税務調査の事前通知を受けたときの正しい対処法と準備

税務調査の事前通知を受けたときの正しい対処法と準備

税務調査の事前通知を受けた際の基本知識と対策

事前通知が来ても、慌てて行動するより「何が通知されているのか」を正確に把握することが先決です。


📋 この記事のポイント3選
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任意調査でも拒否したら前科がつく

「任意」という言葉に油断は禁物。拒否すると国税通則法第128条により1年以下の拘禁または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

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事前通知後でも日程変更は可能

合理的な理由があれば調査日程の変更を申し出ることができます。税理士の立会い準備のためにも、変更交渉は早めに行うことが重要です。

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書面添付制度で調査省略率67%超

税理士が申告書に「書面添付」を行うことで、意見聴取だけで税務調査が省略される確率が高まります。相続税では調査確率が10%→1%未満に下がるケースも。


税務調査の事前通知で伝えられる11項目の内容とは


税務調査の事前通知は、国税通則法第74条の9に基づいて法定された手続きです。平成23年(2011年)の税制改正により、実地調査を行う場合には原則として事前通知をしなければならないと明確に義務化されました。


通知は口頭(電話)で行われるのが原則です。伝えられる内容は以下の11項目とされています。


番号 通知項目
実地調査を行う旨
調査開始の日時
調査を行う場所
調査の目的
調査の対象となる税目
調査の対象となる期間
調査の対象となる帳簿書類その他の物件
調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所・居所
調査を行う職員の氏名及び所属官署
調査開始日時または調査開始場所に関する変更事項
通知以外の事項について非違が疑われる場合には調査を行うことができる旨


電話での通知は突然かかってくることも多いため、あらかじめメモを用意しておくのが賢明です。11項目すべてを電話口でしっかり記録することが、その後の対応を落ち着いて進めるための第一歩になります。


調査対象期間は通常「過去3年分」が多いですが、申告漏れの疑いが強い場合は5年、悪質な脱税行為が確認された場合は最長7年分まで遡及される可能性があります。この「期間の広がり」は事業規模の小さな個人事業主にとっても無関係ではなく、過去の帳簿保管が重要になってきます。


なお、事前通知の際に「⑥ 調査の対象となる期間」が当初から「3年」ではなく「5年」と通知されるケースがあります。これは税務署側があらかじめ疑念を持っている可能性を示すシグナルである場合もあり、早急に税理士へ相談することをおすすめします。


国税庁が公開している税務調査手続に関する公式FAQも、参考として確認しておくと安心です。


国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」。
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm


税務調査の事前通知後に日程変更は可能か

「通知された調査日に都合がつかない…」という状況は、決して珍しくありません。結論は明確です。合理的な理由があれば、日程変更は認められます。


国税通則法第74条の9第2項では、「税務署長等は、合理的な理由がある場合に限り、調査開始日時または調査開始場所の変更に応じることができる」と規定されています。実際に国税庁のFAQでも、入院・葬儀・業務繁忙などの具体的な理由が例として挙げられています。


変更を申し出る際のポイントは3つあります。


  • 💬 できるだけ早く連絡する:通知を受けたらすぐに変更の希望を伝えるのが理想です。時間が経つほど税務署側の印象が悪くなる可能性があります。
  • 📝 理由を明確に伝える:「税理士の立会い日程が合わない」「繁忙期で担当者が不在」など、具体的かつ合理的な理由を述べましょう。
  • 👔 税理士を通じて交渉する:顧問税理士がいる場合は税理士経由で連絡するほうが、円滑な日程調整につながりやすいです。


一つ注意が必要なのは「変更は1回まで」という暗黙のルールです。何度も変更を繰り返すと、税務署側に「隠蔽しようとしている」という印象を与えかねないため、変更するなら一度で確実に調整することが大切です。


日程変更は認められます。ただし、「理由が不明確な引き延ばし」は逆効果なので要注意です。


税務調査の事前通知なし!無予告調査が行われる条件と対応策

「税務調査は必ず事前通知がある」と思い込んでいる方は少なくありません。実はそうではありません。


国税通則法第74条の10に基づき、「無予告調査(事前通知なしの調査)」が行われる場合があります。条件は、事前通知をすることによって「違法または不当な行為が容易になり、正確な課税標準の把握が困難になる恐れがある場合」または「国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある場合」とされています。


具体的に無予告調査になりやすいのは次のような業態です。


  • 🍺 現金売上が多い飲食店・小売業:お金の流れが不透明になりやすく、事前通知すると売上記録の修正が行われる恐れがあると判断されることがあります。
  • 🏠 不動産売買を頻繁に行う個人:多数の取引が存在し、証拠書類の差し替えリスクが高いと見なされる場合があります。
  • 💻 SNS・ネットビジネス系の事業者:売上の記録が電子データ中心で改ざんが容易なため、無予告で確認しにいくケースも増えています。


無予告調査が来た場合でも、当日の調査を即座に断ることはできません。ただし、「本日は税理士が不在で対応できない」と伝えることで、日時の変更を求めることは認められています。


まずは入り口で落ち着いて対応し、すぐに顧問税理士に連絡を入れることが最優先です。調査官を社内に招き入れる前に連絡できれば理想的で、税理士が来るまでの間は「書類を用意中です」などと伝えて時間を稼ぐ対応が現実的です。


無予告調査は突然来ます。普段から帳簿を正確に整理しておくことが最大の防御策です。


税務調査の事前通知後に自主的な修正申告で加算税を減らす方法

事前通知が届いた後でも、自主的に修正申告を行うことで加算税の負担を軽減できます。これは多くの方が見落としているポイントです。


2017年(平成29年)1月の加算税制度改正で「調査通知」という概念が新設され、修正申告のタイミングによって加算税率が変わるようになりました。下表をご覧ください。


修正申告のタイミング 過少申告加算税率
調査通知を受ける前(自主的) 0%(非課税)
調査通知後〜事前通知前 5%(通常の半分)
事前通知後〜実地調査開始前 5%(ただし50万円超部分は10%)
実地調査開始後(更正予知後) 10%〜15%


つまり、調査官が実際に来る前に自主的に修正申告を出せば、最大で通常の半分の加算税で済むということです。過少申告の金額が100万円だった場合、10%の加算税なら10万円ですが、5%なら5万円で済みます。差額の5万円は決して小さくありません。


調査通知が来た後が条件です。この段階での修正申告は加算税が半減します。


一方で注意すべきなのは、2017年の改正前には「事前通知が来た後でも調査開始前に修正申告すれば加算税ゼロ」という抜け穴的な運用が可能でした。現在はこの抜け穴は塞がれており、調査通知後は少なくとも5%の加算税が課されます。


申告内容に少しでも不安を感じているなら、事前通知が来た段階で税理士に即相談することが最善の一手です。


国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」(PDF)は改正内容を正確に確認できる公式資料です。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf


税務調査の事前通知を未然に回避する書面添付制度の活用法

「税務調査の事前通知が来ないようにする方法はないのか」と考える方もいるでしょう。実はあります。その一つが「書面添付制度」です。


書面添付制度とは、税理士が申告書に「この申告書の計算・内容について私が確認・検討した内容」を記した書面(税理士法第33条の2に基づく書面)を添付する制度です。


この書面が添付されている場合、実地の税務調査を実施する前に税務署は「まず税理士に意見を聴く」という手続きをとることが義務付けられています。そしてその意見聴取の結果、税務署が納得すれば調査は省略されます。


効果はデータにも表れています。


  • 📊 書面添付後の意見聴取により税務調査省略に至った割合は約67%(平成22年当時のデータ)という実績があります。
  • 🏠 相続税申告では通常約10%の確率で税務調査が行われますが、書面添付制度を利用した申告では1%未満にまで下がるケースもあります。
  • 📋 法人税の書面添付割合は令和5年度時点で約10%にとどまっており、制度を知らない経営者がいかに多いかがわかります。


この制度は税理士にしか使えません。そのため書面添付制度を活用したいなら、確定申告を税理士に依頼することが前提です。


書面添付は税理士にとっても責任が重い(虚偽記載で業務停止のリスクあり)制度のため、対応していない事務所もあります。事前に「書面添付に対応しているか」を確認してから依頼するのが確実です。


書面添付制度の詳細は、日本税理士会連合会の公式ページで確認できます。
https://www.nichizeiren.or.jp/taxaccount/document/




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