

割引前の金額で精算しないと雑収入の計上を忘れます。
全国旅行支援の割引を受けた出張旅費は、割引後の金額ではなく割引前の総額が消費税の課税仕入れとなります。
参考)全国旅行支援スタート 旅行代金の割引やクーポン利用の課税関係…
これはホテルなどの役務提供者が対価を割引しているのではなく、国からの補助金という形で支援が行われているためです。
参考)【コラム】全国旅行支援利用の出張旅費精算-法人の会計と個人の…
例えば税込22,000円の宿泊費に8,000円の割引が適用され、実際の支払額が14,000円になった場合でも、課税仕入れの額は22,000円として計上します。割引前の金額が旅行商品の対価の額として扱われるということですね。
この処理は「Go Toトラベル」キャンペーンの課税関係と同じ考え方に基づいています。
従業員との間の経費精算では、割引額を含めて精算するか、含めずに精算するかで仕訳が異なります。
パターン①:割引額を含めて精算する場合
税込11,000円の旅行商品で4,400円の割引を受けた場合、会社が従業員に11,000円全額を支払う方法です。
この場合、割引額は実質的に会社の利益となります。
パターン②:割引額を含めずに精算する場合
従業員に6,600円のみを支払う方法です。
割引分の4,400円は雑収入として収益に計上し、消費税の課税区分は不課税取引として扱います。どちらのパターンを採用するかは会社の旅費規程によります。
参考)全国旅行支援利用の出張旅費の精算 | 税理士法人シグマパート…
地域で使えるクーポン券も、レシートを見ると都道府県のプロジェクト名で買い物総額から差し引かれ、残額が支払金額として請求される形式です。
クーポンを経費の支払いに使用した場合、その経費の全額を課税仕入れとして計上し、クーポン利用分は雑収入(不課税取引)として処理します。
参考)https://www.lan2.jp/acc/acl/advice/advice20230228a.html
例えば3,000円のクーポンを接待交際費の支払いに使った場合、接待交際費は支払総額で計上し、クーポン分3,000円は雑収入として別途計上する仕訳になります。
参考)Go To トラベルに係る会計処理
旅行支援を民間の人が仕事の出張に利用することは禁止されていないため、出張旅費の精算で見かける場面も増えています。
従業員が割引分を個人の利益として得た場合、その金額は一時所得として課税の対象となります。
参考)全国旅行支援の課税関係、事業所得と業務に係る雑所得の区分の改…
一時所得には50万円の特別控除額があるため、全国旅行支援のみで確定申告が必要になることはほぼありません。
つまり通常は課税されないということです。
ただし、他にも一時所得がある場合には注意が必要です。生命保険の一時金、競馬や競輪の払戻金、懸賞金などと合算して50万円を超えると確定申告が必要になります。
参考)全国旅行支援クーポンを仕入・経費に使った場合の税務上の扱い|…
例えば生命保険で25万円、競馬で24万円、クーポンで1万円という組み合わせでも、合計50万円を超えるため申告義務が発生します。一時所得は複数の収入源を合算して判定されるのが原則です。
参考)マイナポイントや全国旅行支援の課税関係│サラリーマン税理士L…
収益計上時期は、割引相当額については旅行代金割引相当額の充当後の額の支払完了時(旅行終了時)、クーポン券については使用時のタイミングとなります。
割引前の金額で消費税の課税仕入れを計上することは理解していても、割引額を含めずに従業員に精算した際の雑収入計上を忘れるケースがあります。
会計システムへの入力時、実際の支払額だけを見て処理すると、差額の雑収入(不課税取引)を計上し忘れる可能性があるということですね。
また、従業員に対して割引分を給与として課税すべきかという論点もあります。会社の旅費規程で「旅行支援の割引分は個人の利益とする」と明記している場合、理論上は給与課税の対象となる可能性がありますが、実務上は一時所得として扱うケースが一般的です。
経費精算の際は、請求明細やレシートに記載されている割引前の総額を確認し、その金額を基準に仕訳を行うことが重要です。ホテルの請求明細では総額から各都道府県のプロジェクト名で支払額が差し引かれ、残額が請求される形式になっています。
全国旅行支援を利用した場合の課税関係の詳細(税理士法人TMB)
税理士法人による全国旅行支援の課税関係についての専門的な解説資料です。
全国旅行支援の旅行代金割引やクーポン利用の課税関係(税理士法人IBS)
個人と法人それぞれの課税関係について、具体的な仕訳例とともに解説されています。
全国旅行支援では、旅行代金の40%割引(割引上限は交通付旅行商品が8,000円、その他が5,000円)に加えて、クーポン券が1人1泊あたり平日3,000円・休日1,000円分進呈される仕組みでした。
割引とクーポンを併用した場合、それぞれ別のタイミングで収益認識が必要です。割引額は宿泊サービスの提供時(支払完了時)に認識し、クーポンは実際に使用した時点で一時所得として認識します。
法人の経理処理では、割引前の金額を旅費として計上し、総額を消費税の課税仕入れとして扱います。割引後の金額で精算する場合には割引分の差異が発生しますが、差額は雑収入等として収益に計上し、消費税の課税区分は不課税取引として処理するのが基本です。
クーポンを土産物店などで使用した場合も同様の処理が必要です。レシートには買い物総額からプロジェクト名で差し引かれた金額が表示されますが、会計上は総額を経費として計上します。
複数の従業員が同時に出張し、それぞれが全国旅行支援を利用した場合、各人の割引額とクーポン使用額を正確に把握し、個別に仕訳を起こす必要があります。経費精算システムに割引額とクーポン額を入力する欄を設けておくと、処理漏れを防げますね。
税務調査では、全国旅行支援の割引やクーポンに関する処理が正しく行われているかチェックされる可能性があります。
特に消費税の課税仕入れの額が割引前の金額で計上されているか、割引額が適切に雑収入(不課税取引)として処理されているかが確認ポイントです。
証憑書類としては、ホテルの請求明細やレシートに割引前の金額と割引額が明記されているものを保管しておく必要があります。割引前の総額が分からない場合、課税仕入れの額を正確に計算できません。
また、従業員との精算方法が会社の旅費規程に沿っているかも重要です。規程で「割引分は会社に帰属する」と定めているにもかかわらず、従業員に全額を支払っている場合、給与課税の問題が生じる可能性があります。
クーポンについては、使用したレシートを経費精算時に添付し、どの経費にクーポンを充当したかを明確にしておくことが推奨されます。
クーポンの使用金額は確認できますね。
税務調査で指摘を受けないためには、全国旅行支援を利用した出張の記録を整理し、割引前の金額・割引額・クーポン使用額を明確に区分して帳簿に記載することが基本です。