所定給付日数とは何か年齢と退職理由で変わる仕組み

所定給付日数とは何か年齢と退職理由で変わる仕組み

所定給付日数とはわかりやすく解説:年齢と退職理由で決まる仕組み

自己都合で辞めても、申請を1ヶ月遅らせると受給できる日数がそのまま丸ごと消えます。


この記事の3つのポイント
📅
所定給付日数は90日〜360日

退職理由(自己都合・会社都合)、離職時の年齢、雇用保険の加入期間の3つで決まります。同じ条件でも退職理由だけで受給総額が3倍以上変わるケースがあります。

⚠️
受給期間は離職翌日から1年間が原則

所定給付日数がどれだけ残っていても、離職日の翌日から1年間を過ぎると受給資格が消滅します。手続きが遅れるほど実際にもらえる日数が減ります。

💡
2025年4月改正で給付制限が1ヶ月に短縮

自己都合退職の給付制限期間が原則2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。さらに教育訓練を受講していれば給付制限ゼロで受給開始できます。


所定給付日数とは何か:基本手当がもらえる上限日数の意味

所定給付日数とは、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)を受け取ることができる日数の上限を指します。この日数は、ハローワークに失業の認定を受けた日数分だけカウントされる仕組みで、カレンダー上の日数とは異なります。たとえば認定を受けていない土日や、アルバイトで働いた日は消費されないため、実際の受給期間は所定給付日数より長くなることがほとんどです。


つまり所定給付日数は「上限の枠」です。


この日数は「離職理由」「離職時の年齢」「雇用保険の被保険者期間(加入期間)」という3つの軸によって決定されます。自己都合退職か会社都合退職かによっても大きく異なり、最短90日から最長360日まで幅があります。なお「受給期間」と「所定給付日数」は混同されやすいので注意が必要です。


受給期間とは、失業保険を受け取れる有効期限のことで、原則として離職日の翌日から1年間です。この1年間のウィンドウの中で、所定給付日数の分だけ手当を受け取ることができます。重要なのは、1年間が過ぎてしまうと、たとえ所定給付日数が残っていても受給できなくなる点です。手続きは早めが原則です。





























用語 意味 具体例
所定給付日数 基本手当をもらえる上限日数 90日・150日・330日など
受給期間 失業保険の有効期限(原則1年間) 離職日翌日〜1年後
待期期間 申請後に必ずある7日間の空白 全員に適用、手当は出ない
給付制限期間 自己都合退職者に課される追加の空白期間 原則1ヶ月(2025年4月改正後)


1年という期間はだいたいA4用紙1枚の厚みが365枚積み重なったイメージで、「まだ余裕がある」と思っていると意外なほどあっという間です。退職後は生活の立て直しでバタバタしがちですが、ハローワークへの申請は最優先事項と考えてください。


参考:ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)に所定給付日数の一覧表が掲載されています。


基本手当の所定給付日数 - ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)


所定給付日数の一覧表:自己都合・会社都合・就職困難者の違い

所定給付日数は退職理由によって3つのカテゴリに分かれます。これが一番の核心です。


① 自己都合退職(一般受給資格者)の所定給付日数


自己都合で退職した場合、年齢による差はなく、雇用保険の加入期間だけで決まります。
























雇用保険の被保険者期間 所定給付日数
1年未満 — (受給不可)
1年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日


自己都合の最大は150日です。これはだいたい5ヶ月分に相当します。


② 会社都合退職(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)の所定給付日数


倒産・解雇・雇い止めなど会社側の事情で離職した場合は、年齢と加入期間の両方が絡んできます。



















































年齢 \ 被保険者期間 1年未満 1〜5年未満 5〜10年未満 10〜20年未満 20年以上
30歳未満 90日 120日 180日
30〜35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35〜45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45〜60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60〜65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日


45〜59歳で加入20年以上なら最大330日、つまり約11ヶ月分です。


自己都合の最大150日と比べると、実に2.2倍もの差があります。たとえば月の基本手当が15万円の人が、150日と330日で受け取れる総額を単純計算すると、150日で約75万円、330日で約165万円と約90万円もの差になります。退職理由の認定がいかに重要かがわかります。


③ 就職困難者の所定給付日数


障害者手帳をお持ちの方など、就職に特別なサポートが必要な方には最大360日が適用されます。



















年齢 \ 被保険者期間 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45〜65歳未満 150日 360日


360日はほぼ1年分の給付に相当します。


参考:厚生労働省・求職者給付Q&Aで受給期間と所定給付日数の違いが公式に解説されています。


求職者給付に関するQ&A - 東京ハローワーク(厚生労働省)


所定給付日数に影響する「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の認定条件

会社都合の手厚い所定給付日数を受けるには、ハローワークで「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として認定される必要があります。これが認定されるかどうかで、受け取れる日数が大幅に変わります。


特定受給資格者に該当する主なケース:


- 🏭 会社が倒産・廃業した
- ✉️ 雇用契約の更新を希望したが会社に拒否された(雇い止め)
- ⚡ 解雇された(懲戒解雇は原則除く)
- 📉 事業所が大幅に縮小し、希望退職を余儀なくされた
- 🚗 勤務場所が遠方に変更され、通勤が往復4時間以上になった


特定理由離職者に該当する主なケース:


- 🏥 本人や家族の病気・けがで退職
- 👶 妊娠・出産・育児のために退職(復職困難な場合)
- 💼 有期雇用契約が満了して雇い止めになった(雇用継続を希望した場合)


特定理由離職者は2つのグループに分かれており、倒産・解雇と同等の所定給付日数が適用されるのは「雇い止め」などの一部のグループに限られます。認定条件が自己申告では確定しない点が重要です。


これは注意が必要な点です。


たとえば「上司のパワハラが辛くて退職した」という場合でも、証拠や状況によって特定受給資格者と認定される可能性があります。離職票の「離職理由」欄に異議がある場合は、ハローワークで申し立てができます。自分の判断で「どうせ自己都合だ」とあきらめるのは早計です。


参考:特定受給資格者・特定理由離職者の具体的な範囲について厚生労働省が詳細を公開しています。


特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲 - ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)


所定給付日数と2025年改正:給付制限1ヶ月短縮と教育訓練受講の特例

2025年4月1日より、雇用保険法の改正が施行されました。所定給付日数そのものは変わっていませんが、実際に手当を受け取り始めるまでの「給付制限期間」が大きく見直されています。


これは使える知識です。


改正前は自己都合退職をすると、7日間の待期期間に加えて「2ヶ月間」の給付制限がありました。改正後は原則1ヶ月に短縮されました。合計で約1.5ヶ月後に最初の振り込みが来ることになります。以前は合計で約2.5ヶ月もの空白があったため、この短縮はかなりの改善です。


2025年4月改正のポイント:


| 変更点 | 改正前 | 改正後(2025年4月〜) |
|---|---|---|
| 自己都合の給付制限 | 原則2ヶ月 | 原則1ヶ月 |
| 教育訓練受講者 | 給付制限あり | 給付制限ゼロ |
| 過去5年で3回以上の自己都合退職 | 3ヶ月 | 3ヶ月(変わらず) |


特に注目すべきは「教育訓練受講で給付制限ゼロ」という特例です。離職日前1年以内に厚生労働大臣指定の教育訓練を受講していた場合、または離職後に受講を始めた場合は、7日間の待期期間が終わればすぐに受給を開始できます。職業スキルアップを目指している方にとっては、退職のタイミングと資格取得の計画を合わせることで大きなメリットになります。


なお、この改正は「2025年4月1日以降に離職した方」に適用されます。2025年3月31日以前に離職した方には旧ルール(2ヶ月制限)が引き続き適用される点に注意してください。


参考:2025年4月施行の雇用保険制度改正について、厚生労働省の公式資料に詳細が掲載されています。


令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について - 厚生労働省(PDF)


所定給付日数を最大限活かす:再就職手当と早期就職の賢い選択

所定給付日数が多く残っているからといって、なんとなく就職活動を先延ばしにするのは実はもったいない選択です。早期に就職すると、残った所定給付日数の分が「再就職手当」として一括で受け取れる制度があります。


再就職手当が原則です。


再就職手当の計算式は次のとおりです。


- 📌 所定給付日数の3分の2以上を残して就職 → 残日数 × 基本手当日額 × 70%
- 📌 所定給付日数の3分の1以上を残して就職 → 残日数 × 基本手当日額 × 60%


たとえば基本手当日額が6,000円で、所定給付日数90日のうち60日を残して就職した場合(3分の2以上残)を計算すると、6,000円 × 60日 × 70% = 252,000円が一時金として受け取れます。失業期間をダラダラ延ばすより、早期就職のほうが結果的に手元に残るお金が多いケースも十分あります。


ただし再就職手当には条件があります。


- ✅ 7日間の待期期間を満了していること
- ✅ 給付制限期間がある場合は、その期間が終わった後に就職していること
- ✅ 1年を超えて継続雇用されることが確実な就職先であること
- ✅ 前の会社への再就職でないこと
- ✅ 過去3年以内に再就職手当を受け取っていないこと


これらを満たしていれば申請できます。就職が決まったらすぐにハローワークへ連絡し、「採用証明書」を取得・提出する手続きを行いましょう。就職後に申請を忘れると手当が受け取れなくなりますので要注意です。


また、もうひとつ見落とされがちな知識があります。所定給付日数を使い切らずに次の仕事を見つけた場合、「失業保険を受け取ると被保険者期間がリセットされる」という点です。受給を開始した時点で、それ以前の雇用保険加入期間は次回計算に使えなくなります。逆に言えば、受給開始前に再就職すれば前職の期間も通算されるため、次の離職時に有利になります。短期離職を繰り返しそうな方はこの点も念頭に置いておくと賢明です。


参考:再就職手当の詳細と申請方法はハローワーク公式の案内で確認できます。


再就職手当のご案内 - ハローワークインターネットサービス(厚生労働省・PDF)