

待機期間中にアルバイトを1日でもすると、その分だけ給付開始日が後ろにずれます。
失業保険の「待機期間(待期期間)」とは、ハローワークで求職の申込みを行い、受給資格が決定した日から通算して7日間のことを指します。この期間は、ハローワークが申請者が本当に失業状態にあるかどうかを確認するために設けられており、退職理由が自己都合であっても会社都合であっても、すべての申請者に一律で適用されます。
つまり7日間が原則です。
待機期間のカウントは、ハローワークで求職申込みを行った当日が「1日目」となります。土曜日・日曜日・祝日も、失業状態であればカウントに含まれます。たとえば月曜日に申請した場合、次の日曜日(7日目)が待機期間の満了日となり、翌月曜日から受給の権利が生じます。
| 申請日(曜日) | 待機期間1日目 | 待機期間満了日(7日目) |
|---|---|---|
| 月曜日 | 月曜日 | 翌週日曜日 |
| 水曜日 | 水曜日 | 翌週火曜日 |
| 金曜日 | 金曜日 | 翌週木曜日 |
注意点として、待機期間中にアルバイトなど何らかの就労をした場合、その日は「失業状態」とみなされないため、待機期間のカウントに含まれません。3日間アルバイトをした場合、待機期間は7日間ではなく10日間に延びます。わずかな収入のために給付開始が遅れてしまうので、この点は確実に覚えておきましょう。
なお、「待機期間」という呼び方は一般的な表現であり、ハローワークの公式書類や厚生労働省の資料では「待期期間」と記載されています。どちらも同じ意味を指しています。
厚生労働省による受給の基本的な流れについての公式案内はこちら。
Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)|厚生労働省
待機期間と混同されやすいのが「給付制限期間」です。この2つは全くの別物であり、正確に理解しておかないと受給スケジュールの見通しを大きく誤ることになります。
まず待機期間は、全員に適用される7日間です。退職理由を問わず、誰であっても例外なく設定されます。一方、給付制限期間は自己都合退職者にのみ課される追加の期間であり、待機期間の満了後にさらに続く無給の期間です。
| 退職区分 | 待機期間 | 給付制限期間 | 給付開始まで(目安) |
|---|---|---|---|
| 会社都合退職(解雇・倒産など) | 7日間 | なし | 約2〜3週間後 |
| 自己都合退職(2025年4月以降) | 7日間 | 原則1か月 | 約1か月と7日後〜 |
| 自己都合退職(2025年3月以前) | 7日間 | 原則2か月 | 約2か月と7日後〜 |
会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、7日間の待機期間が終われば最初の失業認定日を経て給付が開始されます。一方、自己都合退職の場合は待機期間後に給付制限が加わるため、初回の振込まで相当の日数がかかります。
給付制限期間の目的は、自らの意思で離職した人と、やむを得ず離職を余儀なくされた人との間の公平性を保つためです。この期間中も求職活動を続けることが求められています。
「2か月だと思っていたら1か月だった」という認識のズレが起こりやすい制度です。これは2025年4月からの法改正によるものであり、現在(2026年3月時点)では自己都合退職の給付制限期間は原則1か月が適用されます。
2024年5月に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」により、2025年4月1日以降に離職した方から大きな変更が生じています。改正のポイントは主に2点です。
① 自己都合退職の給付制限期間が「2か月→原則1か月」に短縮
これまで自己都合退職者には「7日間の待機期間+原則2か月の給付制限」がありました。2025年4月以降に離職した場合は、給付制限が原則1か月に短縮されています。これは約1か月分の無収入期間が圧縮されることを意味します。
これは使えそうです。
ただし、過去5年間に3回以上自己都合退職している場合は、給付制限期間が3か月になるため注意が必要です。
② 教育訓練受講で給付制限が解除される新制度が創設
2025年4月以降、離職日前1年以内、または離職後の給付制限期間中に、「教育訓練給付」の対象となる講座を自ら受講した場合、給付制限が解除されます。
対象となる教育訓練には以下のようなものが含まれます。
- 専門実践教育訓練:看護師・保育士・介護福祉士などの資格取得を目指す講座
- 特定一般教育訓練:介護職員初任者研修・大型自動車免許などの実践的スキルアップ講座
- 一般教育訓練:簿記・ITパスポート・TOEIC対策などの知識・技能向上講座
すでに副業や資格取得に取り組んでいる人にとっては、給付制限なしで受給をスタートできる可能性があります。受講済みの講座が対象に含まれるか、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で確認することを推奨します。
改正の公式案内は厚生労働省より。
令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され基本手当を受給できます|厚生労働省
待機期間中のアルバイトが延長につながることは先述しましたが、さらに深刻なのは「不正受給」として扱われるケースです。待機期間後の受給中に就労・収入を隠してハローワークに申告しなかった場合、不正受給とみなされ厳しい罰則が適用されます。
結論は「正直な申告が原則」です。
不正受給が発覚した場合の罰則は以下の3段階で構成されます。
- 支給停止: 不正が発覚した日以降、それ以降の給付が一切ストップします。
- 返還命令: 不正に受給した金額の全額返還が求められます。
- 納付命令(3倍返し): 悪質と判断された場合、返還額に加えてその2倍相当の納付命令が下ります。合計で不正受給額の3倍を支払うことになります。
「ちょっとした副業だから申告しなくていいか」と軽く考えているとえらいことになりますね。たとえば10万円分を不正受給していた場合、3倍の30万円を一括で求められる事態になりえます。
厚生労働省や各ハローワークは、事業主側からの雇用保険届出の照合、税務情報との突き合わせなど複数の調査ルートを持っています。「バレないだろう」という判断は非常にリスクが高いと理解しておくべきでしょう。
受給期間中のアルバイトは条件付きで認められています。週20時間未満かつ31日以上の雇用見込みがない場合は「就職」とみなされず、受給を続けながら働くことができます。ただし、その場合でも4週間ごとの「失業認定日」に正直に申告することが必要です。
不正受給の具体的な罰則と事例は大阪労働局が詳細に公開しています。
不正受給について(事例等)|大阪労働局
待機期間と給付制限を経て受給が始まったとき、実際にいくらもらえるのか・何日間もらえるのかを把握しておくことは非常に重要です。これを決める要素は主に3つあります。
① 基本手当日額(1日あたりの受給額)
退職前6か月間の給与総額を180で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率をかけて算出します。給与が高いほど給付率は低くなり、給与が低いほど給付率は高くなる設計です。2025年8月改定後の基本手当日額の上限は以下の通りです。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限(2025年8月〜) |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
② 所定給付日数(何日間もらえるか)
給付日数は退職理由と雇用保険への加入期間(被保険者期間)、年齢によって変わります。
自己都合退職の場合は年齢に関わらず、加入期間1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日が上限となります。
会社都合退職(特定受給資格者)の場合は手厚く、最大で330日間(45歳以上60歳未満・被保険者期間20年以上の場合)受給できます。自己都合と会社都合では最大で180日分もの差が出ることになります。
③ 受給期間の期限は「離職日翌日から1年間」
給付日数がどれだけ残っていても、離職日翌日から1年間が経過した時点で受給資格は失効します。この期限内に求職活動を行い、認定日に失業の認定を受ける必要があります。手続きを後回しにしていると、本来もらえるはずの給付日数を無駄にしてしまう危険があります。
受給期間は管理が必要です。
受給資格の期限(1年)は、妊娠・出産・育児・疾病などの事情がある場合は最大4年まで延長することが可能です。該当する場合はハローワークへ早めに申し出ることを検討してください。
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