中小企業投資促進税制パンフレットで学ぶ節税と設備投資

中小企業投資促進税制パンフレットで学ぶ節税と設備投資

中小企業投資促進税制パンフレットで知る設備投資節税の全て

資本金3,000万円超の会社は、税額控除7%が受けられず損をしています。


📋 この記事の3つのポイント
💰
取得価額の最大7%を法人税から直接控除できる

中小企業投資促進税制では、160万円以上の機械装置等を購入した際に、取得価額の30%特別償却または7%の税額控除が受けられる。適用期限は2027年3月31日まで延長済み。

⚠️
資本金3,000万円を境に受けられる優遇が変わる

資本金3,000万円以下なら特別償却・税額控除の両方を選択可能。しかし3,000万円超の法人は特別償却のみに限定され、税額控除は一切使えない点に注意が必要。

📝
中古品・コインランドリー設備など対象外が意外と多い

新品設備のみが対象で中古品はNG。また電子計算機(パソコン)も2017年の改正で対象外に。知らずに申請しても却下される可能性があるため、事前確認が必須。


中小企業投資促進税制パンフレットの基本概要と適用期限


中小企業投資促進税制は、中小企業の生産性向上を後押しするために設けられた設備投資減税の制度です。1998年(平成10年)6月から続く歴史ある制度で、令和7年度税制改正によって適用期限がさらに2年延長され、2027年(令和9年)3月31日まで利用可能となっています。


中小企業庁が毎年度発行する「中小企業税制パンフレット」は76ページにも及ぶ資料で、この制度を含むさまざまな税制優遇措置を網羅しています。金融や経営に興味のある方にとって、まず手に取るべき一次情報のひとつです。制度の骨格はシンプルです。


対象となる設備を新品で取得した際に、取得価額の30%の特別償却、または7%の税額控除のどちらかを選んで適用できます。たとえば2,000万円の機械装置を購入した場合、税額控除を選べば140万円を直接法人税から差し引くことができるわけです。これは大きなメリットです。


注意すべき点として、この制度は確定申告の際に必要書類を添付するだけで申請できます。つまり、事前に行政機関へ計画書を提出したり、認定を受けたりする手続きは一切不要です。手続きが非常に簡便な点も、使いやすさの理由のひとつです。


制度の最新情報は、中小企業庁の公式HPで毎年度版のパンフレットとして無償公開されています。


参考リンク:中小企業庁が公開する制度の公式ページ(対象者・対象設備・措置内容を確認できます)
中小企業投資促進税制(中小企業庁公式ページ)


中小企業投資促進税制パンフレットが示す対象者と対象設備の要件

この制度を使うためには、まず「自社が対象者に該当するか」を正確に把握する必要があります。見落としが多い落とし穴がここに潜んでいます。


対象者は、青色申告書を提出している中小企業者等です。具体的には資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合などが該当します。個人事業主の場合は従業員数1,000人以下であれば対象になります。


ただし、注意点があります。いくら資本金が1億円以下であっても、大規模法人(資本金5億円以上の法人など)が発行済み株式の2分の1以上を保有している場合は対象外です。また、前3事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人も除外されます。つまり規模だけでなく、株主構成も確認が必要です。


対象業種も重要で、製造業・建設業・小売業・飲食業・情報通信業など幅広い業種が対象に含まれていますが、娯楽業(映画業を除く)や性風俗関連特殊営業は対象外となります。


対象設備について、具体的な要件は以下の通りです。


| 設備の種類 | 取得価額の下限 |
|---|---|
| 機械及び装置 | 1台160万円以上 |
| 測定工具・検査工具 | 1台120万円以上、または1台30万円以上かつ合計120万円以上 |
| 一定のソフトウェア | 1つ70万円以上、または合計70万円以上 |
| 貨物自動車 | 車両総重量3.5トン以上の普通自動車 |
| 内航船舶 | 取得価額の75%が対象 |


ここで特に注意したいのが、パソコンなどの電子計算機は2017年(平成29年)の税制改正で対象外になったという点です。「IT系の設備だから使えるはず」と思って購入してしまうと、申請できないケースがあります。電子計算機や器具備品への設備投資を考えている場合は、後述する「中小企業経営強化税制」の利用を検討してください。これが基本です。


参考リンク:国税庁による制度の詳細解説(適用対象法人・対象資産の要件を網羅的に確認できます)
No.5433 中小企業投資促進税制(国税庁タックスアンサー)


中小企業投資促進税制パンフレットの特別償却と税額控除の使い分け

制度の核心は「特別償却と税額控除のどちらを選ぶか」です。この選択を誤ると、得られるはずの節税効果を取り逃がすことになります。


特別償却とは、設備を取得した初年度に、通常の減価償却に加えて取得価額の30%を追加で費用計上できる制度です。500万円の機械を購入した場合、初年度に150万円を特別に経費として計上できます。これは資金繰りが楽になりますね。


ただし特別償却は「課税の繰り延べ」に過ぎないことを理解しておく必要があります。長期間で見たときの法人税の総支払額は変わらず、あくまで税金を後ろに先送りしているだけです。つまり節税ではなく、キャッシュフロー改善が目的の制度です。


税額控除は、法人税から直接7%を差し引ける制度です。こちらは「永久的な節税効果」があります。500万円の設備を購入した場合、35万円がそのまま法人税から消えます。


ただし制約があります。税額控除は、その事業年度の調整前法人税額の20%を上限としています。また赤字の年度には法人税が発生しないため、その恩恵を受けられません。税額控除を使うには利益が出ていることが条件です。


💡 どちらを選ぶべきか?の目安


- 🔵 税額控除が向いているケース → 毎年安定して利益が出ており、長期的な節税総額を最大化したい会社
- 🟠 特別償却が向いているケース → 設備投資直後に資金繰りが厳しく、今期の税負担を抑えたい会社、または今年だけ一時的に利益が大きく出た会社


もうひとつ重要な事実があります。資本金3,000万円超1億円以下の法人は、税額控除が一切使えません。特別償却のみの適用となります。資本金を増資した際に気づかないまま適用外になるケースがあるため、増資を検討している段階で必ず確認が必要です。


参考リンク:税額控除と特別償却の使い分けについて詳しい税理士法人の解説記事
中小企業投資促進税制における税額控除と特別償却の使い分け(みそら税理士法人)


中小企業投資促進税制パンフレットに載らない申請手続きと必要書類

制度の要件をクリアしても、申請手続きを誤ると適用が認められないケースがあります。手続き自体はシンプルですが、細かいルールがあります。


法人が申請する場合、確定申告書に以下の書類を添付します。


📋 法人の場合(特別償却を選ぶとき)
- 特別償却の付表(取得設備の内容・償却額を記載)
- 適用額明細書


📋 法人の場合(税額控除を選ぶとき)
- 「中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」(別表)
- 適用額明細書


個人事業主が特別償却を選ぶ場合は、青色申告決算書「減価償却の計算」の「割増(特別)償却費」欄に特別償却額を記入します。税額控除の場合は「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を添付します。法人と個人で使う書類が異なります。


注意点として、税額控除には1年間の繰越制度があります。税額控除限度額が法人税額の20%を超えて控除しきれなかった場合に限り、翌1年間だけ繰り越して使えます。ただしこれは「1年のみ」であり、使い切れなかった部分は消滅してしまいます。


もうひとつ見落としやすいのが、補助金との併用です。国や地方公共団体から補助金を受けながら設備投資をした場合でも、原則として本税制の対象になります。ただし一部の補助事業では併用を制限していることがあるため、補助事業の公募要領を事前に確認する必要があります。補助金と税制の組み合わせは有利ですが、確認は必須です。


また税理士に依頼する場合でも、事前に「中小企業投資促進税制を使いたい旨」を明示して相談することで、最適な申告書作成につながります。制度を知っているかどうかで、年間の税負担に数十万円から数百万円の差が生まれることもあります。


中小企業投資促進税制パンフレットと中小企業経営強化税制を徹底比較

「中小企業投資促進税制」とよく混同されるのが「中小企業経営強化税制」です。両者はどう違うのか、正確に理解することが節税戦略を立てる上で重要です。


最大の違いは節税の深さと手間のバランスです。経営強化税制は即時償却(取得価額100%)または10%の税額控除が受けられるため、節税効果は明らかに大きいです。一方で、この制度を使うためには「経営力向上計画」の認定を受ける必要があり、工業会の証明書や経済産業局の確認書の取得といった手続きが別途発生します。


以下の表で主要な違いを整理しました。


| 比較項目 | 中小企業投資促進税制 | 中小企業経営強化税制 |
|---|---|---|
| 特別償却率 | 30% | 100%(即時償却) |
| 税額控除率(資本金3,000万円以下) | 7% | 10% |
| 税額控除率(資本金3,000万円超) | なし | 7% |
| 申請手続き | 確定申告のみ | 経営力向上計画の認定が必要 |
| 器具備品・建物附属設備 | 対象外 | 対象(30万円以上等) |
| 貨物自動車・船舶 | 対象 | 対象外 |


投資促進税制の節税効果(取得価額合計ベース)は資本金3,000万円以下の場合で約8%程度です。経営強化税制では同じ条件で約12%程度となり、節税効果の差は約4%分になります。


たとえば3,000万円の設備投資なら差額は約120万円になります。この差額と、経営強化税制の手続きに費やす時間・コストを天秤にかけて判断することが現実的な選択です。


また、貨物自動車や内航船舶への投資には経営強化税制が使えないため、投資促進税制一択になります。設備の種類によって使える制度が決まることも覚えておくべき重要な知識です。


参考リンク:両税制の詳細比較(取得価額の下限・税額控除の算定式・節税効果を表で比較)
中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制との比較(税理士事務所解説ページ)


中小企業投資促進税制パンフレットが教えない対象外のリスクと損失回避策

この税制で見落とされがちなのが「対象外」に該当するパターンです。知らずに設備を購入してしまうと、せっかくの節税機会を丸ごと失います。


まず中古品は一切対象外です。これは多くの方が見落としています。コスト削減を目的として中古機械を購入した場合、取得価額が160万円を超えていても本税制は使えません。中古設備で節税したい場合は、別の手法(一括償却資産や少額減価償却資産の特例など)を検討する必要があります。


次にリース資産の扱いも注意が必要です。「所有権移転外リース取引」により賃借人が取得した資産は、特別償却の適用ができません。ただし税額控除については適用が可能です。一方、「所有権移転リース取引」により取得した資産は特別償却・税額控除ともに使えます。リースの種類によって適用可否が変わります。


また、貸付用に取得した設備も対象外です。たとえば不動産業や物品賃貸業が他者に貸し出すために購入した機械は対象になりません。ただし内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする法人は例外として対象になります。これは例外的なルールです。


さらにコインランドリー業の機械装置のうち、管理のほぼ全てを他者に委託しているものも対象外です。コインランドリー投資をお考えの方は特に注意が必要です。


こうした対象外リスクを事前に回避するためには、設備の購入前に税理士に相談することが最も確実です。中小企業税制サポートセンター(電話:03-6281-9821)でも無料で相談を受け付けており、購入検討段階でも問い合わせが可能です。購入後では手遅れになるケースがあるので、事前確認が原則です。


参考リンク:freeeによる申請手続き・注意点の解説記事(中古・リース資産の扱いについても詳しい)
中小企業投資促進税制とは?対象設備や申請に必要な書類について解説(freee)




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