

貸別荘1軒だけなら雑所得扱いです
貸別荘の収入は、原則として雑所得に区分されます。所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は通常不動産所得になりますが、貸別荘は単純な不動産の貸付けとは異なる扱いを受けるケースが多いのです。
所有する別荘を1軒だけ貸し付ける場合や、副業として貸別荘を行う場合には、雑所得に該当する可能性が高くなります。これは事業規模や継続性、営利性といった観点から判断されるためです。雑所得に区分されると、収入を得るために支払った費用は経費として計上できますが、赤字については他の所得と損益通算ができません。
参考)貸別荘運営1年目の教科書~11章_節税に関して~|とみーさん…
つまり他の事業で黒字が出ていて、貸別荘で赤字が出ていても損益を相殺できないため、黒字に対して課税されてしまいます。サラリーマンが副業で行う貸別荘の所得は、給与所得と損益通算できないということですね。
参考)ブログエラー
貸別荘の収入が不動産所得になるのは、事業的規模で行われている場合です。不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、社会通念上で妥当かどうかで判断されます。
具体的な判断基準として、アパートなどはおおむね10室以上、貸家はおおむね5棟以上という目安が示されています。これらの規模を満たす場合は、不動産所得として申告することができます。重要なのは、貸付けの規模が大きくなっても、所得の種類はあくまで不動産所得であり、事業所得にはならないという点です。
参考)No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸…
不動産賃貸業を営んでいる方が、契約期間の満了等による不動産の貸付け終了後、次の賃貸契約が締結されるまでの間、一時的に貸別荘を行った場合に得る所得は、雑所得とせず不動産所得に含めることも認められています。
営業実態に基づいた柔軟な判断が可能です。
参考)https://www.mansion.mlcgi.com/law_h12.htm
国税局は不動産の貸付けが事業に該当するかどうかについて、貸付口数、貸付金額、利率、貸付けの相手方、担保権の設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況その他諸般の状況を総合勘案して判定します。
参考)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/02.htm
貸別荘が事業所得に区分されるのは、食事を提供する場合です。所得税法の基本通達によれば、アパートや貸間等のように食事を供さない場合の所得は不動産所得ですが、下宿等のように食事を供する場合の所得は事業所得または雑所得とされています。
参考)民泊から得た収入の所得区分は事業所得?それとも不動産所得?
食事付きで部屋を賃貸した場合は、民宿や旅館経営と同じ扱い(サービス事業)となり、事業所得とされます。これは不動産の貸付けではなく、サービスの提供が主体となるためです。
貸別荘を本業として営むのであれば、貸別荘の収益は事業所得に該当するため、損益通算が可能です。営利性や継続性、そしてサービスの実態を客観的に確認することがポイントです。プラットフォームに継続して掲載し、不特定多数の宿泊者を繰り返し受け入れている場合は、営利性・継続性が強いとみなされます。
参考)民泊の消費税・固定資産税はどうなる?確定申告前に知りたい税金…
不動産業者が販売の目的で取得した土地や建物を一時的に貸し付けた場合における当該貸付けによる所得は、不動産業から生ずる事業所得に該当します。不動産売買業等の事業付随収入と考えられるためです。
貸別荘の所得区分を判定する際には、いくつかの実務上のポイントがあります。まず、貸付物件の数と貸付先を確認することです。貸付先が1社のみであり、いわゆる5棟10室の条件を満たしていない場合、不動産所得を生ずべき事業に該当しないとされた裁決事例があります。
参考)https://www.kfs.go.jp/service/JP/68/07/index.html
次に、宿泊サービスの提供内容を確認します。宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供が行われている場合、単純な不動産の貸付けとは異なる判断がなされる可能性があります。住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業の場合、宿泊日数も制限されており、その性質や事業規模・期間などを踏まえると、原則として雑所得に区分されます。
経費計上の範囲も重要です。別荘を貸し付ける最大のメリットは、発生した支出を経費として計上できる点です。プライベートで利用するだけの別荘は、固定資産税や修繕費などを経費として計上できないため、所有しているだけで手元の現金が減少します。経費として計上できる範囲を正確に把握しておく必要がありますね。
不動産所得の詳細な判定基準については、国税庁の基本通達を参照してください
貸別荘の所得区分によって、税務上の取扱いに大きな違いが生じます。
最も重要な違いは、損益通算の可否です。
不動産所得が赤字なら、他の所得と通算できますが、雑所得の赤字は他の所得と通算できません。
雑所得に区分された場合、確定申告を白色でしかおこなえませんし、所得が赤字でも損益通算がおこなえないなど、税務対策面で不利になる場合があります。一方、不動産所得として事業的規模に該当する場合は、青色申告特別控除などの税制上の優遇措置を受けることができます。
参考)https://www.felix-japan.jp/blog/details_1418.html
事業所得に該当する場合は、さらに幅広い経費計上が認められます。下宿等のように食事を供する場合の所得は、事業所得又は雑所得とされ、サービス事業としての実態に応じた処理が可能です。民泊から得た収入の場合、賃貸物件の1室を民泊で利用する場合の収入は不動産所得に該当しますが、食事の提供をしない民泊は事業所得ではないと考えられます。
基本的に「他の事業で赤字が出たから、貸別荘の収益と相殺しよう」ということは、副業として行う場合にはできないものと考えておく必要があります。税務担当者として所得区分を正確に判定し、適切な申告を行うことが求められます。
不動産所得に関する裁決事例については、国税不服審判所の公表裁決事例を確認することをおすすめします