

団体加入の保険は電子交付できません。
参考)e-私書箱にはデメリットもある?機能や利用場面など詳しく解説…
e私書箱を導入するには、マイナンバーカード取得、マイナポータル利用登録、e私書箱アカウント作成、各保険会社や証券会社との連携という4つのステップが必要です。
マイナンバーカードを持っていない従業員の場合、カード取得だけで約1カ月かかります。その後の手続きも含めると、利用開始まで2カ月程度かかる場合があります。
年末調整は12月までの提出が一般的ですから、10月に導入を決めても間に合わない可能性があるんです。
つまり導入は夏頃から準備する必要があります。
確定申告の提出期限は毎年2月15日から3月15日です。期限間際に慌てて導入しようとしても、手続きが間に合わないリスクがあります。
早めの計画が必須ですね。
従業員が100名いる企業なら、マイナンバーカードを持っていない人が3割いると仮定して、30名×2カ月の準備期間が必要になる計算です。導入スケジュールを組む際は、この期間を見込んでおくと安心できます。
e私書箱はさまざまな保険会社や証券会社と連携していますが、すべての機関が対応しているわけではありません。
連携できていない機関の場合、e私書箱で保険料控除証明書や源泉徴収票の電子データを取得できないため、従来通り紙ベースの証明書を準備する必要があります。
特に注意すべきは、団体加入の保険です。個人加入の保険は電子交付に対応していても、団体加入のものは申し込みをしても「契約が確認できませんでした」というメールが届き、結局紙で対応するしかないケースがあります。
参考)年末調整の電子化で気を付けるべき点とは?概要からデメリットま…
電子データと紙の証明書が混在すると、人事担当者の手間が増えてしまうんです。「この従業員はe私書箱、あの従業員は紙」という管理が必要になり、かえって煩雑になる可能性があります。
iDeCoなどの小規模企業共済等掛金控除と社会保険料控除は、年末調整システムによっては電子交付に対応していないケースもあります。
導入前に、自社の従業員が加入している保険会社や証券会社がe私書箱と連携しているか、e私書箱の公式ページで確認しておくと安心です。連携状況の確認を怠ると、導入後に「思ったより効率化できなかった」という結果になります。
e私書箱はインターネット環境があれば、パソコンやスマートフォンから操作できます。デジタル機器の操作に慣れている従業員なら問題なく使えるでしょう。
しかし、デジタル機器に不慣れな従業員にとっては、e私書箱の操作は難易度が高いといえます。最初にマイナポータルとの連携が必要ですし、保険会社や証券会社との連携手続き、初期設定も煩雑です。
特にオンラインでの行政手続きが初めての従業員にとっては、どこから手をつけていいかわからない状態になりがちです。
税務担当者は、従業員向けのマニュアル作成や説明会の開催、個別サポートの対応といった追加業務を担う必要が出てきます。
これは導入時の隠れたコストです。
例えば従業員50名の企業で、そのうち20名が不慣れな場合、1人あたり30分のサポートが必要なら、10時間の対応時間が発生する計算になります。これは通常業務に加えての負担ですから、導入時期の選定は慎重に行う必要があります。
マニュアルはスクリーンショット付きで作成すると、従業員が自力で進めやすくなります。マイナポータルへのログイン方法、e私書箱のアカウント作成手順、各保険会社との連携方法を、画像付きで段階的に説明するのが効果的です。
e私書箱を導入しても、すべての従業員が電子化できるわけではありません。マイナンバーカードを持っていない従業員、対応機関と契約していない従業員は、従来通り紙で提出します。
これは税務担当者にとって、紙と電子の二重管理という新たな負担を生み出します。従業員Aはe私書箱で電子データを受け取り、従業員Bは紙で提出するという状況です。
受付方法が2つになるため、チェックリストも2種類必要になります。どの従業員がどちらの方法で提出するかを把握し、提出漏れがないか確認する作業が増えるんです。
年末調整システムが電子データと紙データの両方に対応していればいいですが、システムによっては片方にしか対応していないケースもあります。その場合、一方のデータを手入力で転記する必要が出てきます。
この二重管理状態は、完全電子化が実現するまで続きます。全従業員がマイナンバーカードを取得し、かつ対応機関との契約に切り替えない限り、解消されません。
導入初年度は特に混乱しやすいので、提出方法ごとに担当者を分けて管理する、提出期限を方法ごとに分ける、といった工夫が有効です。例えば「e私書箱組は12月10日まで、紙組は12月5日まで」と設定すれば、処理の集中を避けられます。
e私書箱で証明書の電子データを取得する際、発行指示後すぐにデータが届くわけではありません。実際にe私書箱へ届くまで1時間から数日程度かかる場合があります。
参考)年末調整でe私書箱が意外と便利だった話
必要になった時に即入手するのは難しいため、証明書の発行可能時期になったら、すぐに発行指示を出しておくと安全です。
保険会社によっては、10月中旬から控除証明書の電子交付が始まります。年末調整の提出期限が12月中旬だとしても、11月後半に発行指示を出すと間に合わないリスクがあるんです。
特に初めてe私書箱を利用する年は、連携手続きの確認に時間がかかることがあります。各保険会社での契約者確認に1日から数日かかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。
税務担当者は、従業員に対して「証明書発行可能になったらすぐに取得する」という指示を、10月初旬の段階で出しておくことをおすすめします。
社内スケジュールとして「10月20日までに各保険会社との連携完了」「11月10日までに証明書取得」「11月30日までに年末調整システムへアップロード」といった段階的な期限を設定すると、従業員も動きやすくなります。このマイルストーン方式なら、遅れている従業員を早期に把握できます。
「私書箱」という名称から、あらゆる書類を受け取れると誤解されがちですが、e私書箱はあくまで電子的なお知らせを届けるサービスです。
紙の郵便物は対象外となっています。
e私書箱で取得できるのは、保険料控除証明書、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書、特定口座年間取引報告書、公的年金等の源泉徴収票などに限定されます。
それ以外の税務関連書類、例えば自治体からの通知書、税務署からの郵送物、法定調書などは、従来通り紙で届きます。
これらはe私書箱では確認できません。
税務担当者は「e私書箱で全部管理できる」という誤った期待を持たないことが重要です。
実際は限定的なサービスですから。
紙の税務書類も含めて一元管理したい場合は、クラウド郵便サービスの利用を検討する選択肢があります。郵便物をスキャンしてPDF化し、オンラインで確認できるサービスなら、e私書箱で取得できない書類もデジタル管理できます。
従業員への説明では「e私書箱は年末調整・確定申告の特定証明書に特化したサービス」と明確に伝えることで、混乱を防げます。「すべての税務書類がデジタル化される」という誤解を持たせないよう、事前に範囲を明示しておきましょう。
e私書箱の導入を決める前に、以下の項目を確認しておくと、導入後のトラブルを避けられます。
まず、自社の従業員がマイナンバーカードを保有している割合を調査します。保有率が低い場合、導入スケジュールを後ろ倒しにする必要があります。
次に、従業員が加入している保険会社、証券会社、年金機関がe私書箱と連携しているか、公式サイトで確認します。連携機関リストと照らし合わせて、カバー率を算出しましょう。
現在使用している年末調整システムが電子データに対応しているかも確認が必要です。対応していない場合、システムの変更も検討する必要があります。
従業員のデジタルリテラシーレベルを把握することも重要です。社内アンケートで「マイナポータルを使ったことがある」「オンライン行政手続きの経験がある」といった項目を聞いておくと、サポート体制の規模を見積もれます。
導入コストの試算も忘れずに。マニュアル作成の工数、説明会開催の時間、個別サポートの時間を見積もり、担当者の工数が確保できるか確認します。
これらの確認項目をクリアした上で、導入時期を決定すると失敗のリスクを減らせます。特に初年度は試験的に一部部署だけで導入し、問題点を洗い出してから全社展開する段階的アプローチも有効です。
税務担当者としては、e私書箱のメリットだけでなく、これらのデメリットや注意点を正確に理解した上で、自社に適したタイミングと方法で導入を進めることが成功の鍵となります。
国税庁|マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧
※連携可能な保険会社や証券会社の最新リストが確認できます。
導入前の対応機関確認に役立ちます。
e-私書箱公式|e-私書箱の始め方
※マイナンバーカードでのログイン方法から、アカウント作成までの手順が詳しく解説されています。
従業員向けマニュアル作成の参考になります。