建設業退職金共済の計算で損しない完全ガイド

建設業退職金共済の計算で損しない完全ガイド

建設業退職金共済の計算で知らないと損する仕組みを徹底解説

申告書を出さないだけで、あなたの退職金から20.42%が問答無用で引かれます。


📌 この記事でわかる3つのポイント
💴
退職金の計算は「掛金日数÷21日=月数」が基本

1日320円の掛金を21日積み上げると1ヶ月分に換算。勤続年数ではなく「証紙の枚数(日数)」が退職金額を決める仕組みです。

⚠️
24ヶ月未満だと退職金が最大7割カットされる

掛金納付が12〜24ヶ月未満の場合、受け取れる退職金は納付額の3〜5割程度。24ヶ月以上になると一気に満額に近づくため、継続年数が命綱です。

📋
申告書の提出忘れで税金が一律20.42%徴収される

「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れると、退職金全額に一律20.42%の税率が適用。本来ほぼ非課税になるはずの退職金から多額の税金が引かれてしまいます。


建設業退職金共済(建退共)の計算の基本|掛金日数と退職金額の関係


建設業退職金共済(以下、建退共)とは、国が運営する建設業界の労働者専用の退職金制度です。通常の退職金は「勤続年数×○万円」といった会社ごとの計算式で決まりますが、建退共はまったく別の仕組みで退職金が決まります。それが「掛金納付日数」という概念です。


では具体的にどう計算するのかを見ていきましょう。


掛金日額は現在1日あたり320円(2021年10月改定)で、事業主が全額を負担します。労働者が1日現場で働くたびに、この320円分が積み立てられていくイメージです。そして、この積立日数を21日で割って月数に換算するのが基本ルールです。


$$\text{掛金納付月数} = \frac{\text{掛金納付日数}}{21}$$


たとえば252日間(約12ヶ月分)の掛金が納付されていれば、退職金早見表の「12ヶ月」欄が適用されます。これが「共済証紙1枚=1日分」という証紙方式の正体です。証紙の枚数が命綱なのですね。


退職金早見表(掛金日額320円から始めた場合)は以下のとおりです。


| 年数(月数) | 退職金額の目安 |
|---|---|
| 1年(12ヶ月) | 約24,192円 |
| 2年(24ヶ月) | 約161,280円 |
| 5年(60ヶ月) | 約414,087円 |
| 10年(120ヶ月) | 約893,559円 |
| 20年(240ヶ月) | 約1,933,479円 |
| 30年(360ヶ月) | 約3,038,919円 |
| 40年(480ヶ月) | 約4,268,007円 |


(出典:建設業退職金共済事業本部 制度について)


注目したいのは「2年(24ヶ月)」の欄です。1年11ヶ月時点では約78,624円なのに、わずか1ヶ月増えた2年(24ヶ月)時点では約161,280円と、金額がほぼ倍増します。これには理由があります。24ヶ月未満の期間は「特例期間」として扱われ、満額計算が適用されないからです。つまり、退職のタイミングを1ヶ月間違えるだけで、80,000円以上の差が生まれることになります。


なお、建退共の退職金は「企業単位」ではなく「業界単位」で通算される点も重要です。A社を辞めてB社に移っても、建退共に加入し続けている限りはそれまでの日数がすべて合算されます。建設業という流動性の高い業界に合わせた、業界全体で支える仕組みというわけです。


参考リンク(退職金早見表・計算ルールの公式情報)。
建設業退職金共済事業本部|退職金について(公式)


建設業退職金共済の計算で見落としがちな「24ヶ月の壁」とは

前のセクションで少し触れましたが、建退共には多くの人が見落としがちな「24ヶ月の壁」が存在します。これは知らないと本当に痛い話です。


掛金納付月数が12ヶ月以上24ヶ月未満の期間は、退職金の額が掛金納付総額の3〜5割程度しか受け取れません。たとえば掛金日額320円で23ヶ月(483日)分を積み立てると、本来の積立総額は以下になります。


$$483 \text{日} \times 320 \text{円} = 154,560 \text{円(積立総額)}$$


しかし退職金として実際に支払われるのは、その3〜5割程度、つまり約46,000円〜77,000円です。積み立てた金額がほぼ半分以下になってしまう計算です。


一方で24ヶ月(504日)を超えると満額の計算に切り替わり、前述の早見表どおりの金額が受け取れます。2年を境に計算ルールが劇的に変わる——これが「24ヶ月の壁」の正体です。


ちなみに12ヶ月未満(252日未満)の場合は退職金がゼロです。建設業界は短期雇用が多く、「11ヶ月で辞めてしまったが、事業主が払い続けた掛金はどうなるの?」という疑問が生じることもあります。残念ながら、12ヶ月未満では退職金は支給されません。


つまり、退職を検討する際には「現在何ヶ月分が積み上がっているか」を事前に確認することが、損をしないための重要な一手になります。


建退共では退職金の試算が公式サイトで無料でできます。現在の納付月数を把握したうえで試算シミュレーションを活用することで、退職のベストタイミングが見えてくるはずです。


参考リンク(退職金試算ツール)。
建退共公式|退職金試算シミュレーター


建設業退職金共済の計算に影響する証紙の貼り忘れ|2年遡及ルールの活用法

建退共の退職金計算の土台となるのは証紙の枚数(またはその電子申請版である退職金ポイントの付与日数)ですが、実務の現場では証紙の貼り忘れが起きることがあります。これは事業主にとっても労働者にとっても損失になる問題です。


ただし、貼り忘れに気づいた場合でも、一定の条件のもとで最大730日(365日×2年分)まで遡って貼付することが可能です。これが建退共の「2年遡及ルール」です。


たとえば1年間(約250日分)の証紙を貼り忘れていたことに気づいた場合、2年以内であれば後からまとめて台紙に貼り付け、消印を押すことで証紙枚数を正規の数に戻せます。


ただし、このルールには条件があります。


- 遡ることができるのは共済手帳の交付年月日まで(最大730日)
- 後から貼る場合は台紙を使用し、消印も必須
- 共済手帳の有効期間が2年を過ぎると更新が必要


また、労働者が被共済者として加入する手続き自体を忘れていた場合も、2年以内に限り遡って手続きが可能です。これは事業主が早期に気づいて対応できるかが鍵となります。


電子申請方式(CCUSと連携したオンライン就労報告システム)を利用している場合も、貼り忘れに相当する「充当漏れ」に対しては同様の遡及対応ができます。電子化でも油断は禁物ということですね。


もし現在、貼り忘れが発覚した場合は都道府県の建退共支部に速やかに連絡し、対応手順を確認しましょう。2年の期限を過ぎてしまうと、取り返しのつかない損失になります。


参考リンク(証紙貼付・遡及に関する公式Q&A)。
建退共公式|よくあるご質問(証紙貼付について)


建設業退職金共済の計算後に損をしない税金対策|申告書の提出が最重要

建退共の退職金計算をしっかり行い、満額に近い退職金を受け取ることができたとしても、ある一つの手続きを怠るだけで大きな損が発生します。それが「退職所得の受給に関する申告書」の提出です。


この申告書を建退共の退職金請求書に添付して提出しなかった場合、退職金の全額に対して一律20.42%(復興特別所得税含む)が源泉徴収されます。たとえば10年勤続で退職金が893,559円だった場合、申告書なしだと以下の計算になります。


$$893,559 \text{円} \times 20.42\% \approx 182,465 \text{円(源泉徴収額)}$$


つまり受け取れるのは約711,094円になってしまいます。痛いですね。


申告書を提出していれば、退職所得控除が適用されます。退職所得控除の計算式は以下のとおりです。


勤続年数20年以下の場合:
$$\text{退職所得控除額} = 40万円 \times \text{勤続年数}$$


勤続年数20年超の場合:
$$\text{退職所得控除額} = 800万円 + 70万円 \times (\text{勤続年数} - 20年)$$


たとえば勤続10年なら控除額は400万円です。建退共の退職金は約89万円ですから、退職所得控除400万円の範囲に完全に収まり、実質的に税金ゼロになります。


申告書を出し忘れた場合でも、後から確定申告を行えば払い過ぎた税金の還付を受けることは可能です。ただし申告期限には注意が必要です。還付申告は原則として退職した翌年1月1日から5年間行えます。気づいたら早めに税務署へ相談しましょう。


参考リンク(退職所得の税金計算に関する国税庁の公式ページ)。
国税庁|No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)


建設業退職金共済の計算をさらに有利にする「初回50日分助成」と複数制度の組み合わせ戦略

建退共をより賢く活用するためには、見逃しやすい二つの制度を知っておくことが重要です。一つは「初回掛金助成」、もう一つは「他の退職金制度との併用戦略」です。


まず初回掛金助成について。建退共に新たに加入した労働者に対して、初回交付の共済手帳(掛金助成手帳)の50日分の掛金が国から補助されます。金額にすると320円×50日=16,000円分が無料になるということです。


この16,000円分は事業主が証紙を購入しなくてもよい助成分ですが、手帳の「掛金助成欄」に消印を押すことで有効となります。うっかり通常の証紙欄に消印してしまうと助成の恩恵が受けられなくなるため、手帳の構造をしっかり確認するのが大切です。


次に、複数制度との組み合わせについてです。建退共は建設業専用の制度であり、対象となる労働者の種類によっては中小企業退職金共済(中退共)と両立させるケースがあります。ただし、建退共と中退共のどちらにも同じ労働者が加入することは原則できない点に注意が必要です。これが条件です。


事務系スタッフや営業職などは建退共の加入対象外のため、現場労働者は建退共、事務員には中退共という使い分けが現実的な選択肢になります。事業主としては2つの制度を組み合わせることで、全従業員をカバーできる退職金制度を構築することが可能です。


さらに近年は、建設キャリアアップシステム(CCUS)と連携した電子申請方式が普及しています。電子申請方式では「退職金ポイント」として就労日数を管理でき、手帳に証紙を1枚ずつ貼る手間が不要になります。貼り忘れのリスクも大幅に軽減できるため、これは使えそうです。CCUSに登録している事業者は電子申請方式への切り替えを検討する価値があります。


参考リンク(掛金助成手帳の仕組みに関する公式ページ)。
建退共公式|手帳について(掛金助成の詳細)




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