住宅取得等資金贈与の必要書類と申告手続きの全手順

住宅取得等資金贈与の必要書類と申告手続きの全手順

住宅取得等資金贈与の必要書類と申告手続きを状況別に解説

贈与税がゼロ円でも申告しないと177万円の贈与税が後から課税されます。


📋 この記事の3つのポイント
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必要書類は状況によって変わる

新築・中古・省エネ住宅・未入居など、住宅の種類や居住状況によって添付書類が異なります。チェックリストで漏れなく確認しましょう。

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贈与税ゼロでも申告は必須

非課税枠内の贈与でも申告しなければ特例は適用されません。申告期限は贈与を受けた翌年の3月15日です。

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暦年贈与や相続時精算課税とも併用できる

住宅取得等資金贈与の非課税枠(最大1,000万円)に加え、暦年贈与の基礎控除110万円との併用で最大1,110万円まで非課税にできます。


住宅取得等資金贈与の必要書類一覧と基本的な仕組み


住宅取得等資金贈与の非課税特例とは、父母・祖父母など直系尊属から住宅購入のための資金を受け取った場合、一定の要件を満たせば最大1,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。令和6年度の税制改正で適用期限が令和8年12月31日まで延長されており、2026年現在も活用できます。


この制度を利用するために絶対に準備しなければならない書類は、大きく3グループに分けられます。


これが基本です。ただしこれはあくまでも「標準セット」であり、住宅の種類や入居状況によってさらに追加書類が発生します。次のセクションから状況別に詳しく見ていきましょう。


国税庁が公表している公式チェックシートも合わせて確認することをお勧めします。


令和7年分「住宅取得等資金の非課税」チェックシート(国税庁・東京国税局)
上記は国税庁が公表している令和7年分の公式チェックシートです。必要書類の過不足を確認する際の基準として活用できます。


住宅取得等資金贈与の必要書類:新築・中古・省エネ住宅別まとめ

住宅の種類によって、添付すべき書類が変わります。これが意外と見落とされがちなポイントです。


🏠 新築住宅(省エネ等住宅以外)の場合


| 書類名 | 取得場所 | 費用 |
|---|---|---|
| 贈与税申告書(第1表・第1表の2) | 国税庁HPまたは税務署 | 無料 |
| 受贈者の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 約450円 |
| 源泉徴収票確定申告未実施者) | 勤務先 | 無料 |
| 登記事項証明書 | 法務局(全国どこでも可) | 600円 |
| 工事請負契約書の写し | 手持ちのもの | 無料 |


登記事項証明書はオンライン請求で郵送取得なら500円、窓口受取なら480円で取得できます。法務局の窓口が遠い場合は「登記・供託オンライン申請システム」の利用が便利です。


✨ 省エネ等住宅(非課税枠が最大1,000万円になる)の場合


省エネ等住宅に該当すると、非課税枠が500万円から1,000万円に倍増します。これは使えそうです。ただし以下のいずれかの証明書を別途添付しなければなりません。


- 住宅性能証明書
- 建設住宅性能評価書の写し
- 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し+住宅用家屋証明書
- 低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し+認定低炭素住宅建築証明書
- 住宅省エネルギー性能証明書


「省エネ等住宅かどうか」の判断は、断熱等性能等級や耐震等級の基準を満たしているかで決まります。新築マンションや建売住宅では、売主や施工会社に確認することで証明書を発行してもらえるのが一般的です。


🏚 中古住宅(建築後使用されたことのある家屋)を取得した場合


中古住宅の場合、以下のいずれかの要件を満たす必要があり、それを証明する書類も必要になります。


- 昭和57年1月1日以降に建築されたもの(登記事項証明書で確認)
- 耐震基準適合証明書があるもの
- 既存住宅売買瑕疵担保責任保険の加入証明書があるもの


昭和57年1月1日以前の建物でも、耐震基準適合証明書があれば適用可能です。これが条件です。


No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(国税庁タックスアンサー)
国税庁の公式タックスアンサーです。適用要件・必要書類について、新築・取得・増改築の区分別に詳細が掲載されています。


住宅取得等資金贈与の必要書類:戸籍謄本の落とし穴と入手方法

戸籍謄本は「自分のもの1通でOK」と思っている方が多いですが、実は祖父母から贈与を受ける場合は注意が必要です。


結婚等によって親の戸籍から抜けた孫が祖父母から贈与を受ける場合、自分の戸籍謄本だけでは祖父母との直系関係を証明できません。この場合は、自分の戸籍謄本に加え、親(贈与者の子)の戸籍謄本も添付が必要になります。親の名前が自分の戸籍謄本に記載されており、祖父母の名前が親の戸籍謄本に記載されていることで、直系尊属からの贈与であることが証明できます。


親の戸籍謄本は親の本籍地の市区町村役場で取得することになりますが、本籍地が遠方の場合は郵送でも取り寄せ可能です。費用は1通あたり450円程度です。


「古い戸籍謄本が手元にある。これは使えるのか?」という疑問を持つ方もいると思います。


贈与税申告での戸籍謄本提出には、「取得日から〇ヶ月以内」という有効期限の定めがありません。租税特別措置法施行規則の規定上、取得日の制限が設けられていないためです。金融機関や役所での手続きと異なり、古いものでも法律上は問題ありません。


ただし、贈与の事実を示す書類としての性質上、贈与を受けた日以降に取得した戸籍謄本を使うのが安全です。不安な方はあらためて取得しておきましょう。


戸籍謄本の取得は、マイナンバーカードを持っていればコンビニのマルチコピー機でも取得できます(対応市区町村のみ)。窓口が混雑する年度末には特に便利な方法です。


住宅取得等資金贈与の必要書類:3月15日までに入居できない・建物が未完成のケース

「3月15日までに引っ越しできなければ非課税特例は受けられない」と思い込んでいる方が多いですが、実は追加書類の提出で対応できるケースがあります。


【ケース①】建物は完成しているが、3月15日までに入居できない場合


引越しの都合や、子供の学校の卒業時期などの事情で3月15日までに入居できないケースです。この場合、以下の内容を記載した書面(誓約書)を自分で作成し、添付します。


- 入居できない具体的な事情
- 入居予定時期
- 遅滞なく入居する旨の誓約


様式は特に定められておらず、自作でOKです。ただし翌年12月31日までに入居できない場合は特例が適用されないため、年末までには必ず入居を完了させる必要があります。


【ケース②】建物自体が3月15日までに完成していない(工事中)場合


年末に贈与を受けたが、建物の完成が翌年春以降になる場合があります。厳しいところですね。この場合でも「棟上げの状態」に達していれば特例を受けられます。


追加で必要な書類は以下の2点です。


- 建物が棟上げ状態にあることを証明する建築業者等の書類(工事完了予定日の記載が必要)
- 遅滞なく入居すること・居住後に登記事項証明書を税務署に提出することを約束する誓約書


棟上げ証明書はハウスメーカーや工務店に依頼します。完了予定日の記載を忘れずに求めてください。


住宅取得資金贈与申告の必要書類とは?(OAG税理士法人)
OAG税理士法人による解説記事です。入居できない場合の追加書類や、新築・未完成時の対応について詳しく記載されています。


住宅取得等資金贈与の必要書類:申告書の提出方法と無申告ペナルティ

贈与税申告書の提出期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。令和7年分(2025年贈与分)の申告期限は令和8年(2026年)3月16日(月曜日)です。※通常は3月15日ですが、土日の場合は翌営業日になります。


申告書の提出方法は3つあります。


- e-Tax(オンライン):国税庁「確定申告書等作成コーナー」から申告書を作成しオンライン送信。添付書類はPDFイメージデータとして送付できるため、税務署に出向く必要がありません。


- 郵送:必要書類一式を税務署または業務センターへ郵送。消印が申告期限内であればOKです。


- 窓口持参:住所地を管轄する税務署の窓口に直接提出。


e-Taxを使う場合でも、申告書はPC(パソコン)での作成が必要です。スマートフォンのみでは贈与税申告書の作成はできません(令和7年分現在)。マイナンバーカードを使って本人確認を行います。


重大な注意点がひとつあります。


非課税枠の範囲内で贈与を受けていて「税額ゼロだから申告不要」と考えるのは完全な誤りです。 申告をしなければ特例は適用されず、通常の贈与として課税されます。例えば1,000万円の贈与では177万円の贈与税が課税されてしまいます。申告は必須です。


さらに申告を意図的に回避したと判断された場合、40〜50%の重加算税が課される可能性もあります。延滞税も別途発生します。贈与税が0円になるとしても、申告書の提出だけは必ず行ってください。


住宅取得等資金贈与の非課税特例とは?要件・手続き・必要書類(税理士法人チェスター)
相続・贈与専門の税理士法人による詳細解説記事です。非課税限度額・暦年贈与・相続時精算課税との併用について図解でわかりやすくまとめられています。


住宅取得等資金贈与の必要書類:知ると得する「暦年贈与・相続時精算課税との併用」

住宅取得等資金贈与の非課税特例は、実は他の贈与制度とも組み合わせることで非課税枠をさらに広げられます。これは意外と知られていない活用術です。


📌 暦年贈与(年110万円の基礎控除)との併用


住宅取得等資金贈与の非課税上限(最大1,000万円)と、暦年課税の基礎控除(年間110万円)は同年中に併用可能です。つまり最大1,110万円まで贈与税がかかりません。


この場合、贈与税申告書には非課税特例の適用と、基礎控除の適用の両方を記載して提出します。追加の書類は基本的に不要です。これだけ覚えておけばOKです。


📌 相続時精算課税との併用


相続時精算課税制度(60歳以上の直系尊属から18歳以上の子・孫への贈与を対象)と住宅取得等資金贈与の非課税特例は、併用可能です。この場合の非課税枠は最大で3,610万円になります(うち2,500万円分は相続時に精算)。


さらに、通常の相続時精算課税は「贈与者が60歳以上」が条件ですが、住宅取得等資金を贈与する場合は60歳未満の親・祖父母でも相続時精算課税を使えます。これは大きなメリットです。


なお、相続時精算課税を選択すると以後は取り消しができません。選択前には必ず税理士に相談することをお勧めします。


📌 夫婦それぞれが非課税枠を利用できる


非課税上限額は受贈者ごとに設定されているため、夫と妻がそれぞれの直系尊属から贈与を受ければ、夫婦合計で最大2,200万円まで(それぞれ1,000万円+110万円)を非課税にできます。ただしこの場合、取得する住宅の名義を「資金の負担割合に応じた共有名義」にすることが必須条件です。名義を一方のみにすると、夫婦間の贈与とみなされ課税対象になる可能性があります。注意が必要です。


住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(国土交通省)
国土交通省による制度の公式紹介ページです。省エネ等住宅の要件や制度概要が図表でわかりやすく整理されており、制度全体の確認に役立ちます。




住宅ローン控除・住宅取得資金贈与のトクする確定申告ガイド (令和2年3月申告用)