

マイナンバーカードを持っていても、住民票の除票だけはコンビニで取れません。
住民票の除票とは、転出や死亡などによって住民登録が抹消された住民票のことです。
現在も住民登録がある人の証明書を「住民票の写し」といいますが、住民登録が消除された後のものを「除票」といいます。見た目は住民票とほぼ同じで、書面の右上に「除票」という文字が印字されています。記載内容は氏名・生年月日・住所・死亡年月日などで、マイナンバー(個人番号)は記載されません。
除票が作られるのは、主に2つのパターンです。ひとつは「転出による除票」で、他の市区町村へ引っ越した場合に元の自治体の住民票が除票になります。もうひとつは「死亡による除票」で、死亡届が受理されると自動的に住民票が除票になります。相続手続きで必要になるのは、ほとんどの場合この「死亡による除票」です。
金融に関係する場面でいえば、亡くなった方の銀行口座の名義変更や解約手続き、相続した不動産の登記変更の際にこの除票が求められます。これは知っておいたほうがいいですね。
住民票の除票は、「過去にその住所に住んでいたこと」と「亡くなった事実・日付」を公的に証明できる唯一の書類です。戸籍謄本には住所が記載されていないため、除票と戸籍謄本の両方を揃えることで、はじめて相続人と不動産所有者の同一性が証明できます。つまり除票は必須です。
なお、除票と似た書類に「戸籍の附票」があります。附票は本籍地を管轄する役所で取得でき、住所の移動履歴が記録されています。相続登記では、除票の代わりに戸籍の附票を使用できる場合もあります。どちらを用意すべきかは手続き先に確認しましょう。
参考:住民票の除票の取り扱いについて(大阪市)
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000521600.html
除票はコンビニでは取れません。これが基本です。
普通の住民票であれば、マイナンバーカードを使ってセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートなど全国約55,000超の拠点で取得できます。しかし住民票の除票はすべての自治体でコンビニ交付サービスの対象外となっています。福岡市の公式サイトには「住民票の除票の写し及び住民票コード入りの住民票の写しは、窓口交付のみとなり、コンビニ交付はできません」と明記されており、川口市や杉並区など他の自治体でも同様の案内がされています。
コンビニで除票が取れない理由は、除票が「現在の住民登録ではない情報」だからです。コンビニ交付サービスは、現在有効な住民登録データをリアルタイムで参照して発行する仕組みです。除票は住民基本台帳から消除されたデータのため、このシステムでは対応できません。
では、どうやって取得するのかというと、方法は2つです。
| 取得方法 | 場所・手続き | 手数料の目安 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 窓口申請 | 故人の最後の住所地を管轄する市区町村役場 | 300円/通(自治体による) | 即日〜数日 |
| 郵送申請 | 同上へ郵送(定額小為替同封) | 300〜400円/通(自治体による) | 1〜2週間程度 |
窓口では「住民票の写し等交付申請書」を記入し、本人確認書類と手数料を持参します。相続人が請求する場合は、亡くなった方との関係がわかる戸籍謄本を持参すれば委任状は不要です。郵送の場合は、申請書・本人確認書類のコピー・手数料分の定額小為替・返信用封筒を同封します。
死亡届受理から除票の写しが発行可能になるまでは、概ね1週間程度かかります。急ぎの場合は事前に役所に確認しておくのが賢明です。
参考:住民票の写し・除票の郵送請求(渋谷区)
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/jumin/utsushi/jyohyo.html
相続が発生すると、複数の手続きで除票の提出を求められます。
まず最も多いのが「相続登記(不動産の名義変更)」です。2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に手続きをしないと最大10万円の過料の対象になります。相続登記では、亡くなった方と不動産の登記上の所有者が同一人物であることを証明するために除票が必要です。不動産の登記事項証明書には住所と氏名が記載されていますが、戸籍には住所がないため、住所が明記された除票で補完する形になります。
次に「金融機関の預貯金解約・名義変更」でも除票が求められます。銀行や証券会社は、口座名義人が亡くなったことを証明する書類として除票の提出を要求するケースが多いです。金融機関によって必要書類の内容は異なりますが、除票は基本セットに含まれることが多い書類です。
また「未支給年金の請求手続き」でも、亡くなった方の除票と請求者の世帯全員の住民票の両方が必要になります。なお、年金手続き用の住民票や除票を無料で発行してくれる自治体もあるため、窓口で確認するとお得なケースがあります。
最後に「相続放棄」の手続きでも、被相続人の最後の住所を確認するために除票が使われます。相続放棄の期限は相続を知った日から3ヶ月以内です。故人の最後の住所地が遠方の場合、郵送で取り寄せると時間がかかるため早めの準備が必要です。
これが条件です。除票は「いつか使うかもしれない書類」ではなく、「必ず使う書類」として早い段階で取得しておくことをおすすめします。
参考:相続登記義務化に関するQ&A(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
保存期間の延長は、実は大きな制度改正です。
以前は、住民票の除票の保存期間はわずか5年でした。このため、故人が亡くなってから5年以上経過した後に相続手続きを始めると、除票がすでに廃棄されていて取得できないという問題が多発していました。遺産の整理を後回しにしていた家庭が、不動産の名義変更をしようとしたときに壁にぶつかるケースが頻繁にあったのです。
この問題を解決するために、住民基本台帳法が改正されました。2019年6月20日の施行により、保存期間が5年から150年に延長されています。これにより、2013年(平成25年)4月1日以降に除票になったものであれば写しの交付が可能になっています。150年という数字はほぼ永続的な保存と言っていいでしょう。
ただし、平成24年7月7日以前に除票になったものは当時の5年ルールで廃棄されているため、取得できない場合があります。この場合には、自治体から「廃棄証明書」を取得し、戸籍の附票や不動産権利証(登記識別情報)などで代替する方法があります。具体的な対応は司法書士や行政書士に相談するのが確実です。
金融資産の観点からも、この制度変更は重要な意味を持ちます。相続の先送りは財産整理を困難にするだけでなく、相続登記義務化によって過料リスクも生じます。除票が確実に取得できる今のうちに、家族全体の相続準備を進めておくことが将来のコスト削減につながります。
参考:住民票の除票および戸籍の附票の保存期間延長について(南丹市)
https://www.city.nantan.kyoto.jp/www/life/106/005/000/index_88684.html
郵送取得は手間がかかります。ここを丁寧に押さえましょう。
住民票の除票を郵送で請求する際には、いくつか準備するものがあります。まず「住民票の写し等交付申請書」が必要ですが、これは各自治体の公式ウェブサイトからダウンロードできます。自治体ごとに書式が若干異なるため、必ず請求先となる自治体のホームページを確認してください。
手数料の支払いは「定額小為替」が基本です。これは郵便局で購入できる金券で、1枚200円を超える手数料がかかります(例:手数料300円の場合は300円分の定額小為替が必要)。コンビニや銀行では購入できないため、郵便局に立ち寄る必要があります。加えて、返信用封筒(切手貼付済み)も同封しなければなりません。これを忘れると証明書が返送されてきません。
本人確認書類のコピーも必要です。マイナンバーカードや運転免許証などの写しを同封してください。また、相続人として請求する場合は、亡くなった方との続柄がわかる戸籍謄本のコピーを添付します。痛いですね、手間がかかります。
郵送請求では到着から書類が返送されるまで1〜2週間かかることが一般的です。特に相続放棄の3ヶ月期限や相続登記の3年期限がある場合には、郵送の時間的ロスを考慮した上で早めに動く必要があります。
💡 郵送請求と並行して「相続情報一覧図」の作成を法務局に相談しておくと、複数の金融機関での手続きが1枚の書類で効率化できます。法定相続情報証明制度は無料で利用でき、何度でも交付を受けられる便利な仕組みです。
参考:法定相続情報証明制度の手続き(法務局)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
改めて整理すると、除票の取得先は「故人の最後の住所地を管轄する市区町村役場」です。
たとえば、亡くなった方が東京都世田谷区に住民登録していた場合は世田谷区役所で取得します。現在自分が住んでいる自治体では取得できないため注意が必要です。これが原則です。ただし、仙台市のように「過去に市内に住民登録のあった方はどこの窓口でも取得できる」と案内している自治体もあるため、事前に確認すると無駄足を防げます。
窓口に持参するものをリストアップすると次のようになります。
請求する際には「本籍地と続柄を記載したもの」を求めるのがポイントです。相続手続きで使用する場合は、この2項目の記載が必要になることが多いため、申請書の記載欄でしっかり選択してください。
コンビニでは取れない書類ですが、役所の開庁時間に間に合わない方は郵送申請を活用できます。また一部の自治体では、LINE申請(本人の住民票の写しのみ)に対応していますが、除票はその対象外です。なお、死亡後に除票の写しが発行できるようになるまでに約1週間かかる自治体が多いため、死亡届提出直後に役所へ行っても交付されない場合があります。
相続手続きは書類集めから始まります。除票の取得はその最初のステップのひとつです。「コンビニで手軽に取れると思っていた」という思い込みで段取りを誤ると、手続き全体が1〜2週間遅れることになります。特に相続登記の3年期限や相続放棄の3ヶ月期限を意識している場合は、除票取得を最優先の行動として動き始めてください。
参考:コンビニ交付サービス(住民票・印鑑証明・戸籍)(福岡市)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/kusei/life/convinikoufu.html