にできてしまいます。


この記事でわかること
📘
定率法と定額法の根本的な違い

未償却残高に償却率をかける定率法は、初年度に最大40〜50%を経費化できる。定額法より圧倒的に節税スピードが速い仕組みを理解できます。

🔢
200%定率法の償却率・保証率・改定償却率の読み方

国税庁の「償却率等表」をどう使うか、3つの数値の意味と切り替えタイミングを具体的な計算例とともに解説します。

💡
法人・個人事業主の選択ルールと届出の注意点

法人は原則定率法、個人事業主は原則定額法。届出なしで定率法を使えるかどうかのルールを整理し、届け出忘れによる損失を防ぎます。


定率法の償却率の基本:「未償却残高×償却率」がすべての出発点


定率法とは、固定資産の「未償却残高(まだ費用化していない残りの金額)」に対して一定の割合(償却率)を毎年かけ算することで、減価償却費を計算する方法です。定額法が「取得価額×一定率」で毎年同額を計上するのと対照的に、定率法では未償却残高が年々減るため、年ごとの償却費も逓減していきます。


基本計算式はシンプルです。


計算式 説明
減価償却費 = 期首未償却残高 × 定率法の償却率 毎期の基本計算
期首未償却残高 = 取得価額 − 前年までの減価償却累計額 初年度は取得価額と一致


償却率の基本は「定額法の償却率の2倍」です。これが現行の「200%定率法」と呼ばれる由来です。たとえば耐用年数5年の場合、定額法の償却率は「1÷5=0.200」ですが、定率法の償却率はその2倍の「0.400(40%)」となります。


つまり200%定率法が基本です。これを頭に入れておくだけで、国税庁の表を見たときの理解が格段に速くなります。


国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後取得分)」— 現行の200%定率法の計算式・保証率の根拠が記載された公式ページ


定率法の計算の流れ:耐用年数5年・取得価額100万円で全年度シミュレーション

実際の計算の流れを追うことで、「途中で計算方法が変わる」という定率法最大の特徴が理解できます。ここでは2012年4月1日以降に取得した資産(200%定率法適用)、取得価額100万円・耐用年数5年を例に取ります。


まず確認する数値は3つです。


  • 定率法の償却率:0.400(国税庁の表より)
  • 保証率:0.10800(同表より)
  • 改定償却率:0.500(同表より)


保証率から「償却保証額」を先に計算します。100万円×0.10800=108,000円です。


これが毎年の最低ラインとなります。


年度 期首未償却残高 通常計算の償却費 償却保証額 実際に計上する償却費
1年目 1,000,000円 400,000円 108,000円 400,000円
2年目 600,000円 240,000円 108,000円 240,000円
3年目 360,000円 144,000円 108,000円 144,000円
4年目 216,000円 86,400円 ← 保証額割れ 108,000円 108,000円(改定償却率へ切替)
5年目 108,000円 107,999円(1円残す)


4年目に注目です。通常計算(216,000円×0.400=86,400円)が保証額108,000円を下回りました。


この瞬間から計算方法が切り替わります。


以降は「改定取得価額(216,000円)×改定償却率(0.500)=108,000円」が毎年の償却費となります。


計算方式の切り替えが肝心です。これを知らずに通常計算を続けると、税務上の誤りになるリスクがあります。


国税庁「減価償却資産の償却率等表(PDF)」— 耐用年数別の定率法償却率・改定償却率・保証率の一覧表(公式)


定率法の償却率と定額法の償却率:数値の違いと早期費用化の効果

定額法と定率法の償却率がどれほど違うかを確認することで、定率法を選ぶ意味が鮮明になります。


耐用年数 定額法の償却率 200%定率法の償却率 倍率
3年 0.334 0.667 約2倍
5年 0.200 0.400 2倍
8年 0.125 0.250 2倍
10年 0.100 0.200 2倍


たとえば取得価額100万円・耐用年数10年の機械を購入したとします。定額法なら初年度の償却費は「100万円×0.100=10万円」です。しかし定率法なら「100万円×0.200=20万円」と、初年度だけで2倍の費用を計上できます。


償却率が2倍というのは節税スピードが2倍です。1年目・2年目に多く計上することで課税所得を早期に圧縮でき、その分の税金分の資金を手元に残せます。


これをタックスシールド効果と呼びます。


定率法が初期節税に強い理由がここにあります。


200%定率法と250%定率法の違い:取得時期で償却率が変わる重要なルール

定率法の償却率は、資産を取得した時期によって異なります。知らずに古い表を使うと、正しい償却率で計算できません。


これは実務上で特に注意が必要な点です。


取得時期 適用する方法 償却率の基準
2007年4月1日〜2012年3月31日取得 250%定率法 定額法の償却率×2.5倍
2012年4月1日以降取得 200%定率法 定額法の償却率×2.0倍
2007年3月31日以前取得 旧定率法 旧法の償却率表を使用(残存価額あり)


2012年の税制改正(平成23年12月改正・平成24年4月施行)により、定率法の償却率は定額法の2.5倍から2.0倍へ引き下げられました。つまり現在新たに設備投資する場合は200%定率法が適用されます。


ただし、2012年3月31日以前に取得した資産は、250%定率法のまま償却を続けることができます。同じ企業の中に「200%定率法の資産」と「250%定率法の資産」が混在するケースは実務ではよく見られます。


取得時期を確認してから表を引くのが原則です。


税理士法人エヴィス「定率法の償却率の改正(200%定率法)について」— 250%から200%への改正経緯と経過措置の解説


保証率と改定償却率:定率法計算で見落としがちな2つの数値

定率法の計算でミスが起きやすいのが、「保証率」と「改定償却率」の扱いです。


意外ですね。


多くの人が「未償却残高×償却率」だけを使い続けてしまいます。


保証率とは、償却保証額(最低限計上しなければならない減価償却費の基準)を算出するための率です。取得価額に保証率をかけた金額が「償却保証額」で、これは耐用年数が続く限り変わりません。


改定償却率とは、通常の定率法計算による償却費が償却保証額を下回った年から使う割合です。この時点の期首未償却残高(改定取得価額)に改定償却率をかけ、以後毎年同額を計上します。


耐用年数 定率法の償却率 保証率 改定償却率
3年 0.667 0.11089 1.000
5年 0.400 0.10800 0.500
7年 0.286 0.08680 0.334
10年 0.200 0.06552 0.250


注目してほしいのは耐用年数3年の改定償却率「1.000」です。これは、償却保証額を下回った年に「残高の100%を一気に費用化する」ことを意味します。耐用年数が短い資産ほど、改定償却率への切り替えが早い傾向があります。


保証率と改定償却率はセットで確認が必要です。


定率法の償却率と耐用年数2年の盲点:1年で100%償却できる特殊ケース

多くの人が気づいていない事実があります。耐用年数が2年の資産を200%定率法で計算すると、定率法の償却率は「1.000」です。つまり、1年目に取得価額の100%を償却できてしまいます。


これはなぜかというと、200%定率法の計算上の仕組みによるものです。定額法の償却率は「1÷2=0.500」、その2倍が「1.000」となります。未償却残高(取得価額)に1.000をかけると全額になるため、初年度に全額費用計上が可能というわけです。


この仕組みが特に重要なのは、中古車節税の文脈です。普通自動車の法定耐用年数は6年ですが、法定耐用年数を超えた中古車(たとえば6年超経過の車両)を法人が購入した場合、簡便法による中古耐用年数の計算式「法定耐用年数×20%=6年×0.2=1.2年 → 端数切り捨て → 2年以下の場合は2年」により、耐用年数2年となります。これに定率法を適用すると、取得価額の全額を初年度経費にできる可能性があります。


ただし、事業の実態を伴わない節税目的だけの購入は税務調査で問題視されるリスクがあります。活用するならば、実際に事業で使用していることが前提です。


これは使える知識ですね。


正しく理解して活用しましょう。


佐藤昭夫公認会計士・税理士事務所「中古資産の耐用年数の計算方法」— 中古車の簡便法による耐用年数算定の具体例付き解説


法人と個人事業主の定率法の選択ルール:届出を出し忘れると損をする

定率法を使えるかどうかは、個人事業主か法人かによってルールが異なります。これを知らないと、本来より不利な計算方法を使い続けてしまうリスクがあります。


区分 原則の償却方法 定率法を使いたい場合
法人 定率法が原則(届出不要) 定額法に変えたい場合は届出が必要
個人事業主 定額法が原則(届出不要) 定率法を選択したい場合は届出が必要


個人事業主が定率法を選択するには、「減価償却資産の償却方法の届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。提出期限は、原則として「業務を開始した年(新規開業の場合)はその年の確定申告の期限まで」、既存の事業者が方法を変更したい場合は「変更しようとする年の3月15日まで」です。


また、どちらの区分でも、建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェアは必ず定額法が適用されます。


これは法人でも個人事業主でも変わりません。


届出の期限を守るのが条件です。うっかり期限を過ぎると、その年は定額法での計算になります。


手続きは最寄りの税務署で行えます。


弥生「個人事業主の減価償却の計算方法は?法人との違いも解説」— 個人事業主が定率法を選ぶための届出手続きと注意点の詳細解説


定率法で節税を最大化するタイミング:利益が出た年に設備投資する理由

定率法の節税効果は、「いつ資産を取得するか」によって大きく変わります。初年度に最も多くの償却費を計上できるという性質を活かすためには、利益が多く出た年度に設備投資を行うのが基本的な戦略です。


具体的に考えてみます。取得価額500万円・耐用年数5年の機械設備を購入した場合、1年目の定率法の償却費は「500万円×0.400=200万円」です。定額法の場合は「500万円×0.200=100万円」と、初年度だけで100万円の差が生まれます。法人実効税率を約30%とすると、この年の節税額の差は「100万円×30%=30万円」になります。


これは使えそうです。さらに翌年も定率法のほうが高い償却費を計上できるため、課税の繰り延べ効果が数年にわたって積み上がります。


ただし注意点もあります。定率法は「節税そのもの」ではなく「課税の繰り延べ」です。耐用年数を通じた総費用は定額法と変わりません。初期に多く費用計上するため、後半の年度では逆に定額法より税負担が重くなります。利益が安定して続く企業ほど、この繰り延べ効果の恩恵を受けやすい構造です。


初期に多く計上して、手元資金を確保するのが定率法の本質です。


定率法の計算を間違えやすいポイント:月数按分・期中取得の落とし穴

定率法の計算は、年の途中で資産を取得した場合(期中取得)に月数按分が必要です。これを無視すると、初年度の償却費を過大計上してしまう誤りが生まれます。


月数按分の計算式は次のとおりです。


> 初年度の減価償却費 = 取得価額 × 定率法の償却率 × (使用月数 ÷ 12)


たとえば耐用年数5年の機械(取得価額100万円)を10月に購入した場合、使用月数は「10月〜12月」の3か月です。初年度の償却費は「100万円×0.400×(3÷12)=10万円」となります。4月に購入していれば「100万円×0.400×(9÷12)=30万円」になるため、同じ年度でも取得時期によって3倍の差が出ます。


個人事業主の場合は月単位ではなく「業務の用に供した日」から年末までの期間で按分します。法人は「事業の用に供した月から期末月まで」の月数で計算します。


厳しいところですね。


実務では取得した年の末に期中取得資産をまとめてチェックし、按分計算に漏れがないか確認するのが基本手順です。会計ソフトを使えばこの月数按分は自動計算されるため、ミス防止の面でも会計システムの活用は効果的です。


定率法の仕訳方法:直接法と間接法の記帳の違いをシンプルに理解する

定率法で計算した減価償却費は、「直接法」または「間接法」のどちらかで仕訳します。どちらを選んでも税額は変わりませんが、貸借対照表の見え方が異なります。


直接法では、固定資産の帳簿価額から直接減価償却費を差し引きます。


借方 金額 貸方 金額
減価償却費 400,000円 機械装置 400,000円


間接法では、固定資産の金額はそのままにして、「減価償却累計額」という科目で記録します。


借方 金額 貸方 金額
減価償却費 400,000円 減価償却累計額 400,000円


直接法は残高が一目でわかる反面、取得原価の確認ができなくなります。間接法は取得原価と累計額の両方を貸借対照表に表示できるため、資産管理の観点から実務では間接法を採用する企業が多い傾向があります。


間接法なら資産の管理が明確です。どちらの方法も毎年継続して使用することが原則です。


定率法の計算で活用できるツール:国税庁の計算サイトと会計ソフトの使い方

定率法の計算は、償却保証額の比較や月数按分など、手作業では手間がかかりやすい部分があります。実務で使いやすいツールを知っておくことで、計算ミスを減らし作業時間を大幅に短縮できます。


まず確認しておきたいのは国税庁の公式確認ページです。「減価償却資産の償却率等表」(PDF)に耐用年数2年〜100年以上の定率法償却率・改定償却率・保証率がすべて掲載されています。資産を取得するたびに参照する基本資料として手元に置いておくと便利です。


また、高精度計算サイト(CASIO)の「減価償却(H24年度〜)」では、取得価額・耐用年数・取得時期を入力するだけで、全年度の定率法の減価償却費・未償却残高・保証額との比較が自動計算できます。複雑な保証額切り替えのタイミングも自動で表示されるため、手計算でのミスを防ぐのに役立ちます。


これは使えそうです。さらに、freeeやマネーフォワード クラウド会計などの会計ソフトは、固定資産管理機能を標準搭載しており、耐用年数に応じた定率法の自動計算・仕訳自動生成が可能です。複数資産を保有する法人では、資産ごとの保証額切り替えタイミングが異なるため、ソフト任せにするのが最も確実な方法といえます。


高精度計算サイト(CASIO)「減価償却(H24年度〜)」— 取得価額・耐用年数を入力するだけで全年度の定率法計算が自動表示される無料ツール


定率法と定額法の選択で失敗しないための独自視点:「利益の波」で判断するフレームワーク

定率法と定額法のどちらを選ぶべきかは、一般的に「定率法のほうが節税に有利」と語られることが多いです。しかし実際には「自社の利益の波のパターン」によって、どちらが合理的かは変わります。これは検索上位の記事ではほとんど触れられていない視点です。


定率法が有利なのは、資産取得後の初期数年間に課税所得を圧縮できるためです。つまり「設備投資をした年から数年間にわたって高い利益が見込まれる」事業体に最もフィットします。飲食業の厨房設備、IT企業のサーバー・PCなど、使用初期に収益貢献が大きく、後半は陳腐化するタイプの資産は定率法との相性が高いです。


一方、開業初年度は赤字になりやすいスタートアップ企業や、年度ごとの利益変動が小さい安定業種では、定率法の「前倒し費用計上」が必ずしも税負担軽減につながりません。赤字の年度に多額の減価償却費を計上しても、繰越欠損金との調整は必要ですし、後半の年度で利益が出たときに逆に税負担が増します。


結論は「利益の波に合わせて選ぶ」です。利益が高い年度に多く費用を乗せたいなら定率法、毎年安定した利益計画を立てたいなら定額法という選択軸で考えると、どちらが合理的かが判断しやすくなります。なお、一度選択した償却方法を変更する場合は、税務署への届出と変更年度からの適用が必要です。変更手続き自体は難しくありませんが、変更後は少なくとも3年間は変更した方法を継続するのが原則となっています。


定率法の償却率と計算に関するよくある疑問Q&A

Q1. 定率法の償却率はどこで調べればよいですか?


国税庁が公開している「減価償却資産の償却率等表(PDF)」が公式の一次資料です。耐用年数ごとに「定率法の償却率」「改定償却率」「保証率」の3つが一覧化されています。2012年4月1日以降に取得した資産に適用する表と、2007〜2012年取得資産に適用する旧表があるため、取得時期を確認してから正しい表を参照してください。


Q2. 途中で定率法から定額法に変更できますか?


変更自体は可能です。「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を変更を希望する年度の開始月から3か月以内に税務署に提出します。ただし承認が必要で、変更後は原則として3年間変更できません。


軽いですね。


Q3. 建物も定率法で計算できますか?


できません。1998年4月1日以降に取得した建物、および2016年4月1日以降に取得した建物附属設備・構築物は、法人・個人事業主を問わず定額法の適用が義務付けられています。


Q4. 中古資産の耐用年数はどうやって計算しますか?


法定耐用年数の全部を経過した中古資産の場合は「法定耐用年数×20%」、一部のみ経過している場合は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」の簡便法を使います。計算結果が2年未満の場合は耐用年数を2年として扱います。


国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」— 簡便法による中古資産の耐用年数の算定方法が記載された公式ページ




紙幣カウンター 紙幣計数機 マネーカウンター【日本専用・2025新紙幣対応】お札カウンター 紙幣計算機 お札数える機械 お金数える機械 偽札検知機能 日本語説明書