

自分でやれば数千円に抑えられるケースも。
費用が高くなる条件や注意点も解説。あなたは損していませんか?
合筆登記を検討している人のほとんどが「とりあえず業者に頼めばいい」と考えがちですが、実は自分で申請すると数万円の節約になることを知らずに損している人が多いです。
合筆登記とは、隣接する2筆以上の土地を法的に1つにまとめる手続きのことです。土地の単位は「筆(ひつ/ぴつ)」という独特の呼び方を使います。この呼び方の由来は、豊臣秀吉が行った太閤検地のときに土地情報を筆で1行に書き記したことにあるとされていて、今でも法律上の土地の数え方として使われています。
費用が発生する構造としては、大きく3つの要素があります。1つ目は土地家屋調査士への報酬(専門家へ依頼する場合)、2つ目は国に納める登録免許税、3つ目は公図・地積測量図取得などのその他諸費用です。
つまり費用全体像が分かれ方。
合筆登記を土地家屋調査士に依頼する場合の報酬相場は、全国平均で50,640円です。これは日本土地家屋調査士会連合会が令和4年度に調査した実績データに基づく数字で、信頼性の高い数値です。最低値は3,636円と非常に低い例もある一方、最高値は127,000円と幅広いのが現実です。
最も一般的な「2筆の土地を1筆にまとめるシンプルなケース」であれば、5万円前後が目安になることが多いです。ただし、以下のような条件が加わると費用は上乗せされます。
| 条件 | 追加費用の目安 |
|---|---|
| 3筆以上の合筆 | 1筆増えるごとに2〜3万円追加 |
| 権利証(登記識別情報)を紛失している | 本人確認情報作成費用が追加 |
| 現地調査が困難な立地 | 旅費・交通費が加算 |
| 過去に地目変更が絡むケース | 別途地目変更登記の費用が発生 |
土地が都市部か地方かによっても報酬水準は異なります。都市部の専門家の方が若干高い傾向がある一方で、遠隔地では出張費が嵩む場合があります。
費用が5万円前後が原則です。
参考になる権威ある情報として、日本土地家屋調査士会連合会が公開している報酬ガイドも確認するとよいでしょう。
日本土地家屋調査士会連合会 報酬ガイド(令和4年度):合筆登記の全国平均報酬額50,640円の算定根拠が掲載されています
土地家屋調査士への報酬以外にかかる費用についても、事前に把握しておきましょう。
意外と見落としがちな部分です。
登録免許税は、合筆後の筆数×1,000円です。2筆を1筆に合筆した場合は「1筆×1,000円=1,000円」だけ。
これは非常に安いですね。
複数の土地を一度にまとめても、登録免許税は合筆後の筆数分なので基本的に1,000円で済むことがほとんどです。
| 費用の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 合筆後1筆につき1,000円 |
| 登記事項証明書(登記簿謄本)取得 | 1通600円(書面窓口の場合) |
| 公図取得 | 500円前後 |
| 地積測量図取得 | 500円前後 |
| 印鑑証明書取得 | 400〜450円 |
これらを合計しても2,000〜3,000円程度に収まります。つまり自分で申請すれば、全体の費用は数千円が基本です。
合筆登記は、分筆と違って測量が不要です。
これが重要なポイントです。
測量が不要ということは、高度な専門技術がなくても手続きが可能で、自分で申請できる余地がある、ということを意味します。
自分で申請した場合の費用は、下記のようなイメージです。
合計すると、2,000〜5,000円程度で収まるケースがほとんどです。専門家に依頼した場合の全国平均50,640円と比較すると、約4〜5万円の節約になる計算です。
申請書の書き方や添付書類の確認については、法務局の窓口で無料相談が可能です。不備があった場合でも窓口の担当者が補正の案内をしてくれるので、極度に構える必要はありません。
窓口への相談が最善策です。
ただし、合筆できる土地かどうかの判断は素人には難しい面もあります。「確認してから申請する」という順番を守れば、自分申請も十分に現実的な選択肢になります。
参考として、自分で登記を行う方法についてまとめた情報サイトも確認しておくと心強いです。
自分で登記.com(合筆登記の費用について):費用の全国平均や自分で申請する際の節約ポイントが詳しく解説されています
合筆登記の費用が想定以上に膨らむケースは、主に「合筆できない条件が後から発覚するとき」です。事前に対処すればよいのですが、気づかずに専門家に依頼してしまうと、追加作業が発生してコストが上がります。
不動産登記法第41条では、以下の条件に該当する土地の合筆は禁止されています。
特に注意が必要なのは抵当権の問題です。住宅ローンを組んでいる場合、金融機関が不動産に抵当権を設定しています。
この抵当権が残ったままでは合筆できません。
ローン完済まで待つか、繰上返済して抵当権を抹消した後でなければ手続きが進まないのです。
抵当権の有無は必須確認です。
また、夫婦が隣り合う土地をそれぞれ単独所有している場合も注意が必要です。たとえ夫婦であっても所有者が異なれば合筆できないため、事前に一方へ所有権を移転する登記手続きが必要になります。
地目が違う場合も同様です。「宅地」と「田(農地)」が隣接しているケースなどは、農地転用の許可を取ったうえで地目変更登記を行ってから合筆する必要があり、費用が大幅に増える可能性があります。
費用が数十万円になることも。
合筆登記の流れは、大きく分けると次の6ステップです。
申請書に必要な添付書類は以下の通りです。
合筆後の地番は「合筆前の中で最も小さい地番」が採用されます。例えば「1番」「2番」「3番」の土地を合筆すれば、合筆後の地番は「1番」になります。消滅した地番の登記記録は「閉鎖登記簿」として法務局に保存されます。
閉鎖後の再利用は原則なしです。
なお、土地が共有名義の場合は全員の合意が必要になるケースがほとんどです。正確には「持分の価格の過半数の共有者」からの申請が必要とされています。たとえばAさんとBさんが1/2ずつ共有している土地ならば、AさんとBさん双方の申請が必要です。
合筆登記にかかる費用は5〜6万円前後(専門家依頼の場合)ですが、それに見合うメリットがあるかどうかを確認することが重要です。
これは使えそうです。
まず、管理コスト面での節約効果です。土地が複数筆に分かれているときは、名義変更・住所変更・売却などの手続きで筆数分の登記費用が発生します。たとえば所有権移転登記の場合、1筆につき書類取得や登録免許税が積み重なります。2筆を1筆に合筆しておくだけで、今後の手続きのたびに約半分のコストになる計算です。
固定資産税についても変化があるケースがあります。合筆によって土地が「住宅用地」の特例対象になれば、固定資産税評価額の5/6(200㎡以下の部分)または2/3(200㎡超の部分)が減額される特例が適用されることがあります。
固定資産税の軽減が条件次第で実現します。
ただし、合筆によって固定資産税が逆に上がるケースもあります。合筆前は住宅用地として評価されていた土地が、合筆によって規模が大きくなり「小規模住宅用地の特例(200㎡まで1/6評価)」の対象外になる場合などです。合筆前に管轄の税務課で確認するのが賢明です。
土地の価値向上という観点では、不整形地を合筆して形を整えることで、市場での売却価格が上がる可能性があります。たとえばL字型の土地を隣接地と合筆して長方形の整形地にすれば、建物の建築プランが広がり資産価値も上がるわけです。
資産価値向上が期待できます。
合筆登記には多くのメリットがある反面、後悔しやすいデメリットも存在します。特に金融に関心がある方にとって、不動産担保の使い方に影響するという点は重要な視点です。
最大のデメリットは「元に戻せない」という点です。
合筆は原則として不可逆です。
「やっぱり元の2筆に戻したい」という場合、分筆登記が必要になります。分筆登記は合筆登記と違い、測量・隣地との境界確定が必要になるため、費用が大幅に増えます。境界確定を含む分筆登記は30〜100万円規模になることもあります。
痛いですね。
また、金融機関から融資を受ける際の担保設定にも影響します。複数筆の土地があれば「一方は担保に入れ、もう一方は担保に入れない」という使い分けが可能でした。しかし合筆すると土地が1つになるため、一部を担保として切り出すことができなくなります。
融資戦略の自由度が下がるということです。
さらに、大きな土地になることで「農地転用の許可」や「開発許可」が必要なケースが出てくることも頭に入れておく必要があります。合筆によって土地面積が一定の規模を超えると、行政手続きが増える可能性がある点も覚えておきましょう。
加えて、「土地の一部だけを売りたい」という場面でも困ります。合筆後に一部だけ売却したい場合は分筆登記が必要で、改めて測量・境界確定・登記申請のコストが発生します。
合筆後の部分売却は高コストが原則です。
合筆登記の費用を抑えるための選択肢は大きく2つあります。「自分で申請する」か「費用の安い専門家を選ぶ」かです。どちらが正解かは、土地の条件と自分の時間・手間の許容度次第です。
自分で申請を選ぶ場合は、まず法務局の窓口で事前相談をすることをおすすめします。無料で対応してもらえるうえ、対象土地の条件を確認してもらえるため、申請書を作成してから「実は合筆できない土地だった」という事態を防げます。
専門家に依頼する場合は、複数の土地家屋調査士に見積もりを取ることが費用削減の基本です。全国平均50,640円を上限の目安として考え、地元の土地家屋調査士事務所に相見積もりを依頼しましょう。同じ作業内容でも、事務所によって1〜2万円程度の差が出ることがあります。
複数比較が基本です。
また、土地家屋調査士は「一般社団法人 日本土地家屋調査士会連合会」に登録された国家資格者です。各都道府県の土地家屋調査士会のウェブサイトから、地域の専門家を検索することができます。
日本土地家屋調査士会連合会(公式サイト):全国の土地家屋調査士の検索や、報酬相場の目安確認ができます
なお、「安ければいい」とだけ考えるのも危険です。合筆できるかどうかの判断を誤ると、後から手戻りが発生し、結果的にコストが増えることがあります。経験豊富な専門家に依頼することが、長期的には節約になるケースもあります。
経験値は重要な判断基準です。
合筆登記は単なる「土地の管理上の手続き」ではなく、固定資産税・相続税・不動産担保評価など、金融面に広く影響するイベントです。この視点で合筆を捉えると、より深い意思決定ができます。
固定資産税への影響は既に述べましたが、相続との関係でも合筆は有効活用できます。複数の相続人で土地を相続する際、土地の筆数と相続人数が合わない場合があります。そのような場合は一度合筆して大きな1筆にした後、各相続人の相続割合に応じて分筆するという手順を踏むことがあります。
合筆→分筆がセットになることも多いです。
ただし、この場合はスタートで合筆登記費用がかかり、その後に分筆登記費用(測量込みで30〜100万円程度)もかかるため、トータルコストは相当な金額になります。相続時は税理士や司法書士との連携が不可欠です。
不動産投資家や資産管理を真剣に考えている人にとっては、土地を何筆にするかは融資戦略とも密接に関わります。1筆にまとめれば管理が楽になる反面、担保として分割提供できなくなる。逆に複数筆に分けておけば担保の柔軟性が上がる。どちらが有利かは保有する不動産全体の戦略次第です。
合筆登記後の登記識別情報は1つになります。紛失・失効のリスクも集約されるため、適切な保管体制を整えておくことも重要です。金融機関への担保提供時には必須の書類となります。
登記識別情報の管理は最重要です。
不動産登記法第41条(e-Gov法令検索):合筆登記の制限条件を定めた条文を原文で確認できます
Q:合筆登記の費用は誰が負担するのですか?
土地の所有者が負担するのが原則です。共有名義の場合は共有者間で費用を分担するのが一般的ですが、法律上の定めはないため、当事者間の合意によります。
Q:合筆登記はオンラインでできますか?
はい。法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」を利用してオンライン申請が可能です。ただし初めて利用する方には操作が複雑に感じる部分もあるため、初回は窓口申請がおすすめです。
窓口申請が最初の一歩として安全です。
Q:合筆登記の完了まで何日かかりますか?
申請内容に問題がなければ、通常1〜2週間程度で登記が完了します。法務局の混雑状況や申請書の補正が必要になるかどうかによって変わります。
Q:権利証(登記識別情報)を紛失していても合筆登記できますか?
できますが、土地家屋調査士が「本人確認情報」を作成する必要があり、その分の費用が追加されます。
紛失の場合は専門家への依頼が必須です。
Q:農地を含む土地は合筆できますか?
地目が「農地(田・畑)」の場合、同じく農地同士であれば合筆は可能です。ただし農地を宅地と合筆したい場合は、先に農地転用許可を取得して地目変更登記を行う必要があります。
農地は先に地目変更が条件です。
Q:合筆した土地の住所表示はどうなりますか?
地番(登記上の番号)は合筆前の土地の中で最も小さい地番に統一されます。ただし「住所表示(住居表示)」とは別のものですので、日常生活で使う住所表示が変わるかどうかは市区町村の担当窓口に確認してください。
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で土地を取得した場合、取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければ最大10万円の過料が科せられる制度が始まっています。この義務化と合筆登記を組み合わせて考えると、費用の最適化の視点が生まれます。
相続登記をするタイミングで合筆できる条件が揃っているなら、同時に土地家屋調査士・司法書士と連携して手続きをまとめてしまうことで、個別に依頼するよりもコストを抑えられる場合があります。「相続登記のついで」に合筆・地目変更もセットで依頼するイメージです。
まとめて依頼がコスト最小化の鍵です。
ただし、相続登記は司法書士の業務、合筆登記は土地家屋調査士の業務と専門家が異なります。両者が連携して対応している事務所を選ぶか、それぞれの専門家に別々に依頼しつつスケジュールを合わせるかの判断が必要です。
もし親名義のままになっている土地を相続しつつ合筆も検討しているなら、まず相続登記を完了させてから合筆登記に進むという順番を守ることが絶対条件です。所有者名義が異なる状態では合筆できないからです。
相続後に合筆という順序が基本です。
相続登記の義務化については、法務省の公式情報で最新内容を確認しておくことを強くおすすめします。
法務省(相続登記の義務化について):2024年4月から始まった相続登記義務化の内容・罰則・猶予措置などが詳しく解説されています

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