所得証明書年金請求時の添付省略マイナンバー活用

所得証明書年金請求時の添付省略マイナンバー活用

所得証明書年金請求添付

年金請求時の所得証明書添付について
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マイナンバーによる省略

平成29年度以降の所得はマイナンバー情報連携で証明書添付を省略可能

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配偶者の生計維持確認

老齢年金で配偶者がいる場合は収入確認のため所得証明書が必要

遡及請求の注意点

5年以上遡及する場合は複数年度の所得証明書が必要になる場合がある

所得証明書年金請求で必要な場合

年金請求において所得証明書が必要となるケースは、主に以下の3つの状況に分けられます。

 

障害年金の請求時
障害年金の申請では原則として所得証明書の添付が必要でしたが、現在ではマイナンバー情報連携により、ほとんどの場合で省略可能となっています。ただし、以下の条件に該当する場合は所得証明書の添付が必要です。

  • マイナンバーによる情報連携ができない場合
  • 5年以上遡及して請求する場合(平成29年度より前の期間)
  • 対象者のマイナンバーが適切に申出されていない場合

老齢年金の請求時
老齢基礎年金や老齢厚生年金を請求する際、配偶者や18歳未満の子がいる場合には、生計維持関係を確認するために所得証明書が必要となります。具体的には。

  • 厚生年金の加入期間が20年以上で配偶者または子がいる場合
  • 配偶者の厚生年金加入期間が20年以上の場合(本人の加入期間が20年未満)
  • 年収850万円(所得655.5万円)以上を将来にわたって有しないことの確認

その他の年金受給者
現在年金を受給している方でも、健康保険組合の被扶養者認定などで所得証明書の提出が求められる場合があります。各種年金(厚生年金・企業年金・個人年金・遺族年金・障害年金等)も収入として確認対象となるため、無職・無収入の方でも課税証明書または所得証明書が必要です。

 

所得証明書マイナンバー省略の条件

マイナンバー制度の導入により、年金請求時の所得証明書添付が大幅に簡素化されました。しかし、省略には以下の条件をすべて満たす必要があります。

 

省略可能な基本条件

  • 年金請求書にマイナンバーを正確に記入すること
  • 対象者の情報がマイナンバー情報連携によって取得できること
  • 年金の支給開始が平成29年8月分以降であること

情報連携の対象期間
マイナンバー情報連携により取得できるのは、平成29年度(平成28年分)以降の所得情報に限られます。それより前の期間については、従来通り所得証明書の添付が必要となります。

 

年金請求者本人のマイナンバー
基礎年金番号とマイナンバーが紐づいている場合がほとんどなので、あらためてマイナンバーの申出をする必要はありません。ただし、配偶者や子のマイナンバーについては、年金請求書の該当欄に記入することで、戸籍抄本や住民票、所得証明書の添付を省略できます。

 

省略できない例外ケース
以下の場合はマイナンバーを記入していても所得証明書の添付が必要です。

  • 海外居住期間がある場合
  • マイナンバーの登録に問題がある場合
  • 審査の過程で追加確認が必要と判断された場合
  • 平成28年以前の所得確認が必要な場合

所得証明書障害年金遡及請求時の年度

障害年金の遡及請求において、所得証明書が必要な年度の計算は複雑で、多くの申請者が混乱する部分です。特に5年以上遡及する場合の考え方を詳しく説明します。

 

所得証明書の基本ルール
所得証明書は前年(1月1日~12月31日)の所得を証明するものです。例えば、令和5年度の所得証明書は令和4年1月1日から12月31日までの所得を証明します。この証明書を取得できるのは、一般的に6月以降となります。

 

審査期間と使用年度の関係
ある年度の所得証明書によって審査する期間は、当年8月分~翌年7月分となっています。つまり。

  • 1月分~7月分:前年度の所得証明書
  • 8月分~12月分:当年度の所得証明書

5年以上遡及請求の具体例
令和3年7月に請求する場合の必要な所得証明書。

請求月 時効消滅しない期間 必要な所得証明書年度
令和3年1月 平成27年12月分以降 平成27年度以降
令和3年9月 平成28年8月分以降 平成28年度以降

5年未満の遡及請求・事後重症請求
遡及期間が5年以下の場合や事後重症による請求の場合は、対応する期間の所得証明書のみで足ります。例えば、令和3年7月に障害認定日が令和2年1月の障害年金を遡及請求する場合、「令和元年度(平成30年分)」以降の所得証明書が必要です。

 

所得証明書老齢年金配偶者の生計維持

老齢年金における配偶者の生計維持関係の確認は、年金額に大きく影響する重要な要素です。配偶者加給年金や振替加算の対象となるかどうかが決まるため、正確な所得証明書の準備が必要です。

 

生計維持の2つの要件
生計を維持されているといえるためには、以下の2つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 生計を同じくしていること(同居または単身赴任等で住所が異なっていても生活費を共にしている)
  • 年収850万円(所得655.5万円)以上を将来にわたって有しないことが認められること

配偶者の収入確認書類
配偶者の収入確認のために必要な書類は以下のとおりです。

これらの書類は、マイナンバーを記入することで添付を省略できますが、審査の過程で必要となる場合があります。

 

将来の収入減少見込み
現在の年収が850万円以上であっても、おおむね5年以内に850万円未満となる見込みがある場合は、「退職年齢が確認できる勤務先の就業規則のコピー」等、収入が減少する見込みであることを確認できる書類の添付が必要です。

 

子の収入確認
18歳到達年度末までの子についても生計維持関係の確認が必要です。

  • 義務教育終了前:収入確認書類は不要
  • 高等学校等在学中:在学証明書または学生証のコピー
  • その他:所得証明書等の収入確認書類

所得証明書年金審査の知られざる落とし穴

年金請求における所得証明書の取り扱いには、一般的に知られていない重要なポイントがいくつかあります。これらを理解していないと、申請が遅れたり、追加書類の提出が必要になったりする可能性があります。

 

所得証明書の有効期限
所得証明書には明確な有効期限の記載がありませんが、年金請求においては提出日から6カ月以内に交付されたものが求められる場合があります。特に老齢年金の請求では、65歳の誕生日の前日以降、年金請求書の提出日の6カ月以内に交付された書類が必要です。

 

非課税証明書の重要性
所得がない場合でも、「非課税証明書」の提出が必要になることがあります。特に配偶者が専業主婦の場合など、所得証明書や課税証明書が交付されない場合は、必ず非課税証明書を取得する必要があります。これを知らずに手続きが進まないケースが少なくありません。

 

複数の自治体にまたがる場合
転居により複数の自治体にまたがって居住していた場合、それぞれの自治体から所得証明書を取得する必要があります。特に年の途中で転居した場合は注意が必要で、1月1日時点の住所地の自治体から所得証明書を取得することになります。

 

年金以外の収入の取り扱い
各種年金(厚生年金・企業年金・個人年金・遺族年金・障害年金等)はすべて収入として確認対象となります。これには雑所得として確定申告していない個人年金なども含まれるため、見落としがちな収入がないか十分に確認することが重要です。

 

電子申請との併用時の注意点
近年、年金手続きの電子化が進んでいますが、所得証明書については電子データでの提出ができない場合が多く、紙の証明書の郵送が必要となることがあります。電子申請を利用する場合でも、所得証明書の取り扱いについては事前に確認することが大切です。

 

これらの落とし穴を理解し、適切な準備をすることで、スムーズな年金請求手続きが可能になります。不明な点があれば、年金事務所や社会保険労務士に相談することをお勧めします。

 

日本年金機構の公式情報
https://www.nenkin.go.jp/