

国民年金基金に加入しているのに、ねんきん定期便では将来の年金額が確認できません。
国民年金基金の将来受け取り金額を知りたいとき、多くの人がまず「ねんきん定期便」を確認しようとします。ところが、国民年金基金の年金額はねんきん定期便には一切記載されていません。ねんきん定期便に掲載されるのは国民年金・厚生年金・共済年金のみで、国民年金基金は別の方法で確認する必要があります。これは見落としやすいポイントです。
確認方法は大きく3つあります。
① 掛金納付結果通知書(毎年10月下旬に郵送)
加入中の方には毎年10月下旬に「掛金納付結果通知書(社会保険料控除証明書)」が郵送されます。この書類には、加入期間満了まで掛金を納付し続けた場合に受け取れる年金額の見込みが記載されています。確定申告の控除証明にも使えます。捨てずに保管が必須です。
② 年金額シミュレーター(オンライン)
全国国民年金基金・国民年金基金連合会のウェブサイトでは、生年月日・性別・加入口数などを入力するだけで、将来の年金見込額を試算できる無料シミュレーターを提供しています。個人情報の入力は不要で、最短1分程度で利用できます。加入前の試算にも活用できるので、検討中の方にも便利です。
③ 加入記録のお知らせ(書面請求)
すでに年金受給中でない加入者であれば、「加入記録のお知らせ」を書面で郵送請求することも可能です。全国国民年金基金のウェブサイト(reg18.smp.ne.jp)から申し込みできます。必要事項を入力してフォームを送信するだけで手続きできます。
確認方法が3つあると分かれば選びやすいです。加入したばかりの方は②のシミュレーターで将来イメージをつかみ、加入数年後は①の通知書で実績ベースの数字を確認するという使い分けが実用的です。
参考・国民年金基金の掛金と年金額を詳しく確認できる公式ページ。
掛金・年金額を調べる|国民年金基金連合会
参考・全国国民年金基金の年金額シミュレーターはこちら。
年金額シミュレーション|全国国民年金基金
国民年金基金の掛金は、加入時の年齢・性別・選んだ給付のタイプ・加入口数の組み合わせで決まります。掛金の上限は月額68,000円(年額816,000円)です。ただし、iDeCo(個人型確定拠出年金)にも同時加入している場合は、両方を合計した額が68,000円以内でなければなりません。この点を知らずにiDeCoの掛金を決めてしまうと、後から国民年金基金の掛金枠を削らざるを得なくなることがあります。
給付の型は全部で7種類あります。
| 口数 | 型 | 受取期間 | 保証期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 1口目のみ | A型(終身) | 生涯 | 15年あり | 万が一のとき遺族一時金あり |
| 1口目のみ | B型(終身) | 生涯 | なし | 掛金を抑えたい方向け |
| 2口目以降 | I〜V型(確定年金) | 5〜15年 | あり(型による) | ライフプランに合わせた期間設定 |
1口目は必ず終身年金(A型またはB型)を選ぶ必要があります。2口目以降にI型(確定年金15年・保証期間あり)からV型(確定年金5年・保証期間なし)を組み合わせることで、受け取り方を柔軟にカスタマイズできます。これが原則です。
もう一点、見落とされがちな制限があります。国民年金基金と「付加年金」は同時加入ができません。付加年金は月400円を追加で納めるだけで将来の年金を増やせる制度ですが、国民年金基金に加入すると自動的に選択できなくなります。どちらか一方を選ぶ判断が必要になります。
掛金の納付は口座振替のみです。また、4月から翌年3月まで1年分を前納すると、0.1か月分の掛金が割引されます。資金に余裕がある年は前納を検討する価値があります。
参考・掛金の詳細と給付の型について、公式の情報はこちら。
掛金について|国民年金基金連合会
国民年金基金の大きな特徴のひとつは、支払った掛金の全額が「社会保険料控除」として課税所得から差し引かれる点です。一般の民間個人年金保険の場合、控除できる上限は所得税で年間4万円・住民税で年間2.8万円が上限ですが、国民年金基金はこの制限がなく全額控除になります。
具体的な節税効果を数字で確認しましょう。
| 課税所得の目安 | 年間掛金 | 年間節税額の目安 | 20年間の節税総額 |
|---|---|---|---|
| 約195万円以下 | 30万円 | 約4.5万円 | 約90万円 |
| 約400万円 | 30万円 | 約9万円 | 約180万円 |
| 約500万円 | 81.6万円(上限) | 約24万円 | 約480万円 |
| 約800万円以上 | 81.6万円(上限) | 約36万円超 | 約720万円超 |
課税所得が高いほど、節税効果は比例して大きくなります。これは使えそうです。さらに、夫婦で国民年金基金に加入し収入のある方が2人分の掛金を負担すると、2人分の掛金を社会保険料控除として申告できます。iDeCoの場合は本人分しか控除対象にならないため、この点では国民年金基金の方が有利なケースがあります。
国民年金基金の予定利率は1.5%(平成26年4月以降加入分)と固定されています。一方、iDeCoで全世界株式インデックスファンドに積み立てた場合の期待利回りは過去実績ベースで年3〜5%程度です。単純な運用利回りだけで比較すると国民年金基金は見劣りします。ただし、所得税率20%・住民税率10%の方であれば節税額だけで実質利回りが30%相当引き上げられた効果があります。高所得者にとって「確実に税金を減らしながら老後資金を積み立てる手段」として機能するのが国民年金基金の本質です。
参考・節税シミュレーションが確認できる全国国民年金基金の公式ページ。
税制上のメリット|全国国民年金基金
「国民年金基金は元が取れるのか?」という疑問は、加入を検討する上で避けて通れません。損益分岐点は一般に「受給開始から約15〜16年後」とされています。65歳から受け取り始める場合、80〜81歳頃に支払った掛金の総額と受け取った年金の総額が逆転します。日本人の平均寿命は男性約81歳・女性約87歳(令和4年)ですので、到達できる可能性が十分あります。
ただし、この試算には節税額が含まれていません。掛金の社会保険料控除による節税分を自己負担軽減額として加味すると、実質的な損益分岐点はもっと早まります。課税所得が高い方なら、受給開始後10年未満で実質的に元が取れる計算になることも珍しくありません。
万が一、受給開始前や受給開始直後に亡くなった場合のリスクも確認しておきましょう。1口目のA型(終身年金・15年保証)を選んでいれば、保証期間内に亡くなっても残りの期間に相当する年金原資が遺族一時金として支払われます。B型(保証期間なし)を選んでいる場合は遺族への支払いがないため、家族への保障を重視する方にはA型の選択が合理的です。
また、国民年金基金の年金額は「加入時点で将来の受取額が確定する」という点が他の制度と大きく異なります。iDeCoや新NISAは運用成果によって受け取り額が変わりますが、国民年金基金は加入時の予定利率に基づいて受取額が決まるため、老後直前になってから「思ったより少なかった」という事態が起きません。老後の年金収入の「下限値」を確保したい方にとって、この確実性は大きな安心材料になります。
一方でインフレへの対応力は弱い制度です。国民年金や厚生年金には物価スライド制(物価・賃金の上昇に合わせて支給額が調整される仕組み)がありますが、国民年金基金にはこの仕組みがありません。30年後に物価が大幅に上昇していた場合、受け取る年金額の実質価値は目減りします。そのリスクを理解した上で加入を判断することが大切です。
参考・損益分岐点やデメリットを公認会計士・税理士が詳しく解説したページ。
国民年金基金に入ってはいけない?損益分岐点やデメリットを徹底解説|マネーフォワード
国民年金基金とiDeCoは月額合計68,000円の範囲内で同時に活用できます。ただし、両方を最大額で使うことはできないため、どちらにいくら配分するかが重要な決断になります。安定性重視なら国民年金基金、収益性重視ならiDeCoという使い分けが基本です。
3つのパターンで考えると整理しやすくなります。
🔵 安定重視型:国民年金基金に月5万円 + iDeCoに月1.8万円
→ 確実な終身年金のベースを厚くしつつ、iDeCoで運用益も狙う組み合わせです。老後の最低収入を確保したい50代以降の方に向いています。
🟢 運用重視型:国民年金基金に最小1口(月7,000〜1万円程度) + iDeCoに残りを全振り
→ インフレリスクへの対応を優先し、長期運用で資産を増やすことを目指す20〜40代向けの戦略です。
🟡 節税最大化型:国民年金基金を月6.8万円の上限フル活用
→ 課税所得が高く、運用よりも確実な節税を優先する高所得フリーランスに向いています。
いずれの場合も、まず現在のiDeCoの掛金額を確認することが先決です。すでにiDeCoに掛金を設定している方が国民年金基金に追加加入するとき、合計が68,000円を超えてしまうケースがあります。国民年金基金の加入申し込み前に必ずiDeCoの掛金月額を確認し、残枠を把握してから口数を決めましょう。
なお、国民年金基金の掛金は一度選んだ1口目の型・口数は変更や解約ができません。加入後に「やはり別の型にすれば良かった」と思っても、1口目は修正が利かない点に注意が必要です。2口目以降は増減が可能なので、最初は最小限の1口から始めて、余裕が出てきたら追加する方法も現実的な選択肢です。
参考・国民年金基金とiDeCoの違いや掛金上限について公式解説はこちら。
国民年金基金とiDeCoとの違い|全国国民年金基金
国民年金基金の年金額を確認するとき、多くの人は「今いくら受け取れるか」ばかりに注目します。しかし、実は加入年齢によって同じ掛金でも受け取れる年金額に大きな差が生まれます。これが見落とされがちな落とし穴です。
国民年金基金は加入が早いほど、同じ掛金に対して年金額が大きくなる仕組みです。たとえば30歳で加入する場合と45歳で加入する場合を比較すると、同じ月額1万円の掛金でも将来の年金額には数万円単位の差が出ます。これは加入時の掛金月額が「加入時の年齢」によって決まり、若いうちに加入するほど1口あたりの掛金が安い(=同じ掛金で多くの口数を購入できる)設計になっているためです。
逆に50歳1か月以上で加入するケースでは年金額が年齢共通の固定額に変わります。国民年金基金連合会の公式サイトには「50歳1月以上の方の年金額表」が掲載されており、54歳・55歳・60歳など加入時年齢別の年金額(年額)が確認できます。たとえば55歳0ヶ月で加入した場合の1口あたりの年金額は男女共通で年額57,760円です。
フリーランス転身を機に加入を検討する方も多いですが、転身直後に加入するか、数年様子を見てから加入するかで生涯受取総額が変わります。「いつか入ろう」という後回しが実質的な損失につながるケースがあります。加入を迷っているなら、まずシミュレーターで30歳・35歳・40歳それぞれの掛金と年金額を比較してみるのが具体的な一歩です。
また、加入申し込みは誕生月に合わせるとわずかに有利です。誕生月以外の月に加入した場合、誕生月までの加入日数に応じて「加算額」が支払われますが、誕生月加入が最もシンプルで計算しやすくなります。50歳を目前にしている方は、誕生日前の加入を意識するだけで給付設計が分かりやすくなります。
参考・50歳以上で加入した場合の年金額が確認できるページ。
50歳1月以上の方の年金額|国民年金基金連合会

10分で学べる国民年金基金: スキマ時間錬金術part⑥国民年金基金システムで老後や長い将来に安心をプラスする 10分で学べるスキマ時間錬金術