

再取得価額の50%超の改修工事をすると中古資産でも法定耐用年数で償却しなければなりません。
中古資産を取得した場合、法定耐用年数をそのまま使わず、使用済み期間を考慮した耐用年数を適用できます。実務では「簡便法」による計算がほとんどです。
簡便法には2つの計算式があります。まず、法定耐用年数の全部を経過した資産の場合、法定耐用年数×20%で計算します。たとえば法定耐用年数6年の普通自動車を8年落ちで購入した場合、6年×20%=1.2年となります。
参考)【中古資産の耐用年数の計算方法】中古車の事例をもとに分かりや…
つまり短期間で償却できます。
次に、法定耐用年数の一部を経過した資産の場合、(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)で計算します。たとえば法定耐用年数30年、経過年数10年の中古資産なら、(30年-10年)+(10年×20%)=22年です。
この計算式により、使用済み期間が短いほど残存耐用年数が長くなります。税務上、中古資産は個々の損耗状態が異なるため、新品とは別の耐用年数決定方法が認められています。
中古資産の耐用年数計算では、端数処理のルールを正確に理解することが重要です。計算途中と計算結果で処理方法が異なるからです。
参考)https://kmp.or.jp/article/bukkentaiyounensu.html
経過年数に1年未満の端数がある場合、計算途中では月数に換算します。たとえば経過年数2年10ヶ月なら34ヶ月(2年×12ヶ月+10ヶ月)として計算します。
法定耐用年数も同様に月数換算が必要です。
参考)中古資産の耐用年数の計算方法!正しく計算して節税効果を高めよ…
計算途中は端数切捨てしません。
一方、計算結果に1年未満の端数が生じた場合は切り捨てます。たとえば計算結果が37.6ヶ月なら3年1ヶ月となり、端数の1ヶ月を切り捨てて3年とします。
参考)https://support.yayoi-kk.co.jp/faq_Subcontents.html?page_id=27290
さらに重要なルールとして、計算結果が2年未満になる場合は2年とみなします。
これは「最低2年」という原則です。
たとえば1.2年と算出された場合、耐用年数は2年となります。この端数処理を誤ると減価償却費の計算に影響するため、税務担当者は必ず確認すべきポイントです。
参考)中古資産の減価償却方法|耐用年数の正しい求め方をわかりやすく…
中古資産に改修工事などの資本的支出を行った場合、その金額によって適用する耐用年数が変わります。
これは税務上の重要な判断ポイントです。
参考)耐用年数超えの建物に資本的支出。耐用年数何年になる?
資本的支出の合計額が再取得価額(同じ新品を取得する場合の金額)の50%を超えると、簡便法による中古資産の耐用年数を使えません。法定耐用年数を適用しなければならないルールです。
50%超で新品扱いになります。
たとえば再取得価額2,200万円の中古建物を1,000万円で取得後、1,200万円(再取得価額の54.5%)の改修工事を行った場合、法定耐用年数22年で償却します。再取得価額の50%以上の改良費をかけることは、資産が新品同様と考えられるためです。
参考)Ⅴ.耐用年数
逆に資本的支出が再取得価額の50%以下なら、本体と同じ耐用年数を適用します。この場合、資本的支出を含んだ取得価額を使って複雑な計算式で耐用年数を算出します。税務担当者は改修工事の見積段階で、この50%ルールを意識して再取得価額を確認することが節税にもつながります。
参考)中古資産の減価償却費の計算方法と耐用年数を具体例と共に解説
国税庁「中古資産の耐用年数のよくある質問」
中古資産に資本的支出を行った場合の耐用年数の詳細な取扱いについて、具体的な判断基準が示されています。
実際の税務実務では、中古資産の耐用年数を計算する際、段階を踏んで正確に算出する必要があります。ここでは普通自動車を例に具体的な手順を示します。
まず、法定耐用年数を確認します。
普通自動車の法定耐用年数は6年です。
次に、中古資産の経過年数を正確に把握します。
経過年数の正確な把握が第一歩です。
たとえば2年9ヶ月落ちの普通中古車を購入した場合、経過期間は33ヶ月です。計算式は(法定耐用年数6年×12ヶ月-経過期間33ヶ月)+(経過期間33ヶ月×20%)=45.6ヶ月となります。
この時点では1年未満の端数を切り捨てません。45.6ヶ月を年数に戻すと3年9.6ヶ月、ここで初めて端数の0.6ヶ月を切り捨てて3年とします。
別の例として、8年落ちの普通自動車なら法定耐用年数6年を全部経過しているため、6年×20%=1.2年です。これは2年未満なので、最低耐用年数ルールにより2年となります。
実務では、この計算結果をもとに減価償却費を算出します。定額法の場合、取得価額に償却率を乗じて月割計算を行います。計算ミスを防ぐため、税務担当者は経過年数の確認と端数処理を特に慎重に行うべきです。
参考)中古資産の減価償却の算定方法は⁉ 具体例も踏まえて税理士が解…
中古資産の耐用年数を決める方法は、基本的に「見積法」と「簡便法」の2つがあります。税務担当者はどちらを選択すべきか判断する必要があります。
見積法は、中古資産の残りの使用可能期間を合理的な方法で見積もり、それを耐用年数とする方法です。たとえば技術者の鑑定や過去の使用実績データに基づいて算出します。
見積法の方が理論的に正確です。
しかし見積法は手間がかかり、合理的な見積もりが困難な場合が多いのが実情です。そこで実務では、見積法によることが困難な場合に限り、簡便法を使うことが認められています。
簡便法は一定の計算式に当てはめるだけなので、実務上はほとんどのケースで簡便法が採用されます。計算式は前述の通り、経過年数に応じて2パターンあります。
ただし簡便法にも適用できないケースがあります。事業供用前に改修等で資本的支出を行い、その額が再取得価額の50%を超える場合、簡便法は使えず法定耐用年数を適用します。また、使用可能期間を合理的に見積もれる確実な根拠がある場合は、見積法を優先すべきです。税務担当者は資産の状態や改修履歴を確認し、どちらの方法が適切か慎重に判断することが求められます。
国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」
見積法と簡便法の違い、簡便法による耐用年数の算定方法について、公式な計算式と適用要件が詳しく解説されています。