支払調書 個人事業主 マイナンバー記載義務と提出基準

支払調書 個人事業主 マイナンバー記載義務と提出基準

支払調書 個人事業主 マイナンバー記載

本人交付用の支払調書にマイナンバーを書くのは違法です。


この記事の3ポイント要約
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マイナンバー記載は法的義務

個人事業主への支払調書には原則マイナンバー記載が必須。未記載でも受理されるが、国税通則法で定められた義務違反となる

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本人交付時は記載禁止

支払調書の写しを本人に交付する際、マイナンバーを記載すると特定個人情報の提供制限に抵触。法人番号と扱いが異なる

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提出基準は5万円超から

士業の原稿料・講演料は年間5万円超で提出義務発生。基準額以下なら法的根拠をもってマイナンバー提供を断れる

支払調書 個人事業主 マイナンバー記載の法的根拠


個人事業主への支払調書には、マイナンバーの記載が法律で義務づけられています。国税通則法や所得税法により、税務署へ提出する法定調書にはマイナンバーを記載しなければなりません。


参考)【法令解説】支払調書とは?支払調書にマイナンバーの記載は必要…


義務であることは明確です。


しかし実務上の配慮から、国税庁はマイナンバーが未記載の書類でも受理する方針をとっています。提出時点で記載がなくても一律に義務違反とはならないため、税務担当者は混乱しやすい部分です。


参考)支払調書とは?書き方やマイナンバー記載の注意点・提出義務につ…


つまり「義務だが罰則なし」です。


ただし未記載での提出を続けると、税務署から理由を問われる可能性があります。その際に正当な理由を説明できるよう、マイナンバー提供を依頼した記録や、相手方が拒否した経緯を必ず保存しておく必要があります。単なる怠慢と判断されないための対策が不可欠です。


参考)支払調書にマイナンバーの記載が必要?取得・取り扱いについて解…


支払調書 本人交付時のマイナンバー取扱い

支払調書の写しを個人事業主本人に交付する場合、マイナンバーを記載することは禁止されています。これは番号法上の「特定個人情報の提供制限」に抵触するためです。


参考)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm


法人番号とは扱いが違います。


報酬等の支払調書は、所得税法上、本人に交付する義務がありません。交付義務のない書類を本人に渡す際にマイナンバーを記載すると、個人情報保護の観点から違法行為となります。一方で法人番号は公開情報のため、法人との取引では本人交付用の調書に記載しても問題ありません。


個人と法人で対応を分けましょう。


税務署提出用と本人交付用で、2種類の支払調書を作成する運用が安全です。提出用にはマイナンバーを記載し、本人用にはマイナンバー欄を空欄またはマスキングした状態で交付します。この区別を怠ると、個人情報漏洩のリスクや法令違反の責任を負うことになります。


支払調書 マイナンバー提供拒否への実務対応

個人事業主がマイナンバーの提供を拒否した場合、事業者の義務は「マイナンバーを取得すること」から「提供を求めた経緯を記録・保存すること」へ変化します。具体的には、いつ・どのような方法で依頼し、結果として提供を受けられなかった事実を社内で記録します。


参考)支払調書でマイナンバーを教えたくない!拒否は可能か?罰則・リ…


記録が義務に変わるということですね。


提供拒否の記録には、依頼日時・方法(メール、書面など)・相手方の氏名・拒否の理由などを含めます。この記録があれば、税務署から未記載の理由を問われた際に「正当な努力をしたが入手できなかった」と説明できます。


参考)ドキュメント移動


単なる義務違反ではありません。


マイナンバーが空欄の支払調書を提出した後も、引き続き提供依頼を続ける姿勢が求められます。国税庁のリーフレットなどを活用し、個人事業主に対してマイナンバー提供の重要性を丁寧に説明することで、将来的な協力を得られる可能性が高まります。

支払調書 提出基準額と提供拒否の関係

支払調書の提出基準額に満たない場合、個人事業主はマイナンバーの提供を法的根拠をもって断ることができます。例えば士業への原稿料・講演料が年間5万円以下であれば、税務署への支払調書提出義務は発生しません。


参考)【2025】支払調書は5万円以下なら提出不要?提出が必要な場…


5万円が一つの境界線です。


具体例として、あるクライアントからの原稿料が年間4万円だった場合、そのクライアントに支払調書の提出義務はありません。この状況でマイナンバーの提供を求められた個人事業主は、「所得税法第225条に定められた提出基準額に満たないため、提出は控えます」と明確に断れます。

基準額以下なら拒否できますね。


提出基準は支払内容により異なり、5万円・50万円・75万円の3段階があります。作家や漫画家の原稿料・講演料は5万円超、非居住者への支払いは50万円超が基準です。税務担当者は各支払内容の基準額を正確に把握し、提出義務の有無を判断する必要があります。


参考)支払調書の提出義務はある?提出先や省略する場合、罰則について…


国税庁のホームページで最新の基準を確認できます。


国税庁「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲には、詳細な提出基準額と対象範囲が記載されています。

支払調書 未提出・虚偽記載の罰則規定

支払調書を提出しない、または虚偽の内容を記載した場合、所得税法第242条の5により「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。


この罰則は提出義務違反に対するものです。



参考)不動産売買でマイナンバーの提出を求められたら?拒否できる?


厳しい罰則が定められています。


ただし単純な記載ミスで即座に罰則が適用されるわけではありません。提出義務のある支払いを故意に隠した場合や、意図的に虚偽の内容を記載した悪質なケースのみが対象です。提出忘れであっても税務調査で指摘される可能性があるため、正確な事務処理の徹底が必須です。


参考)支払調書の提出義務とは?税務署への提出範囲や給与、罰則を解説…


悪質なケースが対象ということですね。


一方でマイナンバー自体の未記載や誤記載については、税法上の罰則規定が設けられていません。マイナンバーの記載は法律で定められた義務ですが、未記載だけでは罰則の対象にならないのが現状です。しかし支払調書そのものの未提出は重大な違反となるため、マイナンバーが入手できない場合でも支払調書は必ず期限内に提出する必要があります。


参考)支払調書のマイナンバー記載は義務か - 生命保険研究所


支払調書 マイナンバー本人確認の具体的方法

支払調書作成時のマイナンバー収集では、番号確認と身元確認の2段階の本人確認が必要です。マイナンバーカードがあれば1枚で両方の確認が完了しますが、通知カードや住民票の写しを提出された場合は別途身元確認書類が必要になります。


参考)支払調書にマイナンバーの収集は必要?必要な範囲やおすすめソフ…


2段階の確認が原則です。


具体的には、通知カードまたは住民票の写しでマイナンバーを確認し、その後に運転免許証・パスポート・健康保険証などで本人確認を行います。特に個人事業主との取引では、支払調書の提出期限(翌年1月31日)に間に合うよう、報酬支払いの契約時点でマイナンバー確認書類の受理を完了させるのが望ましいです。


事前確認が重要ですね。


マイナンバーの収集・保管には厳格な安全管理措置が求められます。マイナンバー法違反の罰則は重く、正当な理由のない特定個人情報ファイルの提供には「4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、あるいは両方」が科せられます。税務担当者は、収集したマイナンバーを適切に保管し、支払調書提出後は不要になった時点で速やかに廃棄する必要があります。


参考)マイナンバーの罰則内容は? 法的根拠や対象、リスク対策を解説…


マイナンバー管理システムの導入により、安全な保管と適切な廃棄タイミングの管理が可能になります。個人情報保護委員会のガイドラインを参照し、社内の安全管理体制を整備しましょう。


国税庁「本人確認に関するFAQ」では、税務手続きにおける本人確認の具体的方法が解説されています。

支払調書 電子提出とマイナンバー管理の効率化

支払調書の提出件数が多い事業者には、e-Taxによる電子提出が効率的です。年間100件以上の法定調書を提出する場合、電子提出が義務化されています。電子提出では、マイナンバーを含む支払調書データを暗号化して送信できるため、紙媒体での郵送よりも情報漏洩リスクが低減します。

100件以上なら電子提出が必須です。


電子提出のメリットは、セキュリティ面だけではありません。複数の個人事業主への支払いを一括でアップロードでき、提出状況の管理も容易になります。また提出後の控えもデータで保管できるため、紙の保管スペースが不要です。

一括処理で時間短縮できますね。


マイナンバー管理専用のソフトウェアやクラウドサービスを導入すると、収集から廃棄までのライフサイクル管理が自動化されます。これらのシステムでは、マイナンバーの暗号化保存・アクセス権限の設定・操作ログの記録などが標準機能として提供されており、個人情報保護委員会のガイドラインに準拠した運用が可能です。

初期導入には費用がかかりますが、長期的には人的ミスの防止と業務効率化により、コスト削減につながります。特に支払先が100件を超える企業では、システム化による効果が顕著です。

支払調書 税務調査でのマイナンバー確認ポイント

税務調査では、支払調書のマイナンバー記載状況が確認項目の一つになっています。調査官は未記載の理由を尋ね、提供依頼の記録が適切に保存されているかをチェックします。記録がない場合、単なる怠慢と判断される可能性があります。


記録の有無が判断を分けます。


税務調査で指摘されやすいのは、継続的な取引があるにもかかわらず、複数年にわたってマイナンバーが未記載のケースです。1年目は提供を依頼したが入手できなかったとしても、2年目以降も継続して依頼している証拠がなければ、提供努力が不十分と評価されます。

継続的な依頼が必要ですね。


支払調書の保管期限は法定申告期限から7年間です。この期間中は税務調査が入る可能性があるため、マイナンバー提供依頼の記録も同じく7年間保存する必要があります。メールでの依頼履歴、書面での依頼の控え、相手方からの拒否回答などを、支払調書と紐づけて保管しましょう。

デジタルでの記録保存が効率的です。メール送信履歴、社内システムのログ、スキャンした書面などをクラウドストレージに整理して保管すれば、税務調査時に速やかに提示できます。


支払調書 マイナンバー実務での頻出トラブル事例

実務で最も多いトラブルは、個人事業主本人への交付時にマイナンバーを記載してしまうケースです。この行為は番号法違反となり、個人情報保護委員会から是正命令を受ける可能性があります。命令違反にはさらに重い罰則(2年以下の懲役または50万円以下の罰金)が適用されます。


違法行為になります。


次に多いのが、マイナンバーの桁数を誤って記載するミスです。個人番号は12桁ですが、支払調書の様式によっては「個人番号」と表記された欄に13桁の法人番号を記入できる形式もあります。個人事業主の場合は法人番号ではなく12桁のマイナンバーを詰めずにそのまま記載する必要があります。

桁数の確認が重要です。


また社宅管理業務では、家主(個人)からマイナンバーの提供を拒否されるケースが頻発しています。不動産の使用料等の支払調書でも、年間15万円を超える地代・家賃を支払った場合は提出義務があり、マイナンバーの記載が必要です。この場合も提供依頼の記録を残し、拒否された経緯を文書化することで、税務署への説明責任を果たせます。

不動産取引では特に注意が必要ですね。


トラブル防止には、支払調書作成マニュアルを整備し、担当者間で記載ルールを統一することが有効です。特に「本人交付時はマイナンバー削除」「提供拒否時は記録保存」「桁数は12桁」の3点を重点的に教育しましょう。




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