

受講修了後に申請しないと、最大64万円が1円ももらえません。
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了した場合に、かかった費用の一部が雇用保険から支給される国の制度です。スキルアップやキャリア形成を後押しするための仕組みで、資格取得を考えている社会人にとって非常に使い勝手のよい制度といえます。
対象となる講座は「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」(以下、検索システム)から調べることができます。以前は使い勝手が悪いシステムでしたが、2023年3月にリニューアルされ、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも操作できるようになりました。これは便利ですね。
全部で約14,000講座以上が登録されており、FP(ファイナンシャルプランナー)・宅地建物取引士・簿記検定・MBAなど、金融に関心のある方にとって身近な資格も多数含まれています。つまり検索システムを使いこなせれば、受講前から最大限の給付を受ける準備ができるということです。
検索システムには「フリーワードで検索する」と「条件で検索する」の2つの方法があります。ただし、この2つの検索方法は同時に機能してしまうという不備があります。「条件で検索する」だけを使いたい場合は、必ずフリーワード欄を空白にしておくことが原則です。フリーワード欄に何か残っていると、検索結果が正確に表示されないので注意が必要です。
検索システムで講座を絞り込む手順は以下の通りです。
特に「開講月」と「指定期間」の確認は必須です。すでに開講してしまっている講座や、指定期間が終了している講座は給付の対象にならないからです。「指定番号」はハローワークでの支給要件照会や申請時に必要になるため、メモか印刷をしておくと後で役立ちます。
参考:厚生労働省 教育訓練給付金の講座指定について(検索システムへのリンクも掲載)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku_00001.html
教育訓練給付金には3種類があり、それぞれ対象講座と給付率が異なります。金融系の資格を狙っている場合は、自分が取りたい資格がどの種類に分類されるかを最初に確認することが重要です。給付率が2倍以上違うこともあるため、種類の選び間違いは大きな損失につながります。
以下の表に3種類の概要をまとめます。
| 種類 | 給付率(上限) | 金融系資格の例 | 初回の加入要件 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20%(上限10万円) | FP2・3級、簿記検定、TOEIC、宅建、MOS、証券外務員 | 雇用保険1年以上 |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円) | FP1級・CFP、税理士、社会保険労務士、大型免許など | 雇用保険1年以上 |
| 専門実践教育訓練 | 最大80%(年間上限64万円) | MBA(経営学修士)、IT専門課程など | 雇用保険2年以上 |
金融の勉強をしている方に特に注目してほしいのが、一般教育訓練に分類される宅地建物取引士やFP2・3級などです。これらは比較的取り組みやすい資格でありながら、受講料の20%(上限10万円)が支給対象になります。受講料が20万円なら4万円、50万円なら10万円が戻ってくる計算で、スクールを選ぶ前に対象講座かどうか確認する価値は十分あります。
さらに見逃せないのが特定一般教育訓練です。CFP(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER)資格や税理士講座など、一段階高い専門性の講座が対象となり、給付率は一般教育訓練の2倍にあたる40%(上限20万円)になります。これは使えそうです。
専門実践教育訓練はMBAなど長期間の学習が必要な課程が対象で、2024年10月以降に受講を開始した場合、最大80%(年間上限64万円)まで給付率が引き上げられました。この改正は大きなメリットです。ただし受講費用の50%が訓練中に支給され、修了後に就職し、さらに賃金が受講前と比べて5%以上上昇した場合に最大の80%に達する仕組みのため、条件の確認が重要です。
参考:FP・税理士など金融系資格の給付金について詳しく解説(フォーサイトのコラム)
https://www.foresight.jp/fp/column/education-and-training-benefits/
どれだけ良い対象講座を見つけても、受給資格がなければ給付金は1円も支給されません。受給条件の核心となるのは「雇用保険の被保険者期間(支給要件期間)」です。これが条件です。
原則として、一般教育訓練・特定一般教育訓練を初めて利用する場合は雇用保険の加入期間が1年以上、専門実践教育訓練を初めて利用する場合は2年以上必要です。2回目以降の利用には3年以上の加入期間が必要になります。また、過去に教育訓練給付金を受けた経験がある場合は、前回の受給から3年以上経過していなければなりません。
見落としがちなポイントが3つあります。
自分が受給資格を満たしているかどうか不明な場合は、ハローワークで「支給要件照会」を行うことをおすすめします。照会票に必要事項を記入し、本人確認書類とともに提出すれば事前確認が可能です。電話での照会は受け付けていないため、必ず来所・郵送・電子申請のいずれかで手続きします。これだけ覚えておけばOKです。
なお、公務員や自営業者は雇用保険に加入していないため、残念ながら対象外となります。FPの資格取得を目指している個人事業主の方がこの点を知らずに講座を申し込んでしまうと、受講料の全額が自己負担になってしまうので要注意です。
参考:ハローワークインターネットサービス 教育訓練給付金の受給要件の詳細
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
検索システムで「対象講座」として表示されているからといって、受講開始時点でも必ず有効であるとは限りません。これは意外ですね。指定期間内であっても、運営する教育訓練施設が指定基準を満たさなくなった場合は、随時指定取消しの処分を受けることがあります。
指定が取り消されてしまった場合、取消し日以降に受講を開始した方は給付の対象外となります。また、施設が学生を募集した後に取消し処分を受けるというケースも実際に発生しており、その場合は「支払い済みの受講料は原則返還されず、かつ給付金も支給されない」という最悪の状況になります。受講前に必ずハローワークで当該講座の指定状況を最終確認することが、数万〜数十万円単位の損失を防ぐ唯一の方法です。
また、検索システムには情報の鮮度の問題もあります。システムに掲載されているのは教育訓練施設が提出したデータを元にした情報であり、リアルタイムの最新状態とは若干のタイムラグが生じる場合があります。開講月・指定期間・訓練経費は必ず施設に直接確認することを習慣にしましょう。
さらに「厚生労働省指定校」「厚生労働省認定校」という表現を使って募集しているスクールには注意が必要です。厚生労働省が指定するのは「講座」であり「学校(施設)」ではないからです。このような不適切な宣伝は厚生労働省告示により禁止されています。こうした表現を使っているスクールは、制度の正確な理解が不足している可能性があるため、申し込む前に十分確認することをおすすめします。
参考:指定取消し事例と注意点(教育訓練給付金.JPの解説ページ)
https://kyoikukunren.jp/a/701
給付金を受け取るには、受講修了後に自分でハローワークへ申請手続きを行う必要があります。制度を使えば自動的に振り込まれるわけではありません。申請しないともらえません。
一般教育訓練の場合、申請の原則期限は「受講修了日の翌日から1か月以内」です。この1か月という期間は意外に短く、資格試験の勉強中や仕事が忙しい時期と重なると見逃しやすいポイントです。ただし、この期限を過ぎてしまっても完全に終わりではありません。修了日の翌日から2年以内(時効完成まで)であれば、申請が可能です。まずは諦めずにハローワークに相談することをおすすめします。
申請の大まかな流れは以下の通りです。
必要書類の中で特に注意したいのが「修了証明書」と「領収書」です。どちらも教育訓練施設が発行するものですが、受講修了後に時間が経つと発行を断られるケースもあります。受講が終わったらすぐに施設へ発行依頼をするのが、金銭的損失を防ぐ確実な方法です。
また、専門実践教育訓練の場合は6か月ごとに支給申請が必要です。受講中から半年ごとにハローワークへ申請するサイクルが発生するため、スケジュール管理を始めから組んでおくと申請漏れを防げます。MBAやIT専門課程など長期の講座を検討している方は特に意識しておきましょう。
参考:一般・専門実践給付金のQ&A(厚生労働省公式)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197028.html
多くの記事では「対象講座の探し方」や「申請方法」について解説していますが、実は見落とされがちな視点があります。それは「同じ資格でも、どの種類の給付に分類されているかによって、受け取れる金額が2倍以上変わる」という現実です。痛いですね。
具体的に見てみましょう。例えばFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を例に挙げると、FP2・3級は一般教育訓練(給付率20%)ですが、CFP(上級FP資格)は特定一般教育訓練(給付率40%)に分類されている場合があります。受講料が同じ20万円でも、一般教育訓練なら4万円の給付、特定一般教育訓練なら8万円の給付と、2倍の差がつきます。
さらに、受講前から計画的に動くことで、同じ予算でより高いレベルの資格取得を実現できます。たとえばFP2級取得後にCFP・1級を目指す場合、給付率の異なる制度を複数回活用することが可能です。ただし、給付金を一度受けた後に再度受けるには、前回の受給から3年以上の期間が必要です。これが条件です。キャリアプランと給付制度の受給間隔を合わせて長期的に計画を立てることが、累計で数十万円単位の節約につながります。
もう一つの独自視点は「オンライン講座も対象になる」という点です。
働きながら学ぶ環境が整っている今、検索システムで「実施方法:eラーニング」と絞り込んで対象講座を探してみると、自分のライフスタイルに合った選択肢が見つかるはずです。その一つの行動として、まず厚生労働省の検索システムにアクセスして「FP」「宅建」「簿記」などで絞り込むところから始めてみましょう。
参考:教育訓練給付制度の詳細(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html

退職後も安心!雇用保険基本手当と教育訓練給付金ガイド: マイナンバーでの申請方法と従来手続きの徹底解説/リスキリングでキャリア再構築を実現