
障害厚生年金は20歳から受給開始できる制度で、通常の老齢厚生年金とは異なり早期からの受給が可能です。受給期間については、基本的に65歳までが一つの節目となりますが、これは受給が完全に終了するという意味ではありません。
障害厚生年金の受給には明確な「終了年齢」は設定されておらず、障害の状態が続く限り受給を継続できるのが特徴です。ただし、65歳到達時には老齢厚生年金との選択が必要になる場合があります。
重要なポイントとして、事後重症による請求は65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。この期限を過ぎると、新たに障害厚生年金を請求することはできません。
障害厚生年金の受給が停止される主な条件は、障害の状態が改善して障害等級に該当しなくなった場合です。日本年金機構では定期的に障害状態の確認を行っており、診断書の提出によって継続的な受給資格を判定しています。
診断書の提出頻度は障害の種類や程度によって異なりますが、一般的に以下のパターンがあります。
就労による収入が一定額を超えた場合でも、障害厚生年金は基本的に停止されません。これは障害基礎年金の20歳前障害による年金とは異なる重要な特徴です。
ただし、障害の状態が大幅に改善し、日常生活や就労に支障がない程度まで回復した場合は、等級の見直しや支給停止の対象となります。
65歳に到達すると、障害厚生年金受給者は老齢厚生年金との選択を迫られる場合があります。この選択は受給者にとって重要な判断となるため、慎重な検討が必要です。
65歳以降の選択パターン。
一般的に、障害厚生年金の方が金額的に有利な場合が多いため、多くの受給者は障害厚生年金の継続を選択します。障害厚生年金には最低保障額が設定されており、加入期間が短くても一定の金額が保障されるためです。
65歳以降も障害厚生年金を継続する場合、障害の状態確認は継続されます。診断書の提出や障害認定の更新手続きは、年齢に関係なく必要となります。
重要な点として、配偶者加給年金は65歳到達時に老齢厚生年金に切り替えなければ受給できません。家族構成によっては、総受給額を慎重に計算して選択する必要があります。
障害厚生年金の継続受給には、定期的な更新手続きが不可欠です。日本年金機構から送付される診断書に医師の記入を受け、指定された期限内に提出する必要があります。
診断書提出の重要ポイント。
診断書の未提出や遅延は、受給停止の原因となります。特に、提出期限を過ぎた場合は一時的な支給停止となり、提出後も審査に時間がかかるため注意が必要です。
更新時期の管理方法。
診断書の内容によっては、等級の見直しが行われる場合があります。障害の改善により等級が下がることもあれば、悪化により等級が上がることもあります。
日本年金機構の障害年金に関する詳細情報
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/
障害厚生年金を受給しながらの長期的な生活設計では、いくつかの独自の視点での注意点があります。多くの受給者が見落としがちな重要なポイントを整理します。
就労との両立における戦略的考慮。
障害厚生年金は就労による収入制限がないため、段階的な就労復帰を目指すことが可能です。ただし、就労能力の向上が障害状態の改善と判定されるリスクを考慮し、主治医との十分な相談が重要です。
家族のライフプランへの影響。
障害厚生年金受給者の配偶者は、第3号被保険者としての位置付けが複雑になる場合があります。特に、配偶者の就労や年金受給開始時期との調整が必要です。
医療費控除と税務上の取り扱い。
障害厚生年金は非課税所得ですが、医療費控除の計算では所得として考慮される場合があります。また、生命保険の特約や医療保険の給付金との関係も複雑になることがあります。
緊急時の手続き準備。
受給者に万一のことがあった場合の遺族給付への切り替えや、成年後見制度の利用を想定した準備も重要です。特に精神障害の場合、判断能力の変動に備えた事前の準備が必要となります。
これらの視点は一般的な解説では触れられにくい部分ですが、実際の受給生活では重要な要素となります。専門家との相談を通じて、個別の状況にあった対策を検討することが推奨されます。
厚生労働省の障害年金制度改正に関する最新情報(2025年法案)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/