

登記事項証明書を法務局に取りに行った人の8割は、実は提出しなくても良かった書類を苦労して集めている。
住宅ローン控除の初年度確定申告では、複数の書類を自分で集める必要があります。これが「面倒くさい」と感じる人が多い理由のひとつです。
まず全員が共通して必要な書類は次の7種類です。
| 書類名 | 入手先 | 備考 |
|---|---|---|
| 確定申告書 | 国税庁サイト・税務署 | 無料でダウンロード可 |
| (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 国税庁サイト・税務署 | 初年度のみ必要 |
| 住宅ローンの年末残高等証明書 | 借入先の金融機関 | 10〜11月頃に郵送で届く |
| 建物・土地の登記事項証明書 | 法務局(オンライン申請も可) | 不動産番号入力で省略できる場合あり |
| 不動産売買契約書(請負契約書)の写し | 引渡時に不動産会社から交付 | コピーを保管しておく |
| 源泉徴収票 | 勤務先(1月中旬ごろ発行) | 給与所得者のみ |
| 本人確認書類の写し | マイナンバーカード等 | カードがない場合は2点必要 |
書類は「一度にすべてそろう」わけではありません。年末残高等証明書は10〜11月、源泉徴収票は1月中旬と、届くタイミングがそれぞれ異なります。計画的に準備を進めることが基本です。
特に見落とされがちなのが、住宅の区分に応じた追加証明書類の存在です。認定長期優良住宅や省エネ基準適合住宅など、住宅のランクによって提出書類が増えます。これを知らずに申告すると、書類不足で控除が受けられなくなるリスクがあります。
国税庁のウェブサイトでは、住宅区分のチェックと必要書類の確認ができる「チャットボット(ふたば)」が提供されています。まず自分の住宅の区分を確認することから始めましょう。
参考:住宅ローン控除の区分別の必要書類について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/juutaku.htm
「登記事項証明書を法務局で取ってきた」という人は多いですが、実は特定の条件を満たすと、この書類の提出を省略できます。これは意外と知られていません。
省略できる条件は2つあります。1つ目は、計算明細書の所定欄に「不動産番号」を記載する方法です。不動産番号とは、物件ごとに割り当てられた13桁の番号で、登記事項証明書や売買契約書に記載されています。この番号を記入することで、証明書の添付そのものが不要になります。
2つ目は、e-Taxを使って電子申告する場合に、登記事項証明書のPDFイメージデータを添付する方法です。わざわざ書面の原本を郵送・持参する必要がなくなります。
不動産番号で省略できるということですね。法務局に足を運ぶ時間と手間を、まるごとカットできます。
ただし、1つ注意点があります。省エネ基準に関する証明書類(住宅省エネルギー性能証明書など)は、番号記載での省略制度の対象外です。これは書面またはPDFで提出する必要があります。住宅の区分に応じた証明書類は省略不可が原則です。
参考:国税庁「土地・家屋に係る登記事項証明書の添付省略制度」
https://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/ocat2/ocat23/cid605.html
中古住宅(既存住宅)の場合、新築と比べて追加書類が必要になるケースがあります。「中古でも同じ書類でいい」と思い込んでいると、申告後に書類不足を指摘されることになります。
中古住宅で住宅ローン控除を受けるためには、その建物が一定の耐震基準や省エネ基準を満たしていることを証明する書類が必要です。具体的には次の2パターンに分かれます。
また、省エネ基準の証明書についても、中古住宅が認定長期優良住宅や省エネ基準適合住宅に該当する場合は、新築と同様に各種証明書の提出が求められます。
書類の入手は購入した不動産会社や建築士に依頼するのが一般的です。これが条件です。売主がすでに取得しているケースもありますが、購入前に確認しておくことで申告の遅れを防げます。
なお、2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン控除の対象外になりました。中古住宅の場合はこのルールの直接的な対象外ではありますが、省エネ性能の高い住宅ほど控除上限額が大きいという点は変わりません。物件選びの段階から意識しておく価値があります。
参考:フリーのキュービー「住宅ローン控除の対象外となるケースとは?」
https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/not-eligible-for-mortgage-exemption/
2年目以降の住宅ローン控除は、会社員であれば年末調整で手続きできます。初年度に比べてぐっとシンプルになります。
年末調整で必要な書類は、基本的に以下の2点です。
ただし、2024年(令和6年)以降に「調書方式」へ移行した金融機関の場合は、年末残高等証明書の提出が不要になっています。金融機関がマイナンバーと連携し、残高情報を税務署に直接送るしくみです。これは使えそうです。
調書方式を利用するには、事前に金融機関への申請が必要です。自分の借入先が調書方式に対応しているかどうか、まずは金融機関のウェブサイトや窓口で確認してみてください。
2年目以降の大きなポイントとして、初年度の確定申告書に「控除証明書の交付を要しない場合」という欄があります。ここに誤って丸を付けてしまうと、税務署から翌年以降の控除証明書が届かなくなり、年末調整で住宅ローン控除を受けられなくなります。
初年度の書類記入は最後まで慎重に確認することが条件です。書いてしまった後では取り返しが難しいため、記入前にもう一度内容を確かめてください。
参考:国税庁「住宅ローン控除の適用に係る手続(調書方式)について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jutaku/index.htm
住宅ローン控除の確定申告を忘れてしまっても、すぐに諦める必要はありません。還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年以内であれば、過去に遡って手続きが可能です。
期限内なら問題ありません。たとえば2021年(令和3年)に入居した場合、2026年(令和8年)12月31日まで申告できます。ただし5年を1日でも過ぎると、一切還付が受けられなくなります。これが原則です。
還付申告に必要な書類は、基本的に初年度の確定申告と同じです。ただし、申告する年分に対応した書式や証明書が必要になります。過去の年分の源泉徴収票や年末残高等証明書が手元にない場合は、次のように対処してください。
ひとつ見落とされやすい点があります。「記載漏れで一度申告してしまった場合」です。住宅ローン控除を記載せずに確定申告を提出済みの場合は、「更正の請求」を使って修正を求める必要があります。この場合も提出から5年以内が原則ですが、通常の還付申告とは手続きが異なります。気づいた時点でなるべく早く税務署に相談することが大事です。
また、住宅ローン控除の初年度を申告忘れのまま、2年目以降に年末調整を受けていた場合、まず忘れた年の確定申告(還付申告)を行い、その後に2年目以降の手続きに反映させる必要があります。一度に複数年分の書類をそろえることになるため、早めに着手するのが賢明です。
参考:国税庁「No.2030 還付申告」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
e-Taxを使った電子申告は、書類の準備と提出の両方の負担を減らせる手段として注目されています。税務署に出向く必要がなくなる点も大きなメリットです。
e-Taxで住宅ローン控除の申告をする場合、書類の扱いが次のように変わります。
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマートフォン(マイナンバーカード読み取り対応機種)が必要です。
マイナポータルと連携することで、年末残高情報や控除証明書のデータを自動で取り込める機能も整備されています。入力の手間をさらに減らせるため、e-Tax初年度に設定しておくと2年目以降がより楽になります。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は、案内に従って必要事項を入力するだけで書類が自動作成されます。これは無料です。会計ソフトのfreeeやマネーフォワードなどを使えば、データの連携もスムーズです。ただし有料プランへの加入が必要になることがあるため、コストとの兼ね合いで選ぶと良いでしょう。
申告期限は毎年2月16日〜3月15日ですが、還付申告の場合は1月1日から受け付けが始まります。還付申告を早めに出せば、税金が早く戻ってくるメリットもあります。
参考:国税庁「確定申告書等作成コーナー」
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl