事実婚と内縁の違いと扶養と相続

事実婚と内縁の違いと扶養と相続

事実婚と内縁の違い

事実婚と内縁の違い:経理が押さえる全体像
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結論:法的にはほぼ同じ扱い

一般に「事実婚」と「内縁」はどちらも婚姻届がない夫婦関係を指し、法律上の差は小さい一方で、税・相続・社会保険で扱いが割れます。

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経理で問題になるのは「制度ごとの判定」

税は原則NGでも、健康保険や年金は「未届の配偶者」として認められる場面があり、社保と税を同じ感覚で処理すると事故が起きます。

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相続は自動で守られない

内縁(事実婚)配偶者には原則相続権がなく、遺言・受取人設計・生前対策がないと「生活の継続」に直撃します。

事実婚と内縁の違いとは:定義と法律婚

 

事実婚と内縁は、どちらも「婚姻届は出していないが、夫婦として共同生活をしている」関係を指し、用語としてはほぼ同じ意味で使われるのが実務の感覚です。
一方で法律婚は、民法上の婚姻届(形式)によって成立するため、戸籍上の配偶者という強い効果(相続、姻族関係など)が自動で発生します。
「違い」をどう説明するかは、実務では“法律効果がどこまで及ぶか”で整理すると、経理・労務・総務との認識が揃いやすくなります。
・よくある言い分け(ニュアンス)
✅ 事実婚:当事者が主体的に婚姻届を出さない選択をした関係、という説明がされることがある。

 

参考)内縁とは?内縁関係の相続、事実婚との違いなど|弁護士|舞鶴法…

✅ 内縁:歴史的には「婚姻届を出したくても出せない事情」が背景にあった呼び方、という説明がある。

➡ ただし現在は、両者の言葉を厳密に使い分けないのが一般的とされます。

 

参考)内縁と事実婚の違いは何でしょうか。内縁関係の解消をするために…

事実婚と内縁の違い:社会保険と扶養

経理・人事の現場で一番起きやすいのが、「税で配偶者控除がダメなら、社保の扶養もダメだろう」という誤解です。
健康保険では、法律上の配偶者に限らず「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も被扶養者に含まれると説明され、住民票の「妻(未届)」「夫(未届)」などで確認する運用例が示されています。
厚生年金でも、事実婚関係・生計同一関係の証明ができれば、扶養(第3号の扱い等)に関する実務が動くケースがあり、ここが“税と社保の非対称”の典型です。
・扶養認定で求められがちな資料(例)
📎 住民票(続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」等の記載があるもの)
参考)事実婚とは?内縁関係とはどう違うの?8つのメリットと11つの…

📎 生計同一を示す資料(送金記録、同居の実態、連名の郵便物など)​
📎 収入を示す資料(所得証明、給与明細、年金通知など)​
ここでのポイントは、「事実婚だから入れる」ではなく、「事実婚であること+生計維持等の要件」を書類で満たせるかどうかです。

会社の手当(家族手当・扶養手当)も、社内規程で“内縁(未届)を含むか”が分かれるため、規程と社保の要件を別々に確認しておくと揉めにくくなります。

事実婚と内縁の違い:相続と遺言

相続は、事実婚・内縁の最大の落とし穴で、法律婚の配偶者のように「当然に相続人になる」ことがありません。
そのため、内縁(事実婚)のパートナーに財産を残すには、遺言や贈与など“別ルート”で権利を作る必要がある、と整理されます。
さらに、相続税の実務では、内縁のパートナーは法定相続人に含まれず、基礎控除のカウントや税額計算の前提が法律婚と変わる点も強調されています。
・相続で現実に起きるトラブル例
⚠️ 住居:被相続人名義の自宅に住んでいても、名義・相続権がなければ立ち退きや売却の交渉が必要になる。

 

参考)https://vs-group.jp/sozokuzei/commonlawmarriage/

⚠️ 預金:口座凍結後、法定相続人の手続きが優先され、内縁配偶者は動かしにくい。

⚠️ 生活費:遺族年金や保険金で当座をつなぐ設計がないと資金繰りが詰まる。

 

参考)第1回 事実婚、お金の「夫婦」認定は社会保障と税制で差

相続対策は「遺言を書けば安心」で終わらず、受取人を指定できる生命保険や、居住の継続を含めた設計が必要になるため、経理従事者でも“制度の違いによる資金ショート”を想像しておくと実務に強くなります。

 

参考)内縁の妻に相続税の支払義務がある場合とは?

相続の話は私生活に踏み込みやすい分、社内では「一般論(制度差)」として説明できる資料を持ち、個別相談は専門家へ誘導する線引きが安全です。

 

参考)内縁関係(事実婚)について知っておきたいこと~法律婚との違い…

相続権がない前提と、生前対策の必要性の参考。
事実婚(内縁)の扶養・相続・必要書類の実務整理

事実婚と内縁の違い:税と控除

税務で最初に確認されるのは、所得税の配偶者控除や配偶者特別控除の「配偶者」が、民法上の婚姻(法律婚)を前提としている点で、事実婚のパートナーは原則として対象外と説明されています。
このため「年末調整で配偶者控除を入れてしまった」「住民税も連動で誤りが出た」といったミスが発生しやすく、経理としては“税=戸籍ベースが原則”を最初に共有するのが有効です。
一方で、子どもについては認知などで法律上の親子関係が成立すれば扶養控除の対象になり得る、と整理されており、家族構成の聞き取りではこの線引きが重要になります。
・年末調整・給与計算での注意点
💡 「社保で扶養OK」=「税で控除OK」ではない(判定法が違う)。

💡 住民票の記載(未届)で“夫婦っぽい”ことが分かっても、税の配偶者控除は別問題。

💡 扶養手当(社内制度)は、税とも社保とも別の会社ルールなので規程確認が必須。

ここは従業員側の納得感が得にくいポイントなので、「制度ごとに“配偶者”の定義が違う」という説明にすると、感情論になりにくいです。

また、事実婚が増えるほど「戸籍・住民票・保険・税」の定義差が社内の手続き事故に直結するため、経理としてはチェックリスト化(提出書類、適用できる制度、できない制度)まで落としておくと運用が安定します。

事実婚と内縁の違い:経理のチェック(独自視点)

検索上位の記事は法律論(定義・相続・慰謝料)や制度説明(扶養の可否)に寄りがちですが、経理実務では「社内の証憑が何になるか」「説明責任をどう果たすか」が現場の難所になります。
とくに危険なのは、従業員が「同棲」を事実婚と同義に思い込んでいるケースで、社保の扶養申請や家族手当の申請で“夫婦の実態”を示せず差し戻しになるパターンです。
この段階で「会社に否定された」と受け止められやすいので、否定ではなく“必要書類ベースで要件を満たすか”に話を寄せると、トラブルが小さくなります。
・経理が持つと強い「社内チェック観点」
✅ 税:年末調整で配偶者控除を入れていないか(配偶者欄の取り扱い)。

✅ 社保:住民票の続柄、収入要件、生計同一の資料が揃っているか。

✅ 手当:社内規程で「内縁(未届)」を対象にする条文・運用があるか。

✅ リスク:相続の相談が出たら、会社が“助言”しすぎない(一般情報の提示+専門家紹介)。

意外に効く小技は、「税・社保・社内手当で“配偶者の定義が違う”」ことを1枚の表にして、入社手続き・扶養手続きの案内に差し込むことです。

制度が複雑なほど、口頭説明はブレるので、書面化して同じ説明を繰り返せる状態にするのが、経理のリスク管理として現実的です。

 

 


改訂新版 事実婚と夫婦別姓の社会学