

「閑静な住宅街」と思って買った物件のすぐ隣に、合法的に工場が建つことがあります。
用途地域とは、都市計画法に基づいて市街化区域を「何のための土地か」に応じて色分けする制度です。国土交通省が制度設計を行い、実際の指定は各市区町村が主体となって実施しています。「国土交通省が指定する」と思っている人が多いのですが、実は市区町村が決めているという点が要注意です。
制度の目的はシンプルで、住宅の隣に巨大工場が建ったり、静かな住宅街の真ん中にパチンコ店が乱立したりするのを防ぎ、計画的で快適な都市環境をつくることにあります。
日本の国土全体に占める都市計画区域は約27.1%ですが、そこに日本の全人口の約94.1%が住んでいます(国土交通省「都市計画制度の概要」より)。つまり、日本に住む人のほぼすべてが、この用途地域のルールの中で暮らしていることになります。
用途地域は大きく以下の3系統、計13種類に分かれます。
| 系統 | 種類数 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 🏠 住居系 | 8種類 | 住環境の保護が最優先。第一種低層から準住居まで段階的に規制が緩和される |
| 🏬 商業系 | 2種類 | 近隣商業・商業の2区分。住宅も建てられるが商業・業務利便性が優先 |
| 🏭 工業系 | 3種類 | 準工業・工業・工業専用の3区分。工業専用地域のみ住宅が一切建てられない |
なお、13種類になったのは比較的最近のことで、2019年4月に「田園住居地域」が追加されて現在の形になりました。それ以前は12種類でした。用途地域は社会情勢や都市のニーズに合わせて見直されるもので、今後も変更される可能性があります。これが基本です。
国土交通省「都市計画制度の概要」|都市計画区域・居住人口のデータ確認に
13種類それぞれの用途地域には、建てられる建物の種類だけでなく、「建ぺい率」と「容積率」という2つの数値制限が設けられています。これが不動産投資の収益力を左右します。
建ぺい率とは、敷地面積に対する「建築面積(建物の1階部分の投影面積)」の割合のことです。建ぺい率50%の土地なら、100㎡の土地に建物を50㎡分しか建てられません。容積率とは、敷地面積に対する「延べ床面積」の割合です。容積率200%の土地なら、100㎡の土地に合計200㎡分の延べ床面積をもつ建物が建てられます。
以下に13種類の主要データを一覧で整理します。
| 用途地域 | 系統 | 建ぺい率 | 容積率 | 高さ制限 |
|---|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 住居 | 30〜60% | 50〜200% | 10mまたは12m |
| 第二種低層住居専用地域 | 住居 | 30〜60% | 50〜200% | 10mまたは12m |
| 第一種中高層住居専用地域 | 住居 | 30〜60% | 100〜500% | なし(斜線制限あり) |
| 第二種中高層住居専用地域 | 住居 | 30〜60% | 100〜500% | なし(斜線制限あり) |
| 第一種住居地域 | 住居 | 60% | 200〜400% | なし |
| 第二種住居地域 | 住居 | 60% | 200〜400% | なし |
| 準住居地域 | 住居 | 60% | 200〜400% | なし |
| 田園住居地域 | 住居 | 30〜60% | 50〜200% | 10mまたは12m |
| 近隣商業地域 | 商業 | 60〜80% | 100〜500% | なし |
| 商業地域 | 商業 | 80% | 200〜1,000% | なし |
| 準工業地域 | 工業 | 60% | 200〜400% |
なし
|