

電子契約を選んでも税務調査に対応できません。
電子契約では契約書に印紙を貼る必要がありません。印紙税法では「紙の文書」に対して課税されるため、電子データによる契約は課税対象外です。国税庁も「電子データによる契約は現行法上、印紙税の課税対象にならない」と明言しています。
参考)電子契約はなぜ印紙税が非課税か 国税庁の見解や関連する法律を…
つまり非課税ということですね。
例えば1件あたり10万円の印紙税が必要な契約を年間100件締結している企業なら、電子契約に切り替えるだけで年間1,000万円のコスト削減が可能です。郵送費や印刷費、人件費も削減できるため、総合的なコスト削減効果は非常に大きくなります。
参考)電子契約サービスおすすめ10選
ただし、電子契約にしても税務調査には対応する必要があります。電子帳簿保存法の要件を満たして保存していなければ、せっかく電子契約を導入しても税務調査時に問題が生じる可能性があるのです。
参考)電子契約は税務署へ届出が必要?法改正による変更点や税務調査に…
税務担当者として電子契約サービスを選ぶ際は、電子帳簿保存法の要件を満たしているかを必ず確認してください。
具体的には以下の5点が重要です。
参考)税務調査に対して電子契約で対応すべきこととは?電子帳簿保存法…
電子帳簿保存法対応が条件です。
主要な電子契約サービスは基本的にこれらの要件を満たしていますが、無料プランや低価格プランでは機能制限がある場合もあります。契約書の件数が増えてきた段階で、保存期間や検索機能に制約が出ないか事前に確認しておくことが重要です。
参考)電子契約システム比較おすすめ18選 わかりやすい機能・料金表
また、2022年1月以降は税務署への事前届出が不要になりましたが、2021年12月31日以前に作成された紙の契約書をスキャナ保存する場合は「適用届出書」の提出が必要です。過去の契約書を電子化する際は注意してください。
マネーフォワード - 電子契約と税務署届出の関係
税務署への届出が不要になった経緯と、電子帳簿保存法の要件について詳しく解説されています。
税務担当者におすすめの電子契約サービスを料金と機能で比較しました。送信件数や利用頻度に応じて最適なサービスは変わります。
参考)【2026年版/比較表つき】電子契約サービスおすすめ50選を…
| サービス名 | 月額料金 | 送信料 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| クラウドサイン | 28,000円(Corporate) | 200円/件 |
国内シェアNo.1、導入実績豊富 |
| 電子印鑑GMOサイン | 9,680円(契約印&実印プラン) |
110円/件 |
当事者型・立会人型両対応 |
| freeeサイン | 5,980円(Starter) | 100円/件 | 月50件まで無料、会計ソフト連携 |
| マネーフォワード クラウド契約 | 要問い合わせ | 送信料・保管料無料 | 送信料無料、件数増加に強い |
| Docusign | 3,300円(Standard) |
従量課金なし |
180カ国対応、グローバル対応 |
これは使えそうです。
契約件数が月30件以下ならfreeeサイン、月100件以上ならマネーフォワード クラウド契約がコストパフォーマンスに優れています。一方、社内の信頼性や取引先の利用状況を重視するならクラウドサインが有力な選択肢です。
無料プランもありますが、税務担当者として使う場合は検索機能や保存期間に制限がないか確認が必要です。例えばクラウドサインの無料プランは月2件まで、GMOサインは月5件までの送信制限があります。
参考)クラウドサインと電子印鑑GMOサインどちらを採用すべき?主要…
電子契約はすべての契約書に使えるわけではありません。法律で書面作成が義務付けられている一部の契約書は、電子化できない点に注意が必要です。
例外があるということですね。
具体的には、定期借地契約や定期建物賃貸借契約など「公正証書での作成が必要な契約」は電子契約ができません。また訪問販売などの特定商取引では、消費者保護の観点から相手方の事前承諾が必要です。労働条件通知書や派遣社員への条件明示書も、被雇用者の希望がある場合のみ電子化できます。
税務担当者として気をつけるべきは、これらの書類を誤って電子契約で処理してしまうリスクです。契約書の種類によって電子化の可否を社内で整理し、フローを明確にしておく必要があります。
万が一、電子契約の保存要件を満たしていない状態で税務調査を受けた場合、法的に認められず追徴課税のリスクもあります。国税庁のサイトや管轄税務署の相談窓口で、不明点を事前に確認しておくことをおすすめします。
国税庁ホームページ
電子帳簿保存法の詳細な要件や、税務調査対応について公式情報を確認できます。
電子契約サービスを導入する際、技術的な問題よりも社内調整の方が大変です。特に税務部門と法務部門、営業部門の合意形成が重要になります。
参考)電子契約のメリット・デメリットは?7つの注意点と対処法を解説…
厳しいところですね。
まず社内で電子契約の受け入れ体制を整える必要があります。契約書の承認フローが変わるため、稟議システムや社内規程の見直しが必要です。また取引先が電子契約に対応していない場合、紙と電子の併用期間が発生し、管理が煩雑になる可能性があります。
セキュリティ面では、サイバー攻撃のリスクも考慮しなければなりません。サービス提供会社のセキュリティ対策や、自社のアクセス権限管理を確認してください。万が一のデータ消失に備えて、バックアップ体制も整えておくべきです。
また電子契約ではバックデート(契約日を過去に遡る)ができません。紙の契約書では可能だった柔軟な対応ができなくなるため、契約締結のタイミング管理がより重要になります。
導入時には無料トライアルを活用して、実際の業務フローで問題がないか検証することをおすすめします。多くのサービスが無料プランや試用期間を用意しているので、税務部門だけでなく実際に使う営業部門にも試してもらうと良いでしょう。
電子契約には、印紙税削減以外にも税務担当者にとって重要なメリットがあります。契約書の検索性が飛躍的に向上し、税務調査への対応がスムーズになる点です。
紙の契約書だと、取引先名や契約日から該当書類を探すのに時間がかかります。しかし電子契約なら日付・金額・取引先名で瞬時に検索できるため、税務調査で「過去5年分の○○社との契約書を提示してください」と言われても、数分で対応可能です。
保管スペースも不要です。
さらに契約書の保管期間管理も自動化できます。法人税法で7年(場合により最大11年4か月)の保存義務がありますが、電子契約サービスなら保存期限を設定して自動管理できるものもあります。紙の契約書のように「どこに保管したか分からない」「廃棄時期を過ぎている」といったリスクを減らせます。
契約締結のスピードも大幅に短縮されます。平均所要時間は約28分というデータもあり、紙の契約書で数日~1週間かかっていた業務が、当日中に完了するケースも多いです。月末や期末の契約締結が集中する時期でも、業務負担を軽減できます。
ただしランニングコストは発生します。月額料金に加えて、送信ごとに従量課金されるサービスが多いため、年間の契約件数を事前に試算して、紙の契約書との総コストを比較しておくことが重要です。