

按分後の金額で判定してはダメです。
少額減価償却資産の特例は、青色申告をしている個人事業主が30万円未満の減価償却資産を取得した際、取得価額の全額を取得年度に一括で経費計上できる制度です。通常、10万円以上の固定資産は法定耐用年数にわたって減価償却しなければなりませんが、この特例を使えば即座に経費化できます。
参考)少額減価償却資産の特例とは?青色申告の節税制度を活用しよう …
つまり節税効果が高いということですね。
正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といい、租税特別措置法第28条の2で定められています。この特例を利用すると、パソコンやデスクなどの備品を購入した年に全額経費にでき、その年の所得を圧縮して税負担を軽減できます。
参考)少額減価償却資産の特例が個人事業主にもたらすメリットは?
ただし年間300万円が上限です。
1事業年度における少額減価償却資産の取得価額合計が300万円を超える場合、超過分には特例を適用できません。また、2022年4月1日以降に取得したものについては、貸付用途に供した資産は対象外となっています(主要事業として行うものは除く)。適用期間は2026年3月31日までとされていますが、延長される可能性があります。
参考)GROW UP MAGAZINE 「少額減価償却資産の特例が…
個人事業主が少額減価償却資産の特例を適用する場合、青色申告決算書の3ページ目「減価償却費の計算」欄に記入します。
記入が必要な項目は3つあります。
記入は3箇所だけです。
まず「減価償却資産の名称等」欄に「少額減価償却資産」と記入します。次に「取得年月」欄には申告する年度だけを記入し、「取得価額」欄にはその年度に取得した少額減価償却資産の取得価額の合計額を記入します。
参考)【青色申告】青色申告事業者が少額減価償却資産の必要経費算入を…
そして摘要欄への記載が最重要です。
摘要欄には「少額減価償却資産の取得価額の合計額」「少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨」「少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨」の3点を記載する必要があります。具体的には「措法28の2 明細は別途保存」と簡潔に記入すればOKです。
参考)税理士ドットコム - [青色申告]確定申告書第二表に「措法2…
国税庁「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」
こちらの国税庁ページでは、個人事業主向けの少額減価償却資産の特例の公式要件と記入方法が詳しく解説されています。
確定申告書の第二表「特例適用条文等」欄への記載は不要です。青色申告決算書の減価償却費の計算欄への記載だけで十分です。
参考)減価償却をすることで記載することについて - 税理士に無料相…
取得価額が30万円未満かどうかの判定は、取引単位ごとに行います。機械装置なら1台、工具や備品なら1個、1組といった通常取引される単位ごとに判定されます。
参考)少額減価償却資産の特例とは?制度の概要から具体例までわかりや…
按分前の金額で判定が原則です。
個人事業主が家事按分する資産の場合、判定基準に注意が必要です。例えば100万円の中古車を事業割合20%で購入した場合、按分後は20万円になりますが、少額減価償却資産の判定は元の取得価額(100万円)で行います。したがって30万円以上なので特例は適用できません。
参考)少額減価償却資産の判定は、事業割合をかけた後?かける前?
共有の場合だけ例外です。
共有資産の場合は、自己の持分に係る価額をもって取得価額とします。例えば100万円の資産のうち1/4の持分を取得した場合、100万円×1/4=25万円が判断基準となり、少額減価償却資産の特例を利用できます。
消費税の処理方法も判定に影響します。税込経理なら消費税を含めて判定し、税抜経理なら消費税を含めずに判定します。
個人事業主は少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を作成し、別途保管しておく必要があります。確定申告時に明細書の添付は必須ではありませんが、青色申告決算書に「明細は別途保管している旨」を記載する義務があります。
保管していないと否認されます。
明細書には資産ごとに名称、取得年月日、取得価額などを記録します。税務調査が入った際に明細書の提示を求められることがあるため、少なくとも7年間は保管しておくべきです。
参考)青色申告者が「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」を使う際…
明細書のテンプレートは国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。法人向けの別表16(7)という様式がありますが、個人事業主は独自の形式で作成しても問題ありません。エクセルなどで資産名、取得日、金額、使用目的を一覧にしておけば十分です。
参考)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0307/01.htm
記録漏れに注意しましょう。
購入時にレシートや領収書と一緒に明細を作成しておくと、年度末にまとめて作業する手間が省けます。会計ソフトを使っている場合は、固定資産台帳の機能を活用すると自動的に明細が作成されるため便利です。
少額減価償却資産の特例を適用した資産は、償却資産税の課税対象となります。これは一括償却資産(20万円未満を3年均等償却)と大きく異なる点です。
参考)少額減価償却資産は償却資産税の対象?計算方法や申告書の書き方…
一括償却は対象外です。
償却資産税は市区町村に対して申告する固定資産税の一種で、毎年1月31日までに前年中に取得した償却資産を申告します。少額減価償却資産の特例で全額経費にした資産も、償却資産税の申告書には記載しなければなりません。
税率は1.4%が基本です。
償却資産税の税率は標準で1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。評価額は取得価額に減価率を掛けて計算し、前年取得の資産なら評価額=取得価額×0.658、前年より前に取得した資産なら評価額=取得価額×0.316といった計算式になります。
課税標準額が150万円未満なら非課税です。
すべての償却資産の評価額合計が150万円未満であれば、償却資産税はかかりません。したがって小規模な個人事業主の場合、実質的に償却資産税の負担が生じないケースも多くあります。ただし申告義務自体は残るため、毎年忘れずに申告書を提出しましょう。
マネーフォワード「少額減価償却資産は償却資産税の対象?計算方法や申告書の書き方も解説」
こちらの記事では、少額減価償却資産にかかる償却資産税の具体的な計算例と申告書の書き方が詳しく解説されています。
ソフトウェアも少額減価償却資産の特例の対象になります。通常、ソフトウェアは無形固定資産として5年間で減価償却しますが、取得価額が30万円未満であれば特例を適用して初年度に全額経費計上できます。
参考)ソフトウェアは少額減価償却資産に計上できる?メリットや仕訳方…
クラウド型は対象外です。
ただしクラウド型のソフトウェアは資産として扱わず、利用料として経費処理するため、少額減価償却資産の特例の対象外となります。買い切り型のパッケージソフトやダウンロード型のソフトウェアが対象です。
適用期間は2026年3月31日までです。
ソフトウェアが少額減価償却資産になるには、取得日が2006年4月1日から2026年3月31日の間であることが条件です。また青色申告法人である中小企業者等に該当し、年間300万円以内という上限も適用されます。
一括償却資産との比較も重要です。
一括償却資産は20万円未満のソフトウェアに適用でき、3年間で均等償却します。一方、少額減価償却資産は30万円未満まで対象範囲が広く、1年で全額経費にできます。ただし償却資産税の対象になる点だけは注意が必要です。