配偶者加給年金とは障害年金で得する受給条件と注意点

配偶者加給年金とは障害年金で得する受給条件と注意点

配偶者加給年金とは障害年金の仕組みと注意点まとめ

妻が障害年金をもらうと、夫の加給年金が年40万円消える。


この記事のポイント3選
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配偶者加給年金は障害厚生年金1・2級のみ

配偶者加給年金が加算されるのは障害厚生年金の1級・2級受給者だけ。3級や障害基礎年金には対象外となるため、自分の等級を必ず確認しましょう。

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配偶者が障害年金を受けると加給年金は停止

配偶者が障害年金を受け取り始めると、その翌月から加給年金は支給停止。遡及認定の場合は過去分の返納を求められるケースもあります。

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受給後の結婚・出産でも加算申請できる

障害年金受給中に結婚や出産をした場合も、届け出ることで翌月分から配偶者・子の加算が追加されます。手続きが遅れると過去分は原則もらえません。


配偶者加給年金とは障害年金における加算制度の基本と仕組み

配偶者加給年金とは、障害厚生年金の受給者に扶養する配偶者がいる場合に、基本の年金額に上乗せして支給される加算制度のことです。わかりやすく言えば、年金制度における「家族手当」のような役割を果たしています。この制度を正確に理解することで、受け取れる年金額が年間数十万円単位で変わることがあります。


重要な前提として、この配偶者加給年金の対象となるのは障害厚生年金の1級または2級の受給者に限られます。障害基礎年金にはそもそも配偶者加給年金の制度がなく、また障害厚生年金であっても3級には加算されません。これは意外と見落とされやすいポイントです。


配偶者加給年金の額は、令和7年4月以降の基準で年額239,300円(月額換算で約19,941円)となっています。さらに、受給権者(障害年金を受け取っている本人)の生年月日に応じて、特別加算として35,400円〜176,600円が上乗せされる仕組みもあります。昭和18年4月2日以後生まれの方であれば、配偶者への加給年金合計額は年額415,900円にもなります。


金額が加算されるためには、受給者本人と配偶者の間に「生計維持関係」があることが条件です。生計維持関係とは、受給者の収入で配偶者の生活を支えている状態であり、具体的には配偶者の年収が850万円未満(または所得655万5,000円未満)であることが基準となります。


この加算は自動的に計算されるわけではありません。障害年金の申請時に配偶者の情報を正しく申告し、生計維持関係を証明する書類を提出することで初めて受け取れるようになります。戸籍謄本・住民票・所得証明書などの提出が求められます。




以下の表で、障害年金の種類と加算対象をまとめました。



























年金の種類 等級 配偶者加給年金 子の加算
障害基礎年金 1級・2級 ❌ 対象外 ✅ あり
障害厚生年金 1級・2級 ✅ あり ✅ あり(基礎年金分)
障害厚生年金 3級 ❌ 対象外


つまり厚生年金加入中に初診日がある1・2級の方が条件です。


参考:日本年金機構が公開している加給年金額と振替加算の詳細情報(令和7年度の正式な金額も記載されています)
加給年金額と振替加算 - 日本年金機構


配偶者加給年金と障害年金の支給条件と生計維持関係の認定基準

配偶者加給年金を受け取るには、複数の条件をすべて満たす必要があります。条件の見落としが、もらい損ねにつながります。


加算の対象となる配偶者の条件は以下のとおりです。



  • ❶ 受給者本人によって生計を維持されていること(年収850万円未満が目安)

  • ❷ 65歳未満であること

  • 老齢年金・退職年金・障害年金を自身が受給していないこと

  • ❹ 法律上の婚姻関係(または事実婚の場合は住民票上の続柄等で証明できること)


生計維持関係の認定について、少し深掘りします。「生計維持」は同居が必須条件ではなく、単身赴任や子供の通学のための別居であれば問題ありません。ただし、住民票が一緒というだけでは不十分で、実態として本人の収入で配偶者が生活しているかどうかが審査されます。


事実婚の場合は注意が必要です。住民票の続柄が「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されている場合には認められるケースが多いですが、それ以外では第三者の申立書など追加書類が必要になることがあります。厳しいところですね。


年収850万円という基準は、会社員の給与で考えると約70万円/月の水準です。ほとんどの配偶者は対象になると考えて問題ありません。ただし、配偶者が自営業の場合は「所得」ベースで655万5,000円未満という基準で判断されるため、確定申告書で確認しておくことが大切です。


また、「将来にわたって年収850万円未満であること」という条件になっています。現在の収入だけでなく、見通しも踏まえて判断されるため、育休中・求職中の配偶者でも原則として対象になります。


参考:年収・所得に関する生計維持の判定基準について詳しく解説されています
加給年金とは?もらえる条件や年金額、手続きや仕組みをわかりやすく解説 - 三菱UFJ銀行


配偶者が障害年金を受けると加給年金が停止される仕組みと返納リスク

ここは特に注意が必要なポイントです。


配偶者が障害年金を受け取り始めると、その翌月分から夫(または妻)側の加給年金は支給停止になります。これは見落としやすいルールで、知らないままでいると深刻な金銭的損失を招くことがあります。


具体例で確認します。夫が老齢厚生年金を受給していて、そこに配偶者(妻)への加給年金が年間約40万8,000円(月約3万4,000円)加算されていたとします。ここで妻が障害年金を申請・受給することになった場合、その翌月から夫の加給年金は消えます。仮に障害厚生年金の加給年金であれば年約23万5,000円(月約2万円)の停止です。


さらに問題になるのが「遡及認定」のケースです。妻の障害年金が過去にさかのぼって認定された場合、夫の加給年金も同じ期間にさかのぼって支給停止の処理がされます。すでに受け取り済みの加給年金は過払いとなり、一括返納を求められることになります。この返納額が数十万円になるケースも実際にあります。痛いですね。


また、加給年金が停止されるのは障害年金だけではありません。配偶者が老齢厚生年金(厚生年金加入期間240ヶ月以上)の受給権を得た時点でも停止されます。令和4年4月以降の法改正により、老齢年金を「実際に受け取っていなくても」受取権利が発生した時点で停止対象となるよう変わりました。これは見逃されやすい改正です。


停止が発生した際は「老齢・障害給付加給年金額支給停止事由該当届」の提出が必要です。届け出が遅れると過払いが積み重なり、後から一括返還を求められるリスクが高まります。変化があったらすぐに届け出ることが原則です。


参考:加給年金支給停止の届出と対象となる公的年金の種類について(日本年金機構の公式情報)
障害厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受ける場合の届出について - 日本年金機構


配偶者加給年金と障害年金の受給後に結婚・出産した場合の手続き

障害年金を受給した後に結婚した、または子供が生まれたという場合でも、配偶者加給年金や子の加算を後から申請することができます。これを「事後加算」といいます。


つまり、受給開始時に独身だったからといって、加算をあきらめる必要はありません。受給後に結婚した場合には配偶者加給年金の加算手続きを、出産した場合には子の加算の手続きをそれぞれ行うことで、翌月分から加算が開始されます。


ただし、事後加算には重要なルールがあります。届け出た月の翌月分から加算が始まりますが、過去に遡って加算を受け取ることは原則できません。
たとえば、結婚して1年後に手続きをした場合、過去1年分の加算は受け取れないまま終わります。年額415,900円が1年間もらえなかったとすると、約41万円の損失になります。これは使えそうです。


子の加算額は令和7年度で第1子・第2子が1人あたり年額239,300円、第3子以降は79,800円です。子供が3人いる場合、単純計算で年間約55万8,400円(239,300×2+79,800)が上乗せされます。月額換算では約4万6,533円という大きな加算になります。東京都の平均的な保育料(月約3万円)を大きく上回る補助と考えると、その重要さがわかります。


子の加算の対象となる子供の範囲は、18歳到達年度の末日(3月31日)まで、または障害がある場合は20歳未満までです。大学生は対象外になります。また養子も実子と同様に対象になります。


逆に、子供が18歳年度末を迎えた・離婚したなどの事由で加算が終わる場合も、速やかな届け出が必要です。届け出を怠って加算を受け取り続けると、過払いとして返納を求められます。変化があったら年金事務所に確認することをお勧めします。


参考:障害年金の受給権発生後に結婚した場合の加給年金加算に関するQ&A(国家公務員共済組合連合会)
独身でしたがその後結婚して、配偶者がいます。私の障害厚生年金に加給年金は加算されますか? - KKR


配偶者加給年金と障害年金の振替加算という意外な救済措置

配偶者が65歳になると、加給年金は終了します。しかしそこで終わりではありません。一定の要件を満たす配偶者には「振替加算」という制度が用意されており、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に加算が上乗せされます。


振替加算の対象者は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた配偶者で、かつ自身の厚生年金加入期間が240ヶ月未満の方です。昭和41年4月2日以降生まれの方は振替加算がゼロになるため、注意が必要です。


金額は配偶者の生年月日によって異なります。たとえば昭和2年4月1日以前生まれであれば年額238,600円(月額約19,883円)ですが、昭和40年4月2日〜昭和41年4月1日生まれでは年額16,033円(月額約1,336円)まで下がります。生年月日によって受け取れる額が大きく異なる点が特徴です。


振替加算を受けるには、老齢基礎年金の裁定請求書に配偶者の年金証書番号・基礎年金番号・氏名・生年月日を正確に記入する必要があります。記入が漏れると加算がされないまま手続きが終わってしまいます。


また、加給年金の対象者(配偶者)が受給者より年上の場合は、受給者が65歳になる前に配偶者がすでに65歳を超えているため、加給年金そのものが受け取れない局面もあります。その場合でも振替加算の要件を満たしていれば、配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。ただし、この場合は「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を年金事務所に別途提出する必要があります。


障害厚生年金を受給している方の配偶者についても振替加算の制度は適用されます。



  • 🔁 加給年金 → 配偶者が65歳に達すると終了

  • ✅ 振替加算 → 代わりに配偶者自身の老齢基礎年金に上乗せ

  • ⚠️ 昭和41年4月2日以降生まれは振替加算がゼロ

  • 📝 手続きは裁定請求書への記入と書類提出が必須


振替加算は、長年専業主婦(主夫)として家庭を支えてきた配偶者のために設けられた制度です。厚生年金への加入が少ない分、老後の基礎年金を補う仕組みと理解しておけばOKです。


参考:振替加算の仕組み・対象者・金額早見表が公式に掲載されています
加給年金額と振替加算 - 日本年金機構(令和7年4月更新)