株式の損益通算で確定申告を賢く活用する方法

株式の損益通算で確定申告を賢く活用する方法

株式の損益通算と確定申告の仕組みを徹底解説

損益通算で損失を申告すると、翌年の利益から自動的に差し引かれると思っているなら、それは大きな誤解で最大3年分の還付チャンスを逃します。


📊 この記事の3つのポイント
💡
損益通算とは何か?

株式投資で出た利益と損失を相殺し、課税対象額を減らす制度。正しく申告すれば税金を取り戻せます。

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確定申告が必要なケース

特定口座(源泉徴収あり)でも、損失繰越や複数口座間の通算には確定申告が必要です。

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繰越控除の期限と注意点

損失は最長3年間繰り越せますが、毎年継続して確定申告しないと繰越権利が消滅します。


株式の損益通算とは何か?確定申告との基本的な関係


株式投資をしている人なら一度は耳にする「損益通算」という言葉。これは、株式の売買で生じた利益(譲渡益)と損失(譲渡損)を合算し、課税対象額を圧縮できる制度のことです。たとえば、A社株で50万円の利益を得た一方、B社株で30万円の損失を出した場合、損益通算を適用すると課税対象は差し引き20万円になります。


つまり課税対象の圧縮が基本です。


株式投資の利益には原則20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税率が適用されます。仮に50万円の利益全額に課税されると約10万円の税金が発生しますが、損益通算後の20万円に課税されれば約4万円で済みます。差額は約6万円。これは無視できない金額ですね。


この制度を活用するためには確定申告が不可欠な場合があります。特に複数の証券口座を持っている人や、損失を翌年以降に持ち越したい人は、申告なしでは制度の恩恵を受けられません。確定申告が条件です。


国税庁タックスアンサー「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」 - 損益通算の基本的な仕組みと申告分離課税の概要が確認できます


株式の損益通算における確定申告が必要な口座の種類と違い

証券口座には大きく分けて「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」「特定口座(源泉徴収あり)」の3種類があります。口座の種類が違うと、確定申告の必要性も大きく変わります。


| 口座の種類 | 確定申告の必要性 | 損益通算 |
|---|---|---|
| 一般口座 | 原則必要 | 自分で計算 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 原則必要 | 年間取引報告書を使用 |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 複数口座間通算は申告が必要 |


特定口座(源泉徴収あり)は「確定申告不要」とよく言われますが、注意が必要です。この口座だけで完結している場合は申告不要ですが、他の口座と損益を合算したいときや、損失を繰り越したいときは確定申告が必要になります。


申告が必要か不要かは状況次第です。


たとえば、A証券の特定口座(源泉徴収あり)で20万円の利益、B証券の一般口座で30万円の損失があった場合、何もしなければA証券では約4万円の税金が自動徴収されます。確定申告で損益通算すれば、この4万円が還付されます。これは使えそうです。


一般口座や特定口座(源泉徴収なし)を使っている場合、年間の譲渡益が20万円を超えると確定申告は義務となります。申告漏れ無申告加算税(最大15%)や延滞税の対象になるため、口座の種類を正確に把握しておくことが重要です。


国税庁タックスアンサー「株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」 - 口座別の申告要否や繰越控除の条件が詳しく解説されています


株式の損失繰越控除の申告方法と確定申告の具体的な手順

損失繰越控除とは、その年の損失を翌年以降最長3年間にわたって利益から差し引ける制度です。たとえば2024年に100万円の損失が出た場合、2025年・2026年・2027年の利益と順番に相殺できます。最大3年間が繰越期間です。


ここで多くの人が見落とすのが「毎年申告しなければ繰越権利が消える」という点です。2024年に損失を申告し、2025年に利益がゼロ(売買なし)だったとしても、2025年分の確定申告は必ず提出しなければなりません。これを怠ると、その時点で繰越損失の権利が消滅します。痛いですね。


具体的な手順は以下のとおりです。



  • 📌 証券会社から年間取引報告書を入手(1月下旬〜2月初旬に郵送またはWEB上で確認可能)

  • 📌 確定申告書(第三表+株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書)を作成

  • 📌 損失の繰越を希望する場合は「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用」の付表も作成

  • 📌 e-Taxまたは税務署窓口・郵送で申告(期限:翌年3月15日)


国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、年間取引報告書の数字を入力するだけで自動計算してくれます。無料です。専用ソフトや税理士に依頼しなくても、多くの場合は自力で完結できます。


国税庁「確定申告書等作成コーナー」 - e-Taxと連携して株式の損益計算から申告書作成まで無料で行えます


株式の損益通算で見落としやすい「配当金」と「NISAの損失」の注意点

損益通算の対象は株式の売買損益だけではありません。上場株式の配当金も「申告分離課税」を選択することで、株式の譲渡損失と損益通算が可能です。意外ですね。


たとえば、株式の売買で50万円の損失が出た年に、配当金を10万円受け取っていた場合、申告分離課税を選べば配当金の税金(約20.315%)として差し引かれていた約2万円が還付されます。何もしなければ取られたままです。


ただし、配当金の課税方式には「総合課税」「申告分離課税」「申告不要(源泉徴収のみ)」の3つがあり、どれを選ぶかで有利・不利が変わります。所得が多い人は申告分離課税が有利なことが多いですが、所得が少ない人は総合課税で配当控除を使った方が得になるケースもあります。所得水準が条件です。


一方で、NISA口座で発生した損失は損益通算に使えません。これは覚えておくべき重要な制限です。NISA口座は利益が非課税になる代わりに、損失も税務上なかったものとして扱われます。つまり、NISA口座で100万円の損失が出ても、特定口座の利益と相殺することはできません。



  • ✅ 損益通算できるもの:特定口座・一般口座での株式譲渡損失、申告分離課税を選んだ配当金

  • ❌ 損益通算できないもの:NISA口座の損失、FX・先物取引の損失(株式との通算不可)、不動産所得との通算


FXや先物取引は株式とは別の「先物取引に係る雑所得等」として区分されており、株式の損益とは合算できない点にも注意が必要です。それぞれ別の区分です。


国税庁タックスアンサー「配当所得の課税方法の選択」 - 配当金の課税方式の選択肢と、株式譲渡損失との損益通算に関する解説があります


株式の損益通算を活用した確定申告の「損出し」戦略と年末の注意点

「損出し」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。含み損を抱えている株式を年末に意図的に売却して損失を確定させ、その年の利益と損益通算することで課税額を下げるテクニックです。これは使えそうです。


具体的には、年間で30万円の利益が確定している状態で、20万円の含み損を抱えた銘柄を年末に売れば、課税対象を10万円まで圧縮できます。30万円に対する税金(約6万円)が10万円分(約2万円)に減ります。差額の約4万円が節税効果です。


ただし、「損出しした株をすぐ買い戻せばいい」と考えている人は要注意です。同日に同じ銘柄を買い戻すと「同一銘柄の同日売買」として取得単価が平均化され、損失として認識されない場合があります。翌営業日以降に買い戻すのが一般的な対応です。翌日以降が原則です。


年末の損出しには時間的な制約もあります。証券取引の受渡日は約定日から起算して2営業日後であるため、損失を2024年中に確定させるには、2024年の大納会(最終取引日)の2営業日前までに売却を完了させる必要があります。12月に入ったら早めに確認しておくことが重要です。


また、損出しで発生した損失は確定申告で繰越手続きを行わないと翌年に持ち越せません。売却しただけで自動的に繰り越されると思っている人は多いですが、そうではありません。申告なしでは繰越になりません。年末の売却と翌年の申告はセットで考えるべきです。



  • 📅 損出し売却のタイムライン(例:大納会が12月27日の場合)

  • 🔴 12月25日(木)までに売却 → 2024年中に損失確定

  • 🟡 12月26日(金)以降の売却 → 2025年の損失として扱われる


損出しを活用する際、自分のポートフォリオ全体の損益をリアルタイムで把握できるツールが役立ちます。多くの証券会社のアプリ(SBI証券・楽天証券など)では損益確認機能が標準搭載されているため、年末前に一度確認してみることをお勧めします。


国税庁タックスアンサー「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」 - 損出しや繰越控除の適用要件と手続きについて詳しく確認できます




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