市町村民税とは:基本仕組みから税率計算まで

市町村民税とは:基本仕組みから税率計算まで

市町村民税とは

市町村民税の基本概要
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地方税の構成

住民税を構成する重要な税目の一つ

💰
均等割と所得割

定額の均等割と所得に応じた所得割で構成

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課税基準日

毎年1月1日現在の住所地で課税される

市町村民税の定義と基本的な仕組み

市町村民税とは、各市町村が住民に対して課税する地方税の一種で、住民税の重要な構成要素です 。住民税は、道府県民税と市町村民税を合わせた税金の総称で、市町村民税はその一部を担っています 。個人の市町村民税は、前年の所得を基に算出され、その年の1月1日現在に住所を有する市区町村で課税されます 。
参考)https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page18.htm

 

市町村民税の特徴として、均等割と所得割の二つの要素で構成されていることが挙げられます 。均等割は所得の額に関わらず一定の額が課されるもので、市町村民税の均等割額は3,000円(令和6年度以降)となっています 。一方、所得割は前年の所得金額に応じて課税され、税率は6%(政令指定都市では8%)が適用されます 。
参考)市民税・県民税の税額計算|春日井市公式ホームページ

 

この税金は、市町村が提供する行政サービスの財源として重要な役割を果たしており、住民が広く分担する仕組みとなっています 。市町村民税の納付は、給与所得者の場合は特別徴収(給与天引き)、事業所得者等の場合は普通徴収(自己納付)の方法で行われます 。

市町村民税と道府県民税の関係性

市町村民税と道府県民税は、住民税を構成する両輪の関係にあります 。住民税の計算において、市町村民税の税率は6%、道府県民税の税率は4%で、合計10%となっています 。ただし、政令指定都市では特別な税源配分により、市町村民税が8%、道府県民税が2%となっています 。
この政令指定都市での税率変更は、県費負担教職員の人件費負担を指定都市が引き受けることに伴う税源移譲によるものです 。実際の納税手続きでは、市町村民税と道府県民税は一体として市町村に納付し、道府県民税分は市町村から都道府県へ送金されます 。
参考)指定都市は市民税が8%!なぜ他の市町村と税率が違う?

 

均等割についても同様の仕組みがあり、市町村民税の均等割は3,000円、道府県民税の均等割は1,000円(別途森林環境税1,000円)となっています 。平成26年度から令和5年度までは東日本大震災復興財源確保のため、それぞれ500円が加算されていました 。
参考)住民税とは? 種類と計算方法、支払い時期や納め方を解説

 

市町村民税の税率と計算方法詳細

市町村民税の所得割の計算は、【課税標準額】×【税率】-【税額控除額】=【所得割額】という基本式で行われます 。課税標準額は、総所得金額から各種所得控除基礎控除、扶養控除、社会保険料控除など)を差し引いて算出されます 。
参考)個人市・府民税額の計算方法について/羽曳野市

 

税率については、一般的な市町村では市町村民税が6%ですが、政令指定都市では8%となります 。これは都市機能の高度化に伴う行政需要の増大と、県から移譲された事務に対応するためです 。具体的な計算例では、課税所得が300万円の場合、市町村民税の所得割は18万円(300万円×6%)となります 。
参考)京都市:Q8 市町村民税の額は住んでいる市町村によって違うの…

 

税額控除には調整控除、配当控除、住宅ローン控除、寄附金税額控除などがあり、これらが所得割額から差し引かれます 。調整控除は、住民税と所得税の人的控除額の差を調整するもので、市町村民税分については課税所得200万円以下の場合は3万円、200万円超の場合は(5万円-課税所得-200万円)×6%で計算されます 。
参考)個人住民税

 

市町村民税の納付方法:特別徴収と普通徴収

市町村民税の納付には特別徴収と普通徴収の二つの方法があります 。特別徴収は、事業主が従業員の給与から毎月住民税を差し引き、翌月10日までに市町村に納付する仕組みです 。この方法では年12回に分けて納付され、従業員にとっては毎月の負担が軽減されます 。
普通徴収は、納税者本人が住民税を直接納付する方法で、6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分けて納付します 。自営業者や年金受給者など、給与所得者以外の人が対象となることが多いです 。
特別徴収には納期の特例があり、従業員が常時10人未満の事業所は申請により年2回納付に変更できます 。この場合、6月から11月分を12月10日に、12月から翌年5月分を6月10日に納付することになります 。この特例により、小規模事業者の事務負担軽減が図られています 。
参考)https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tax/tebiki_1_1

 

市町村民税における政令指定都市の特殊性

政令指定都市の市町村民税には、一般の市町村とは異なる特殊な仕組みがあります 。最も大きな違いは税率で、一般市町村の市町村民税率6%に対し、政令指定都市では8%となっています 。この2%の差は、県費負担教職員の人件費を指定都市が負担することになったことによる税源移譲の結果です 。
この税源移譲により、政令指定都市では教育行政により大きな責任を持つことになり、教員の人事権や研修権限なども移譲されました 。住民にとっては、市町村民税と道府県民税の合計は一般市町村と同じ10%ですが、その内訳が市町村民税8%、道府県民税2%となっています 。
政令指定都市のこの仕組みは、地方分権の推進と大都市制度の見直しの一環として導入されたものです 。札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市が対象となっています。これらの都市では、より多くの市町村民税が地元の行政サービスに直接活用される仕組みとなっているのです。