障害年金の受給要件とは知らないと損する3条件

障害年金の受給要件とは知らないと損する3条件

障害年金の受給要件とは満たすべき3つの条件

老齢年金を60歳で繰り上げ受給すると、その後に障害状態になっても障害年金を一切受け取れなくなります。


この記事の3つのポイント
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受給要件は3つ全て必須

「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の3つを同時に満たさなければ受給できません。どれか1つでも欠けると不支給になります。

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働きながらでも受給可能

就労中であっても障害年金は受給できます。2019年データでは受給者の約34%が就労中。「働いたら打ち切られる」は誤解です。

申請が遅れると最大数百万円損する

遡及請求は最大5年分まで遡れますが、時効で毎年約83万円分が消滅していきます。条件を満たしたら速やかに申請することが重要です。


障害年金の受給要件①:初診日要件とは何か


障害年金において「初診日」とは、障害の原因となった病気やけがで、最初に医師の診療を受けた日のことです。これが要件の起点となるため、正確に把握することが非常に重要になります。


初診日要件とは、その初診日の時点で「公的年金制度に加入していること」を求めるものです。具体的には、①国民年金加入期間中に初診日がある、②20歳前(年金制度加入前)に初診日がある、③日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある、の3パターンのいずれかに該当する必要があります。会社員であれば厚生年金の加入中に初診日があれば、障害厚生年金の対象にもなります。


初診日の判断で混乱しやすいケースがあります。たとえば、「指が痛くて整形外科に行ったが、後日リウマチと診断された」場合、初診日はリウマチ科ではなく最初に行った整形外科の受診日です。また「うつ病でA病院に通院後、B病院で発達障害と診断された」場合も、発達障害の診断日ではなくA病院を最初に受診した日が初診日になります。つまり初診日は原因の傷病を遡った最初の受診日が原則です。


ここで重要な「意外な例外」があります。社会的治癒という概念です。医学的に完治していなくても、一定期間にわたって通院の必要がなく、普通の社会生活を送れていた実績があれば、その後の再発・再受診日を「新しい初診日」としてリセットできる場合があります。これを社会的治癒と呼びます。これが認められると、従来の初診日では保険料納付要件を満たせなかったケースでも受給できる可能性が生まれます。


初診日の証明は、原則として受診先の医療機関に「受診状況等証明書」を発行してもらう方法で行います。カルテの保存義務は5年間ですが、廃院や記録紛失で証明が困難になることもあります。そのような場合でも、第三者による申立書など複数の代替手段があるため、諦めずに社労士年金事務所に相談することが大切です。


日本年金機構:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(公式)


障害年金の受給要件②:保険料納付要件の基準と特例

保険料納付要件とは、初診日の前日時点で、一定期間以上の年金保険料を納めていることを確認する要件です。「保険料をきちんと払ってきた人だけが受給できる」という公的年金の根幹となるルールです。


原則となる要件(3分の2要件)は、初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることです。たとえば加入期間が15か月ある場合、そのうち10か月以上が納付済みまたは免除期間であれば要件を満たします。


ただし、もう1つの特例があります。これが直近1年要件(特例要件)です。初診日において65歳未満であり、かつ初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければ、全体の納付率に関わらず納付要件を満たすとされています。この特例は令和8年(2026年)3月31日までに初診日がある場合に限り適用されます。


これは非常に実用的なルールです。たとえば学生時代に長期間未納があっても、直近の1年間さえ未納なく納付していれば受給要件をクリアできます。保険料未納が多い人でも受給の可能性があるということですね。


一方、20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件そのものが問われません。20歳前は年金制度に加入していないため保険料を払いたくても払えないからです。この場合は本人の所得による支給制限が代わりに設けられており、前年の所得が4,794,000円を超える場合は全額支給停止、3,761,000円を超える場合は半額支給停止となります。


保険料の免除制度も重要な知識です。経済的理由などで保険料を納められない場合、免除や猶予の申請をすることで「未納」扱いを防げます。未納と免除は全く異なります。免除は納付要件のカウントに含まれますが、未納は含まれません。障害年金を将来受け取りたいなら、未納のままにしておくことは大きなリスクです。


広島障害年金支援センター:保険料納付要件(3分の2要件・直近1年要件)の詳細解説


障害年金の受給要件③:障害状態要件と等級の基準

障害状態要件とは、「障害認定日」の時点で、法令に定める障害等級に該当していることを求める要件です。障害認定日とは原則として、初診日から1年6か月が経過した日のことです。この日が審査の基準日になります。


障害等級は1級から3級(および障害手当金)に分かれており、それぞれの状態の目安は以下の通りです。


等級 対象年金 障害状態の目安
1級 障害基礎・厚生年金 他人の介助なしに日常生活がほとんど送れない。活動範囲がベッド周辺に限られる。
2級 障害基礎・厚生年金 他人の助けは必須ではないが日常生活が困難。労働による収入を得ることができない程度。
3級 障害厚生年金のみ 日常生活への支障は少ないが、働くことに制限を受ける状態。
障害手当金 障害厚生年金のみ(一時金) 症状が固定し、働くことに制限がある状態。


障害基礎年金は1・2級のみが対象です。3級は厚生年金に加入していた会社員などだけが受給できます。


注目すべきは対象疾患の幅広さです。精神的な疾患(うつ病・統合失調症・双極性障害・発達障害・てんかんなど)はもちろん、がん・糖尿病・腎疾患・心疾患といった内部疾患、そして肢体の障害や視覚・聴覚の障害なども幅広く対象になります。「外見上わかりにくい病気でも受給できる」という点は、多くの人が誤解しているポイントです。


また、障害の等級は永続的に固定されるものではありません。定期的に「更新(再認定)」があり、状態が改善したと判断されれば等級が下がったり支給停止になったりします。反対に悪化した場合は等級変更を申請することも可能です。これが原則です。


障害年金の受給要件と働きながらの受給:34%が就労中という事実

「障害年金を受給しているなら、働いてはいけない」と思っている人は多いはずです。これは大きな誤解です。


法律上、就労しているという事実だけで障害年金が不支給になる規定はありません。厚生労働省の令和元年(2019年)の調査によれば、障害年金受給者の約34%が就労しています。つまり3人に1人は働きながら受給しているということですね。


精神障害に限定したデータを見ると、等級別の就労割合は次の通りです。1級の就労率は8.8%、2級の就労率は27.7%、3級の就労率は50.2%と、等級が軽くなるほど就労者の割合が高くなります。


ただし、就労状況が審査結果に影響を与えることは事実です。特に精神疾患や神経系統の疾患の場合、診断書に記載された就労状況は審査で重視されます。「週5日フルタイムで問題なく働いている」という記録があれば、2級以上の認定が難しくなる場合があります。一方で、職場の配慮や援助を受けながら就労している、欠勤や休暇が多い、就労による症状の悪化が見られるといった実態がある場合は、就労中でも一定の等級が認められるケースがあります。


大切なのは「就労しているかどうか」だけでなく、「どのような状況・条件で働いているか」の実態です。診断書にはその実態が正確に反映されることが重要で、主治医と十分にコミュニケーションを取ることが審査通過への鍵になります。


障害年金と給与収入は基本的に合算されます。ただし障害年金は非課税所得であるため、受給額がいくらになっても所得税住民税課税対象にはなりません。これは老齢年金(課税対象)との大きな違いです。就労により給与収入が発生しても、障害年金部分の非課税扱いは変わりません。


障害年金navi:働きながら障害年金を受給している人のデータ(厚生労働省調査)


障害年金の受給要件を満たしたら:申請のタイミングと遡及請求の損得

受給要件を満たしていても、申請が遅れるだけで受け取れる金額が大きく変わります。これは非常に重要なポイントです。


障害年金の申請には、大きく分けて「障害認定日請求(本来請求)」と「事後重症請求」の2種類があります。障害認定日(初診日から1年6か月後)の時点で既に障害状態に該当していた場合、認定日以降であればいつでも申請できます。この場合、認定日まで最大5年分を遡って受給できる遡及請求(さかのぼり請求)が可能です。


注意が必要なのは時効です。障害年金を受ける権利の時効は5年です。認定日から5年以上が経過してしまうと、その分の年金は時効で消滅します。たとえば障害基礎年金2級(年額約83万円)を受給できる状態であれば、申請を1年遅らせるごとに約83万円が消えていく計算です。3年遅れれば約249万円、5年遅れれば約415万円の損失になります。


事後重症請求は、障害認定日には等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して該当するようになった場合の請求方法です。この場合は遡及が認められず、請求した月の翌月分から支給が始まります。申請が早ければ早いほど受け取れる総額が増えることになります。


事後重症請求は65歳の誕生日の前々日までに提出しなければなりません。これが原則です。65歳を超えると事後重症請求はできなくなります。


さらに見落としがちな点が、老齢年金の繰り上げ受給との関係です。老齢基礎年金を繰り上げ請求した後に初診日と障害認定日がある場合、障害基礎年金は受給できません。繰り上げ受給後に病気になっても障害年金がもらえないのは、繰り上げを検討している人が必ず知っておくべき落とし穴です。


申請書類の準備や診断書の記載内容は、審査結果に直結します。社会保険労務士(社労士)に依頼することで、申請の成功率を高めたり、適切な等級での認定を受けやすくなるケースがあります。費用は成功報酬型が一般的で、受給決定後に2か月分の年金相当額を支払うことが多いです。相談自体は無料のところがほとんどです。


申請の種類 対象 遡及 期限
障害認定日請求 認定日時点で等級該当 最大5年分可能 なし(ただし時効注意)
事後重症請求 認定日後に悪化し等級該当 遡及なし 65歳誕生日の前々日まで


さがみ社労士法人:障害年金の遡及請求で最大5年分を遡って受給する方法


日本年金機構:老齢年金の繰上げ受給と障害年金の関係(公式)






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