

カード明細だけ保存しても税務否認されます。
請求書カード払いを利用する税務担当者が最も注意すべきなのは、消費税の仕入税額控除が認められないリスクです。クレジットカード会社から発行される利用明細書だけを保存して費用計上している場合、消費税の仕入税額控除の観点から税務否認される事例が増えています。
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仕入税額控除を適用するには、取引相手が作成・交付する請求書等(請求書、領収書、レシート)と、一定事項を記載した帳簿の保存が必要です。カード会社の明細書は取引相手ではなくカード会社が交付する書類なので、この要件を満たしません。
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インボイス制度において仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の保管が必要です。クレジットカードの利用明細書では適格請求書の記載要件を満たさないため、取引先から受け取った適格請求書を適切に保管する必要があります。
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つまり請求書カード払いを利用した場合でも、取引先からの適格請求書を別途保管しなければなりません。カード明細だけで済むわけではないということですね。
受け取ったインボイスは、事業年度の最終日または受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日から7年間保管しなければなりません。例えば3月決算の法人の場合、2025年に受け取ったインボイスを2033年5月31日まで保存する必要があります。
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少額特例として、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者に限り、1万円未満の仕入れはインボイスの保存がなくても帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。ただしこれは経過措置であり、原則としては3万円未満の決済であっても領収書等の保存が必須です。
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この税務リスクを回避するには、請求書カード払いサービスを利用する際にも、必ず取引先から適格請求書を受け取り、7年間適切に保管する体制を整えることが基本です。
請求書カード払いはクレジットカードの利用可能枠が上限となるため、事業規模に対してカードの限度額が小さい場合は注意が必要です。高額な仕入や経費の支払いが必要な場合、クレジットカードの限度額を超えてしまうと利用できません。
参考)請求書カード払いのデメリット5つ
一度にカード利用枠ギリギリまで請求書支払いに充当すると、カード会社の監視システムに引っかかりやすくなります。高額決済や利用枠フル活用による警戒が働き、カード会社から利用状況について確認の連絡が来るケースもあります。
参考)請求書カード払いサービス利用によるトラブル事例まとめ|くまろ…
限度額の問題は通常の事業活動にも影響を及ぼします。請求書カード払いで利用枠の大半を使ってしまうと、日常の経費支払いや急な出費に対応できなくなります。どういうことでしょうか?
例えば、利用限度額が200万円のカードで150万円分の請求書カード払いを実行した場合、残りの50万円でしか通常の経費決済ができなくなります。取引先への支払い日までの1~2ヶ月間、この状態が続くことになります。
利用限度額の制約を緩和するには、カード会社に一時的な増枠を申請する方法があります。ただし審査に時間がかかるため、支払い期日が迫っている場合は間に合わない可能性があります。複数の法人カードを保有し、支払いを分散させる方法も効果的です。
この問題を避けるには、請求書カード払いを利用する前にカードの利用可能枠を確認し、通常の経費支払い分として30~40%程度の余裕を残しておくことが条件です。
請求書カード払いを利用すると、請求金額に対して手数料が発生します。主要サービスの手数料は2.4%~4%程度で、サービスによって異なります。
参考)請求書カード払いとは?メリット・デメリットとおすすめ業者10…
具体的な手数料の例を見ると、INVOYカード払いは3%、LP請求書カード払いは2.95%、支払い.comは4%、マネーフォワード請求書カード払いは2.7%(10万円以下は一律3,000円)となっています。フリーウェイ請求書カード払いは通常2.7%ですが、手数料が600円を下回る場合は600円を適用します。
参考)請求書払いの手数料は買い手・売り手どっちが負担?法律ルールか…
1万円未満の少額決済では、手数料体系が変わる点に注意が必要です。多くのサービスで1万円以下の場合は一律300円~600円の手数料が設定されています。これは割合にすると3%~6%以上になり、通常の手数料率より割高です。
参考)おすすめの請求書カード払い14選!手数料が安いサービスを比較…
100万円の請求書を手数料3%で支払った場合、3万円の手数料が発生します。これは従来の銀行振込手数料(数百円程度)と比べて大幅に高額です。
手数料負担を判断する際は、資金繰り改善のメリットと比較する必要があります。例えば、支払いを60日先延ばしすることで、その間に売上代金を回収できたり、より有利な資金調達ができたりする場合は、手数料を支払う価値があるかもしれません。
厳しいところですね。
一方、単に支払いを先延ばししただけで、最終的な資金繰りが改善しない場合は、手数料分だけ損失が増えることになります。支払いは先延ばしされるだけで免除されるわけではないためです。
手数料の負担を最小化するには、手数料率が低いサービスを選ぶこと、そして本当に資金繰り改善効果がある場面でのみ利用することが原則です。
近年、カード会社各社が請求書カード払いサービス利用分をポイント付与対象外と定めるケースが出ています。例えば、株式会社アプラスでは2025年3月より請求書カード払いサービスでの利用はポイント加算対象外に変更されたと明記されています。
d払いを利用した決済であっても、決済対象が請求書払い(公共料金、地方税統一QRコード等)である場合、ポイント進呈の対象外となります。これまでポイント還元を期待して請求書カード払いを利用していた場合、実質的な還元率が大幅に低下します。
参考)dカードポイントサービスに関するご注意事項 | dカード
カード会社がポイント対象外にする背景には、請求書カード払いサービスの手数料構造があります。サービス提供会社がカード決済手数料を負担する仕組みのため、カード会社にとって通常の加盟店決済よりも収益性が低いと考えられます。
意外ですね。
ポイント付与の有無は、カードの種類や発行会社によって異なります。Visa/Mastercardのみ対応で、JCBやAmexは特定発行会社のものしか使えないケースもあり、対応外カードを試すと決済エラーや登録不可となります。
従来は「手数料を支払ってもポイント還元があるから実質負担が軽減される」と考えていた事業者も多いでしょう。しかしポイント対象外になると、手数料3%の負担がそのまま純粋なコストになります。
ポイント付与の状況を確認するには、利用予定のカード会社の最新のポイント付与ルールを確認し、請求書カード払いサービスが対象外になっていないかチェックすることが必須です。
請求書カード払いサービスでは、利用できない支払い科目があります。すべての請求書が対象になるわけではないため、事前に確認が必要です。
参考)請求書カード払いとは?支払いを先延ばしにできる仕組みと活用メ…
一般的に対応している支払科目は、仕入・材料費、家賃、水道光熱費などです。販売する商品や製品製造の過程で使用する材料の購入費、事業所や店舗の賃料、水道・電気・ガス代など事業に必要不可欠な日常的に発生する費用が含まれます。
参考)請求書カード払い
一方で、サービスによっては社会保険料の納入告知書もカード払いが可能な場合があります。INVOYカード払いでは、社会保険料の納入告知書もカード払いができると記載されています。
個人事業主は利用できない場合もあります。多くの請求書カード払いサービスは法人向けに設計されており、個人事業主の利用を制限しているケースがあります。
支払科目の制約により、特定の請求書だけ従来の銀行振込で対応しなければならない状況が発生します。これは経理担当者の業務負担増加につながります。
利用可能な科目はサービスごとに異なるため、自社でよく発生する支払い内容が対象になっているかを事前に確認する必要があります。主要な支払い先や支払科目をリストアップし、サービスの利用規約や対応科目一覧と照合することで、導入後のトラブルを防げます。
支払科目の制約を確認せずに導入すると、想定していた請求書の支払いに使えず、結局別の資金繰り対策を講じる必要が出てきます。
痛いですね。
この制約を回避するには、自社の支払パターンに合ったサービスを選ぶことが条件です。
SBペイメントサービスの請求書カード払い解説
請求書カード払いの仕組みやメリット・デメリット、税務上の取り扱いについて詳しく解説されています。
公益会計ドットコムのクレジットカード払いとインボイス制度の解説
カード請求明細書だけでは仕入税額控除要件を満たさない理由と、買い手側・売り手側それぞれの注意点が詳しく説明されています。