税理士と公認会計士の違いを簡単に学び金融知識を深める

税理士と公認会計士の違いを簡単に学び金融知識を深める

税理士と公認会計士の違いを簡単に整理する

公認会計士に確定申告を頼んでも、断られて追加費用が発生することがあります。


📌 この記事の3つのポイント
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独占業務がまったく違う

税理士は「税務」、公認会計士は「監査」が独占業務。依頼先を間違えると対応を断られるケースも。

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年収・顧問料の相場が大きく異なる

公認会計士の求人賃金は月約40.9万円、税理士は月約34.7万円。依頼費用にも差がある。

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試験制度も難易度も異なる

合格率は税理士が約20%前後、公認会計士は約7〜8%。取得の戦略も全然違う。


税理士と公認会計士の違いを一言で表すなら「独占業務」


税理士も公認会計士も、どちらも「会計のプロ」というイメージが強い資格です。しかし法律上、それぞれが持つ「独占業務」はまったく異なります。これが二つの資格の根本的な違いです。


税理士の独占業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです。税務代理とは、確定申告や税務調査への対応を納税者に代わって行う業務を指します。税務書類の作成は、税務署へ提出する法人税申告書消費税申告書などの書類を作ること。そして税務相談は、節税対策や相続税の疑問に答えることです。これらの業務は、税理士資格を持つ者しか行えません。


公認会計士の独占業務は、財務諸表監査です。上場企業や大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)が作成した財務諸表に「誤りがない」と第三者の立場で証明するのが主な仕事です。この監査業務は、投資家や債権者が正確な判断をするための根拠となります。


つまり、「税務」が専門なのが税理士、「監査」が専門なのが公認会計士、ということです。


似た名前で混同されがちですが、この独占業務の違いを押さえれば、依頼先の選択ミスを防げます。個人の確定申告や節税相談は税理士へ、上場企業の財務諸表チェックは公認会計士へ、というのが基本です。




参考:独占業務の法的根拠について(国税庁・公認会計士・監査審査会)

公認会計士・監査審査会 公式サイト(金融庁)


税理士と公認会計士の仕事内容・就業先・クライアントの違い

独占業務の違いは、日々の仕事内容や働く場所にも大きく影響します。


税理士のクライアントは、個人事業主・中小企業・個人(相続や確定申告)が中心です。納税義務は規模に関係なく全企業・個人に発生するため、クライアントの数は非常に多くなります。就業先は税理士事務所や税理士法人が中心ですが、独立開業するケースが多いのも特徴です。街中にある「〇〇税理士事務所」は、その典型例です。


公認会計士のクライアントは、上場企業や大企業が中心です。財務諸表監査が義務付けられているのは資本金5億円以上または負債200億円以上の企業のため、必然的に大規模法人が相手になります。就業先は「監査法人」が中心で、合格者の約9割が監査法人に就職します。国内には約250社の監査法人があり、大手4社(BIG4)は上場会社監査シェアの約8割を占めています。


働き方にも違いがあります。税理士は個人で顧客を担当することが多く、地域に密着したきめ細かいサービスが求められます。公認会計士は大企業を相手にチームで業務を行う組織的な働き方が主流です。


覚えておけばOKです。「個人・中小企業 → 税理士」「大企業・上場企業 → 公認会計士」という基本の図式です。


なお、公認会計士は税理士登録を行えば税務業務も行えます。ただし平成29年4月1日以降の合格者は、財務省令で定める税法に関する研修(実務補習)を修了することが条件になりました。知らずに「公認会計士だから税務も対応できるはず」と依頼すると、断られる、あるいは別途費用が発生するケースがあるので注意が必要です。




参考:税理士事務所・監査法人の違いをさらに詳しく知りたい方向けの情報が掲載されています

公認会計士と税理士の違いを徹底解説|資格の学校TAC


税理士と公認会計士の試験難易度・勉強時間・科目合格制度の違い

金融に興味がある人なら、どちらの資格を取るかを検討した経験があるかもしれません。試験制度は両者でかなり異なります。


まず合格率から見てみましょう。直近5年間のデータでは、税理士試験の合格率が16.6〜21.7%、公認会計士試験の最終合格率が7.4〜10.7%です。合格率だけを見ると公認会計士のほうが格段に難しいことがわかります。


































比較項目 税理士 公認会計士
受験資格 一部科目に学歴・職歴等の要件あり 制限なし(誰でも受験可)
試験形式 記述式(計算・理論) 短答式(マーク)+論文式
合格率(直近5年) 16.6〜21.7% 7.4〜10.7%
科目合格制度 あり(生涯有効) あり(2年間有効)
必要勉強時間の目安 2,000〜4,000時間 2,500〜3,500時間




ここで見落としがちなポイントがあります。税理士試験には「科目合格制度」があり、1度合格した科目は生涯有効です。5科目そろえばよく、1年に1科目ずつコツコツ積み上げることができます。一方の公認会計士試験は科目合格が2年間の有効期限付きで、期限が切れると再受験が必要になります。


この構造の違いは、受験戦略を大きく左右します。社会人が働きながら取るなら、1科目ずつ積める税理士試験の方が取り組みやすいケースが多いです。


ただし、税理士試験は「簿記論・財務諸表論」以外の税法科目に受験資格が必要です。学歴・職歴・資格のいずれかを満たしていないと一部の科目で受験できないため、事前確認が必要です。


厳しいところですね。とはいえ、どちらも国内屈指の難関資格であることは間違いありません。




参考:合格率のデータ・試験統計の公式情報が掲載されています

税理士試験|国税庁 公式サイト


税理士と公認会計士の年収・顧問料の相場の違い

金融に興味のある人が最も気になるのは、やはりお金の話ではないでしょうか。年収・顧問料の両面から比較してみます。


年収については、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、税理士・公認会計士(同区分)の平均年収は856万円です。これは一般労働者の平均年収478万円と比べて約1.8倍にあたります。


ただし、より実態に近いデータとして、厚生労働省のjob tagのハローワーク求人統計では、税理士の求人賃金が月約34.7万円、公認会計士が月約40.9万円とされており、実質的には公認会計士の方が高い傾向があります。



  • 🏢 監査法人勤務の公認会計士:入社初年度で年収550万円前後→昇給スピードが速く、10年程度で1,000万円超も珍しくない

  • 🏛️ 独立開業した公認会計士:平均1,000〜3,000万円程度とされ、上限はない

  • 🧾 大手税理士法人勤務:監査法人に近い水準。中小事務所は独立への修行期間と割り切るケースもある

  • 🌱 独立開業した税理士:軌道に乗れば年収に上限なし。独立初年度は300〜400万円程度から始まることも


依頼者側の顧問料の相場についても把握しておくと便利です。税理士に顧問契約を依頼する場合、個人事業主で月1〜3万円程度、法人(年商1,000万円未満)で月2〜5万円程度が目安とされています。決算申告料として別途10〜30万円程度かかることが多いです。


これは使えそうです。個人で副業をはじめた方や起業を検討している方にとって、月2〜3万円という数字は一つの判断材料になります。


公認会計士に税務顧問として依頼する場合の月額は、一般的に5〜30万円程度と税理士より高めの傾向があります。公認会計士は大企業向けの対応が主軸であるため、中小企業や個人事業主が税務顧問を探すなら、税理士を選ぶ方がコスト的に合理的です。




参考:顧問料・依頼費用のより詳しい内訳が掲載されています

公認会計士の報酬相場はいくら?監査費用や顧問料を解説|野上哲也公認会計士事務所


【独自視点】税理士登録者の4人に1人は「試験を全科目受けていない」という事実

税理士試験は非常に難しいイメージが強い資格ですが、実は現役の税理士登録者の中に「5科目すべて試験合格で取得した人」は半数に満たないというデータがあります。これは、金融や会計に興味がある人でも意外と知らない事実です。


日本税理士連合会の統計データによると、税理士登録者の資格取得方法の内訳は以下のようになっています。



  • 📚 国家試験(5科目)合格者:約42〜43%

  • 🎓 試験免除者(大学院修了による科目免除など):約39〜41%

  • 🏛️ 公認会計士有資格者(試験免除で税理士登録):約13〜14%

  • 🔖 税務署等出身の特別試験合格者:約1〜2%


試験5科目合格者が全体の半数にも満たないということですね。つまり、あなたが「税理士です」と名乗る人に会ったとき、その人が5科目すべて試験で取ったとは限らないのです。


特に注目したいのは「公認会計士有資格者」の存在です。公認会計士は税理士試験が全科目免除され(ただし平成29年4月以降の合格者は税法研修の修了が条件)、税理士登録が可能です。令和5年度の新規登録者522人がこのルートで入会しており、全新規登録者の約19.2%を占めています。


この背景には、公認会計士として監査法人に勤めながら税務のスキルも身につけたい、あるいはキャリアチェンジとして個人向けサービスに移行したいというニーズがあります。ダブルライセンス保有者は、監査・税務・コンサルティングの幅広い業務に対応できるため、特にスタートアップ企業のCFO(最高財務責任者)や投資ファンドとのやりとりが多い企業顧問として重宝されます。


また、試験免除制度を使った「院免(大学院修了免除)」も広く使われています。税法に関連する修士論文を提出し修了することで、税法2科目のうち1科目が免除されます。これにより3科目分の合格で済むケースもあります。


金融業界やスタートアップで会計・財務の専門家を採用する際、「税理士」とひと言で書かれた経歴の裏に、どのようなルートで資格を取得したかという文脈があることは、知っておくと判断の精度が上がります。




参考:税理士登録者数の内訳・登録ルートに関する詳細データが掲載されています

税理士登録者が令和5年度は588人増加|税経新報




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