

親族への賃借料は経費にできません
賃借料とは、事業に必要な物品を借りる際に支払う費用を処理する勘定科目です。機械、車両、パソコン、OA機器などのレンタル費用がこれに該当します。
参考)勘定科目「賃借料」に該当する費用や仕訳上の注意点を紹介 - …
一方、土地や建物を借りる費用は「地代家賃」という別の勘定科目で処理します。つまり「物品なら賃借料、不動産なら地代家賃」という区分が基本です。
参考)[計上]地代家賃と賃借料の違い - 税理士に無料相談ができる…
この区分を誤ると決算書の科目残高が不正確になります。経理システムによっては「賃借料」を標準科目として設定していない場合もあり、その際は地代家賃に統一する運用も可能です。
参考)賃借料 | 誤って追加される勘定科目 | CIAC.JP
物品と不動産で科目が分かれる理由は、税務上の取扱いや管理の性質が異なるためです。実務では契約内容を確認し、何を借りているかで判断すればOKです。
賃借料として処理する代表的な費用には以下のようなものがあります。
参考)賃借料は土地や家賃だけじゃない!区分や仕訳例、勘定科目を解説…
これらは「一時的または継続的に物品を借りる」という共通点があります。レンタルオフィスやシェアオフィスの料金は、物件の性質によって地代家賃に分類されるケースもあります。
貸し会議室の料金も賃借料に含まれますが、会議の飲食代は会議費として別処理します。契約書や請求書で内訳を確認し、適切に科目を振り分ける必要があります。
金額や利用頻度に関わらず、物品を借りる限り賃借料です。ただし継続的なリース契約の場合、後述するリース取引の判定も必要になります。
賃借料とリース料はどちらも「借りる費用」ですが、税務上の取扱いが異なるケースがあります。リース取引には「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類があり、前者は資産計上が必要な場合があります。
ファイナンス・リースの判定基準は以下の2つです。
参考)賃借料とリース料の違い
この2つを満たすリース契約は、売買取引と同様に扱われ、資産として計上します。月々のリース料は減価償却費として処理します。
一方、短期レンタルや中途解約可能な契約は、通常の賃借料として費用処理できます。リース契約を結ぶ際は、契約書の条項を確認し、税理士と相談して処理方法を決めるのが確実です。
賃借料の支払いタイミングと決算時期がずれる場合、経過勘定を使って調整します。前払いの場合は「前払費用」、未払いの場合は「未払費用」を使用します。
例えば12月決算の会社が、12月に翌年1月分の賃借料6万円を支払った場合、以下のように処理します。
【12月の支払時】
借方:賃借料 60,000円 / 貸方:普通預金 60,000円
【12月決算時】
借方:前払費用 60,000円 / 貸方:賃借料 60,000円
【翌年1月の再振替】
借方:賃借料 60,000円 / 貸方:前払費用 60,000円
前払費用は資産、未払費用は負債です。期末に費用を適切な期間に配分することで、正確な期間損益を計算できます。
参考)301 Moved Permanently
ただし支払日から1年以内の前払いは、継続適用を条件に支払った期の費用とすることも認められています。実務では、重要性の低い金額なら簡便処理を選択する企業も多いですね。
生計を一にする配偶者や親族に支払う賃借料は、経費として認められません。
これは税務上の重要なルールです。
参考)https://himeji-zeirishi.com/blog/p-544/
例えば個人事業主が、同居する家族が所有する車両を事業で使用し、レンタル料を支払っても経費にできません。同様に、配偶者が所有する土地や建物の賃料も地代家賃として計上できません。
この制限がある理由は、親族間で恣意的に経費を作り出すことを防ぐためです。税務調査で指摘されると、経費が否認され追徴課税の対象になります。
親族の資産を事業で使う場合、無償借用として扱うか、事業を法人化して適正な賃料を支払う方法が考えられます。判断に迷う場合は、税理士に相談して適切な処理方法を確認してください。
不動産の礼金や権利金は、金額によって処理方法が変わります。20万円未満なら地代家賃として一括費用処理できますが、20万円以上は繰延資産として資産計上し、償却が必要です。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/key-money/
20万円以上の礼金の償却期間は原則5年ですが、契約期間が5年未満で更新時に再度支払いが必要な場合は、契約期間で償却します。
【礼金24万円、契約期間2年の場合】
【支払時】
借方:長期前払費用 240,000円 / 貸方:現金 240,000円
【決算時(1年目)】
借方:長期前払費用償却 120,000円 / 貸方:長期前払費用 120,000円
礼金は返還されない性質の支払いです。敷金は預け金なので資産として計上し、退去時に返還または原状回復費用に充当されます。
物品レンタルの保証金も同様に、返還される場合は資産の「差入保証金」として処理します。契約内容をよく確認し、返還の有無で勘定科目を使い分けることが大切です。
フリーレント契約とは、一定期間の賃料が無料または減額される契約です。税務上の処理は、中途解約の可否によって異なります。
参考)https://www.mikagecpa.com/archives/7226/
中途解約不可で賃料総額が確定している場合、フリーレント期間中も賃料を月割計算して費用計上します。例えば年間賃料90万円、フリーレント期間3か月、通常期間9か月で月額10万円の契約の場合、毎月7.5万円ずつ費用計上します。
【フリーレント期間中(毎月)】
借方:地代家賃 75,000円 / 貸方:未払費用 75,000円
【フリーレント期間終了後(毎月)】
借方:地代家賃 75,000円 / 貸方:現金 100,000円
借方:未払費用 25,000円
中途解約可能な契約なら、実際の支払時に費用計上すればOKです。フリーレント期間は仕訳不要で、支払開始時から通常通り処理します。
参考)引っ越し、フリーレント契約ある場合の貸主及び借主の税務処理に…
消費税は実際の賃料支払時に課税仕入として計上します。総額按分ではなく、支払額に応じた処理が原則です。
契約書の条項を確認し、中途解約条項の有無で処理方法を判断してください。
国税庁のフリーレント等に関する通達
上記の国税庁資料には、フリーレント契約の税務上の取扱いが詳細に記載されています。実務で判断に迷った際の参考資料として活用できます。
参考)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/250630/pdf/17.pdf
賃借料は原則として消費税の課税対象です。物品のレンタル料には消費税がかかり、仕入税額控除の対象になります。
参考)https://muratax.com/2023/07/05/6656/
ただし土地の賃貸借は消費税非課税です。建物と土地を一体で借りる場合、建物部分は課税、土地部分は非課税として区分します。契約書で土地と建物を区分していても、実務上は総額課税となるケースもあります。
住宅用の家賃は消費税非課税ですが、事業用は課税対象です。レンタルオフィスや店舗の賃料には消費税がかかります。
参考)家賃収入には消費税がかかるのか?賃貸物件の課税と非課税の違い…
前払いした賃借料の消費税は、支払時に一括して仕入税額控除できます。ただし事業年度をまたぐ場合、税率変更のタイミングには注意が必要です。
参考)消費税率の引き上げに伴う間違いやすい点(家賃の取り扱い) -…
共益費や管理費が賃借料と明確に区分されている場合、共益費は課税仕入から除外します。請求書の内訳を確認し、適切に消費税区分を設定してください。
参考)https://www.pref.toyama.jp/documents/11822/shinkokuayamari_1.pdf
実務では経理ソフトで消費税区分を設定し、自動計算させるのが効率的です。
迷ったら税理士に確認すれば安心ですね。