組合健保とは付加給付の仕組みと税務担当者が知るべきポイント

組合健保とは付加給付の仕組みと税務担当者が知るべきポイント

組合健保と付加給付

付加給付を受けても所得税は一切課税されません。


この記事のポイント
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組合健保独自の制度

健康保険組合が法定給付に上乗せして独自に給付を行う制度で、自己負担額を2万円程度まで抑える組合も存在します

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非課税扱い

付加給付は健康保険法で認められた保険給付のため、所得税や社会保険料の算定対象にはなりません

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医療費控除での処理

確定申告時には付加給付額を医療費から差し引く必要があり、処理を誤ると税務調査で指摘される可能性があります

組合健保の付加給付制度の基本


組合健保とは、企業が単独または複数で設立する健康保険組合が運営する健康保険制度のことです。付加給付は、この組合健保が法定給付に加えて独自に設けている制度で、高額療養費制度に上乗せして医療費を払い戻してくれます。


参考)付加給付制度とは?給付を受けられる健康保険組合や給付金額につ…


協会けんぽには存在しない制度です。


健康保険法では、医療費の7割を保険が負担し、残り3割を被保険者が自己負担するのが原則ですが、付加給付により最終的な自己負担額がさらに軽減されます。組合によっては、自己負担額を2万円や2.5万円まで抑えるなど、非常に手厚い給付を行っているところもあります。


すべての組合健保が付加給付を実施しているわけではないため、自社の健康保険組合の規約を確認する必要があります。付加給付の内容や金額は組合ごとに異なり、国が定める制度ではないため、各組合の裁量で決定されます。


参考)https://jp24h.com/post/391224.html


付加給付の税務上の取り扱い

付加給付は所得税の課税対象外です。健康保険法では「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することができない」と定められており、付加給付も健康保険法で認められた保険給付の一つであるため、この規定が適用されます。


参考)【従業員の医療費を会社が負担した場合の課税関係】

標準報酬月額にも影響しません。


税務担当者がよく疑問に思うのは、組合健保の被保険者が協会けんぽの被保険者より多くの経済的利益を受けているのに課税されないのかという点ですが、法律上明確に非課税とされています。例えば、5月に15万円の付加給付を受け取った場合でも、給与として扱われることはなく、社会保険料や標準報酬月額の決定に一切影響しません。


参考)税理士ドットコム - [税金・お金]健康保険組合の付加給付と…


年収に含める必要もありません。したがって、従業員から付加給付の税務処理について質問を受けた際には、非課税であることを明確に伝えることが重要です。

組合健保の付加給付と医療費控除の関係

医療費控除を受ける際には、付加給付額を支払った医療費から差し引く必要があります。


これは高額療養費と同様の扱いです。



参考)医療費控除の確定申告をする際、医療費から差し引く必要がある健…


引き忘れると過大控除になります。


具体的には、確定申告時に国税庁の「医療費集計フォーム」を使用する場合、「左のうち、補填される金額」欄に付加給付額を入力します。ただし、支払った医療費の金額を上回る部分の補てん金がある場合、他の医療費の金額からは差し引くことはできません。


参考)No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁


例えば、医療費15万円に対して付加給付9万円を受け取った場合、医療費控除の対象となるのは6万円です。付加給付の通知書は健康保険組合から送付されるため、確定申告前に必ず確認し、正確な金額を把握しておく必要があります。


参考)「医療費控除」を受ける際に「生命保険や社会保険などで補てんさ…


国税庁の医療費控除に関する公式ページで、保険金などで補てんされる金額の詳細な取り扱いを確認できます。

付加給付の支給手続きと税務担当者の役割

付加給付の支給は、多くの場合、健康保険組合が医療機関からのレセプト(診療報酬明細書)をもとに自動的に計算し、申請手続きなしで支給されます。


支給時期は受診月の約3ヶ月後が一般的です。



会社経由で振り込まれることが多いです。


給付金は会社の給付金専用口座に振り込まれ、会社から従業員へ振り分ける仕組みを採用している組合が多いため、税務担当者としては、この給付金の流れを正確に把握し、給与や賞与として誤って処理しないよう注意が必要です。

ただし、国や自治体から医療費助成を受けている従業員の場合は、自動払の対象外となり、申請手続きが必要になるケースがあります。この場合、医療証の写しや支給決定通知書などの添付書類が求められます。

税務担当者は、従業員から付加給付に関する質問を受けた際に、健康保険組合の規約や手続き方法を案内できるよう、情報を整理しておくとスムーズです。


組合健保の付加給付額の計算方法と実例

付加給付の計算方法は組合によって異なりますが、一般的には「1ヶ月のレセプト1件あたりの自己負担額から一定額(2万円や2.5万円など)を控除した額」が支給されます。100円未満または1,000円未満は切り捨てとなります。


参考)https://www.mbkkenpo.or.jp/kyuufuichiran/fukakyuufu/


レセプト1件ごとに計算されます。


具体例を見てみましょう。医療費総額が173,200円の診療を受けた場合、3割負担で自己負担額は51,960円です。付加給付の控除額が3万円の組合の場合、51,960円-30,000円=21,900円(100円未満切捨て)が付加給付として支給されます。

注意すべきは、レセプト1件では控除額に達しない場合でも、薬局に支払った薬剤費とその処方箋を交付した医療機関の医療費を合算して控除額を超えれば付加給付が受けられる点です。例えば、病院での自己負担が28,000円、調剤薬局での自己負担が3,600円の場合、合計31,600円となり、3万円を超えるため付加給付の対象となります。


合算高額療養費付加金という制度もあり、世帯内で月21,000円以上の自己負担が2件以上あるときに、1件につき控除額を差し引いた額が支給されます。ただし、この場合、それぞれの自己負担から控除されるため、最終的な自己負担が控除額の倍になるわけではない点に注意が必要です。


参考)組合健保の「付加給付」で高額療養費がさらに軽減されることも知…





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