

特別とん税は「国税」なのに、あなたの自治体に直接届くお金です。
とん税は、外国貿易船が日本の「開港」に入港するたびに課される国税です。 課税標準は船の「純トン数」で、港湾施設などの行政サービスを受けることへの対価(応益税)として位置づけられています。 kimotokaikei(http://kimotokaikei.com/kimoto/column/column0707/column070706.html)
純トンとは「貨物や旅客のために実際に使える船内の容積」のことで、1トン=100立方フィート(約2.83立方メートル)です。 わかりやすく言えば、大型コンテナ船ほど純トン数が大きく、払う税額も多くなる仕組みです。 kimotokaikei(http://kimotokaikei.com/kimoto/column/column0707/column070706.html)
税率の構造はシンプルです。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)
| 納付方式 | とん税(1トンあたり) | 特別とん税(1トンあたり) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 都度納付(入港ごと) | 10円 | 20円 | 30円 |
| 一時納付(年1回) | 48円 | 60円 | 108円 |
都度納付が原則ですが、年1回まとめて払う「一時納付」を選ぶこともできます。 一時納付は都度納付の約3〜4回分に相当するコストとなるため、入港頻度が高い船会社は都度納付を選ぶケースが多いです。これが基本です。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)
納税義務者は原則として船の「船長」です。 実務上は船会社が代行手続きをすることが多く、税関長が徴収します。 laws.e-gov.go(https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000037)
特別とん税は1957年(昭和32年)、外航船舶に対する固定資産税が軽減された際に、市町村への代替財源として新設されました。 つまり「船の固定資産税が減った分を補う税」として誕生した、いわば補填専用の税です。意外ですね。 baikyaku(https://baikyaku.net/word/tax-ta/tax-ta019.html)
課税標準と納税義務者はとん税とまったく同じですが、税率はとん税より高く設定されています。 都度納付で1トン20円(とん税は10円)、一時納付で60円(とん税は48円)です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E)
特別とん税は国税として税関長が徴収しますが、その収入は全額が「特別とん譲与税」として毎年9月と3月の年2回、開港の港湾施設が所在する市町村に譲与されます。 つまり「国が集めて、港のある地元に全額渡す」という珍しい仕組みです。 baikyaku(https://baikyaku.net/word/tax-ta/tax-ta019.html)
東京都特別区に所在する開港の場合は、市町村ではなく東京都に譲与されます。 港湾運営に関わる財政基盤を支えるための重要な財源となっています。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)
参考:特別とん税法の条文(e-Gov法令検索)
特別とん税法(e-Gov法令検索)
最も重要な違いは「徴収後のお金の行き先」です。 とん税は国の一般財源に入りますが、特別とん税は全額が港湾所在の市町村へ還元されます。同じ窓口(税関)で同時に徴収されるため混同されがちですが、使途は正反対です。 kimotokaikei(http://kimotokaikei.com/kimoto/column/column0707/column070706.html)
実務上の特徴として、とん税と特別とん税は一緒に徴収されます。 法律上も「端数計算においてはとん税と特別とん税を一の税目として扱う」と定められており、延滞税の計算も合算額で行います。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E)
| 項目 | とん税 | 特別とん税 |
|---|---|---|
| 根拠法 | とん税法(昭和32年) | 特別とん税法(昭和32年) |
| 課税標準 | 純トン数 | 純トン数(同じ) |
| 納税義務者 | 外国貿易船の船長 | 外国貿易船の船長(同じ) |
| 徴収者 | 税関長 | 税関長(同じ) |
| 都度税率 | 1トンあたり10円 | 1トンあたり20円 |
| 税収の行き先 | 国の一般財源 | 港湾所在の市町村(全額) |
| 譲与タイミング | − | 毎年9月・3月 |
つまり「外見は同じ、中身は別物」が原則です。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E3%81%A8%E3%82%93%E7%A8%8E)
参考:税関のとん税・特別とん税基本通達(徴収手続きの詳細)
とん税法及び特別とん税法基本通達(税関)
実は特別とん税には、通常の税率が適用されない特例があります。国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港・名古屋港・四日市港)に、欧州・北米の国際基幹航路を運航する定期コンテナ船が入港する場合、特別とん税の一時納付税率が通常60円から30円に軽減されます。 elaws(https://elaws.jp/view/332AC0000000038)
この軽減措置は「国際基幹航路の我が国への寄港維持・拡大」を目的に設けられました。 近隣のアジア諸港(上海港・釜山港など)と競争するうえで、入港コストの低減が必要だったためです。 jsanet.or(https://www.jsanet.or.jp/report/nenpo/nenpo2018/text/shiryo1-1-1-3.pdf)
2020年10月からは京浜港・阪神港に加え、名古屋港・四日市港でも軽減措置が適用開始されました。 一時納付合計(とん税+特別とん税)が通常108円/トンから54円/トンへ、実質半額になります。 これは使えそうです。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/yokohama/yokohama/yokohama_files/pdfs/cus_info/2020/2020-07-28k.pdf)
港湾関係の投資判断や物流コスト分析を行う際は、この軽減措置の対象港かどうかを確認することが、コスト試算の精度を高める重要なポイントになります。国土交通省や港湾管理者のウェブサイトで最新の適用状況を確認できます。
参考:軽減措置に関する日本船主協会の要望経緯
国際基幹航路向けとん税・特別とん税軽減措置の背景(日本船主協会)
金融に興味を持つ人が見落としがちなのが、海運会社や港湾関連企業の「入港コスト」です。とん税と特別とん税の合計は都度納付で1トンあたり30円ですが、純トン数が10万トンを超える大型コンテナ船では1回の入港だけで300万円以上の税負担が発生します。 phaj.or(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso202011.pdf)
年間の入港回数が多い幹線航路の船舶であれば、この税負担は年間数千万円規模になることもあります。痛いですね。
ただし、前述の軽減措置の対象港に寄港する場合はコストが半減するため、船会社が「どの港に寄港するか」を決める際の判断要素の一つになっています。 港湾株・海運株を分析する際は、国際基幹航路の就航状況と戦略港湾への寄港比率を確認しておくと、コスト構造の把握に役立ちます。 kaijipress(https://www.kaijipress.com/news/container/2020/10/152879/bit.ly/4jLtyxx)
また、特別とん税が全額譲与される市町村の財政分析という視点もあります。 横浜市・神戸市・名古屋市などの大規模港湾都市では、特別とん譲与税が毎年9月・3月に定期的に入ってくるため、自治体財政の安定財源の一つになっています。 toukaisousei(https://toukaisousei.com/vol-227/)
港湾都市の地方債や財政状況をリサーチする際には、特別とん譲与税の収入規模をチェックする視点が、他の投資家との差別化につながります。これは使えそうです。
参考:名古屋港の特別とん譲与税配分に関する分析コラム
名古屋港の特別とん譲与税の配分は公平か(東海創生)