スキャナ保存の要件と国税庁が定める正しい電子保存手順

スキャナ保存の要件と国税庁が定める正しい電子保存手順

スキャナ保存の要件を国税庁ルールで正しく理解する全手順

スキャンしてデータ保存すれば、すぐに原本を捨てても大丈夫だと思ったら重加算税45%を請求されます。


📋 この記事の3つのポイント
📌
スキャナ保存は「任意」だが要件は厳格

国税庁が定めるスキャナ保存は導入が任意である一方、一度始めたら200dpi・256階調などの技術要件から検索機能まで細かく守らなければならない。

⚠️
違反すると重加算税が最大45%に跳ね上がる

スキャナ保存データへの不正が発覚すると、通常の重加算税35〜40%にさらに10%が上乗せされる厳しいペナルティが課される。

2024年改正で大幅に要件が緩和された

令和5年度税制改正により、入力者情報の確認要件廃止・相互関連性の対象書類限定など、事業者の実務負担を下げる変更が2024年1月から適用されている。


スキャナ保存とは何か:国税庁が定める電子帳簿保存法の基本区分


スキャナ保存とは、電子帳簿保存法(電帳法)が定める3つの保存区分のうちの一つです。取引先から紙で受け取った請求書・領収書・納品書などの国税関係書類を、スキャナやスマートフォンのカメラで電子データ化して保存する制度を指します。


電帳法の3区分を整理すると、①パソコンで作成した帳簿・書類をそのまま電子保存する「電子帳簿等保存」、②紙書類をスキャンしてデータ化する「スキャナ保存」、③メールやクラウドで授受した電子データを保存する「電子取引データ保存」となっています。このうち電子取引データ保存だけが2024年1月から完全義務化されており、スキャナ保存はあくまで任意です。


スキャナ保存が任意ということは、紙のまま保管し続けることも依然として認められているということです。しかし、一度スキャナ保存を選択した場合、国税庁が定める要件をすべて満たす必要があります。要件が厳格です。


スキャナ保存の対象書類は、店舗で受け取ったレシート、取引先から紙で届いた請求書、自社が発行した領収書の控えなど、事業活動で発生するほぼすべての取引関係書類です。一方、棚卸表・貸借対照表損益計算書といった決算関係書類や国税関係帳簿はスキャナ保存の対象外となっています。この区別を間違えると、せっかく電子化しても法的に認められない状況になりかねません。


なお、書類はスキャナだけでなくスマートフォンのカメラで撮影したデータでも要件を満たせば対応可能です。ただし解像度など別途条件があります(後述)。


参考:国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト(制度の概要・パンフレットを公開)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm


スキャナ保存の要件一覧:国税庁が定める技術・運用条件を網羅解説

国税庁が定めるスキャナ保存の要件は、「可視性の確保」「真実性の確保」「検索機能の確保」という3つの柱で構成されています。どれか一つでも外れると、スキャナ保存として認められません。


まず解像度・階調に関する要件です。スキャナや複合機で読み取る場合は解像度200dpi以上、スマートフォンのカメラで撮影する場合はA4サイズであれば約387万画素以上が必要です。387万画素とは縦2,338画素×横1,654画素の組み合わせで計算された値で、一般的な最新スマートフォンであればほぼクリアできます。カラーについては、赤・緑・青それぞれ256階調(24ビットカラー、約1,677万色)以上での読み取りが求められます。ただし「一般書類」(見積書・注文書など)に限っては、グレースケールでの保存も認められています。


つぎに入力期間の制限です。書類を受け取ったあと、どのタイミングで電子化するかも定められています。


| 入力方式 | 期限 |
|---|---|
| 早期入力方式 | 書類の作成・受領からおおむね7営業日以内 |
| 業務処理サイクル方式 | 業務処理サイクル期間(最長2か月)を経過後、おおむね7営業日以内 |


この期限を超えてしまった場合、スキャナ保存として法的に認められなくなります。その場合は紙の原本をそのまま保管し直す必要があります。期限に注意が必要です。


真実性の確保については、タイムスタンプの付与または訂正・削除の履歴が残るシステムの利用が求められます。ただし2022年1月以降の改正で、訂正・削除が不可能なクラウドシステムや履歴が自動的に記録されるシステムを利用している場合は、タイムスタンプの付与自体が不要になりました。これはコスト削減につながる重要な変更点です。


検索機能については、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できる環境を整える必要があります。さらに日付や金額の範囲指定検索、2項目以上の組み合わせ検索も原則求められますが、税務職員によるダウンロードの求めに応じられる体制を整えていれば、この2点は省略可能です。


見読可能装置として、14インチ以上のカラーディスプレイとカラープリンターの備え付けも必要です。一般書類をグレースケールで保存している場合は、カラー対応でなくても構いません。


参考:弥生株式会社「電子帳簿保存法のスキャナ保存制度とは?要件やタイムスタンプについて解説」(要件の詳細表あり)
https://www.yayoi-kk.co.jp/seikyusho/oyakudachi/scanner_hozon/


2024年改正で何が変わった?国税庁ルールの緩和ポイントを整理

令和5年度税制改正により、2024年1月1日以降に行うスキャナ保存に対して、いくつかの要件が大幅に緩和されました。改正前と比べると実務負担は相当に軽くなっています。これは使えそうです。


まず「解像度・階調・大きさに関する情報の保存」が不要になりました。改正前は、スキャン時の解像度・カラー階調・書類サイズに関する情報をデータとして別途記録・保存する義務がありましたが、2024年1月以降はその記録自体が不要です。ただし、スキャン自体の解像度200dpi以上という要件は引き続き必要な点に注意が必要です。「情報の保存が不要」と「解像度の要件が不要」は別の話です。


次に「入力者などの情報の確認要件」が廃止されました。これまでスキャナ保存を行う担当者の氏名や、その担当者を監督する人物の情報を確認できる状態にしておく必要がありましたが、この要件が撤廃されています。


そして「帳簿との相互関連性の確保が必要な書類」の範囲が限定されました。改正前は一般書類を含むすべての書類について帳簿との紐づけが必要でしたが、2024年1月以降は「重要書類」(契約書・領収書・送り状・納品書など資金や物の流れに直結する書類)に限定され、「一般書類」(見積書・注文書等)については帳簿との相互関連性の確保が不要になっています。


さらにさかのぼると2022年1月の改正では、税務署長への「事前承認制度」が廃止されています。それ以前は、スキャナ保存を始めるには3か月前までに申請して承認を得る必要があり、申請書類の準備もかなりの手間でした。現在は環境が整い次第、即座に開始できます。ハードルが大幅に下がりました。


| 改正時期 | 主な変更内容 |
|---|---|
| 2022年1月 | 事前承認制度廃止 / タイムスタンプ付与期限緩和(3営業日→最長2か月+7営業日) / 適正事務処理要件廃止 / 検索要件の緩和 |
| 2024年1月 | 解像度等情報の保存不要 / 入力者情報の確認要件廃止 / 相互関連性確保の対象を重要書類に限定 |


参考:国税庁 電子帳簿保存法が改正されました(改正ポイントPDF)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf


スキャナ保存の違反リスクと罰則:重加算税10%上乗せの具体的な仕組み

スキャナ保存で怖いのは、知らないまま要件を外れてしまうことです。違反した場合の罰則は3種類あります。


最も注意が必要なのは重加算税の10%加重です。スキャナ保存を行った国税関係書類について、電子データの隠ぺいや仮装(二重帳簿など悪質な行為)が発覚した場合、通常の重加算税(申告漏れ課税額の35%または40%)にさらに10%が上乗せされます。最大45%の重加算税が課される計算です。仮に申告漏れが1,000万円であれば、450万円ものペナルティが生じる可能性があります。痛いですね。


2つ目は青色申告の承認取り消しです。電子帳簿保存法の保存要件を満たさない状態が続いた場合、青色申告の承認が取り消されるリスクがあります。青色申告が取り消されると、青色申告特別控除(最大65万円)や損失の繰越控除といった優遇措置が受けられなくなり、税負担が大幅に増加します。


3つ目は会社法違反による100万円以下の罰金です。帳簿等に関する記録・保存義務に違反したと判断された場合、会社法第976条に基づき100万円以下の過料が科される可能性があります。


こうした罰則リスクへの対策として、ソフト選びを慎重に行うことが効果的です。公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得したソフトウェアやクラウドサービスを利用することで、法的要件への適合を確認できます。なお、JIIMA認証は法律上の必須要件ではありませんが、要件確認の手間を大幅に省けるという実務上のメリットがあります。


重要なのは、重加算税が加重されるのは「悪質な不正行為」があった場合に限られる点です。単純な入力ミスや期限超過だけで直ちに重加算税が加重されるわけではありません。ただし、要件外保存は法令違反状態となり他の罰則対象となり得るため、正確な運用が不可欠です。


参考:電子帳簿保存法に国税庁からの罰則はある?内容と違反したら(koueki.info)
https://www.koueki.info/blog/denshichobo-bassoku-kokuzeityou/


原本廃棄・過去分書類・スマホ撮影:実務担当者が見落としやすい3つの盲点

スキャナ保存の要件を一通り理解していても、実務では「ここはどうなるのか」と迷うポイントがいくつかあります。見落としやすい3点を整理します。


📌 盲点①:原本廃棄のタイミング


「スキャンしたら紙はすぐ捨てていい」と思っている方も多いのですが、条件があります。原本廃棄が認められるのは、スキャン画像の鮮明さや入力内容に誤りがないという「同等確認」を行ったうえで、かつスキャナ保存の要件をすべて満たしている場合です。


2022年1月の改正前は、税理士等による定期検査が終わるまで原本を保管しておかなければなりませんでした。改正後は適正事務処理要件が廃止されたため、確認後に即時廃棄が可能になっています。入力期間(最長2か月+7営業日)を超えて保存したデータから原本を廃棄することは認められない点にも注意が必要です。


📌 盲点②:過去分重要書類の取り扱い


スキャナ保存を開始した日より前に受領・作成した重要書類(過去分重要書類)をスキャナ保存したい場合は、あらかじめ所轄税務署長に「適用届出書」を提出する必要があります。これが必要な手続きです。


一方、過去分の「一般書類」については届出なしでさかのぼってスキャナ保存が可能です。また、過去分重要書類については届出後、通常の入力期間制限(7営業日以内等)は適用されず、時間をかけて電子化作業を進めることができます。


📌 盲点③:スマートフォン撮影と「解像度情報の保存不要」の混同


2024年1月からの改正で「解像度等情報の保存が不要になった」という情報を受け、「解像度の要件自体がなくなった」と誤解するケースが見受けられます。しかし実際は、スキャン時に200dpi以上・256階調以上での読み取りという要件は変わっていません。「読み取った際の解像度情報を別途記録・保存する義務がなくなった」という意味です。


スマートフォンで撮影する場合は約387万画素以上のカメラが必要で、A4サイズの書類を画面全体に写した場合にこの条件を満たせます。書類の一部だけを撮影した場合や、小さく撮影した場合は要件を満たさない可能性があるので、撮影方法には注意が必要です。


これらの3点を押さえておけば大丈夫です。


参考:弥生「スキャナ保存後は原本破棄してもいい?電子帳簿保存法での注意点」(原本廃棄条件の詳細)
https://www.yayoi-kk.co.jp/seikyusho/oyakudachi/scanner-genponhaki/


参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(実務での疑問点を網羅したQ&A)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan/index.htm




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