労災個人事業主の特別加入条件と手続き費用

労災個人事業主の特別加入条件と手続き費用

労災個人事業主の特別加入制度

個人事業主本人がケガをしても労災保険は出ません。


この記事の3つのポイント
💼
個人事業主は特別加入で労災に入れる

原則加入できないが一人親方など特定業種は任意で加入可能

💰
給付基礎日額で保険料と補償が決まる

3,500円~25,000円の16段階から収入に見合った金額を選択

📋
労働保険事務組合を通じて申請

中小事業主は組合への委託が必須で承認まで最大30日

個人事業主が労災保険に加入できない理由


労災保険は労働基準法上の労働者を対象とする制度です。個人事業主は労働者ではなく事業主という立場のため、原則として加入できません。


参考)個人事業主,中小事業主:労災保険の特別加入_建設業サイト


これは労働者を保護する目的で作られた制度だからです。個人事業主本人が業務中にケガをしても、労災保険は適用されず、治療費は全額自己負担になります。

さらにその治療費は事業の経費としても認められません。青色事業専従者も労働者ではないため、同様に労災保険は適用されないんです。

個人事業主の労災特別加入制度の対象者

特別加入制度は、労働者に準じて保護することが適当と認められる方に任意加入を認める制度です。


対象は大きく4種類に分かれています。



参考)個人事業主は従業員を雇用したら労災保険の加入が義務!手続きや…

中小事業主、一人親方、特定作業従事者、海外派遣者が該当します。一人親方は、土木・建築工事業(大工、左官、とび職人など)や個人タクシー・個人貨物運送業などが含まれます。


参考)労災保険の特別加入制度とは?概要や補償内容を解説


特別加入できるのは常態として労働者を使用しないで事業を行う者に限られます。その事業に従事する家族従事者も一緒に加入できるんです。


参考)https://www.rouhoren.or.jp/what/special.html

令和6年11月1日からはフリーランスにも対象が拡大されました。


つまり対象業種は広がっているということですね。



参考)令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入…

労災特別加入のメリットと補償内容

労災保険は政府が管掌する社会保険制度で、非常に手厚い補償が受けられます。特別加入者も労働者と同等の給付を受けられるのが最大のメリットです。


参考)個人事業主は労災保険に加入できる?特別加入について解説

給付の種類は療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、傷病年金などがあります。たとえば傷病等年金の第1級では給付基礎日額1万円×313日で313万円、さらに傷病特別支給金114万円が一時金として支給されます。


参考)https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-5.pdf

委託契約に基づく業務中のケガや病気だけでなく、業務の現場と自宅の往復中の通勤災害も補償対象になります。


政府管掌なので安心して加入できますね。



参考)個人事業主の労災保険|フリーランスも加入できる特別加入制度を…


個人事業主の労災未加入によるリスク

労災保険に未加入だと案件を受注できない可能性があります。建設業などでは元請業者が下請の労災加入を条件にするケースが増えているためです。


参考)労災保険に加入していない危険性とは?個人事業主向けに徹底解説…

業務中の事故で発生した治療費や休業中の収入減少をすべて自己負担しなければなりません。


補償を受けられないだけでは済まないんです。



高額な治療費や長期休業による収入ゼロは、事業継続そのものを脅かします。仕事を獲得できないリスクと合わせると、個人事業主として望ましくない状況です。

労災特別加入の給付基礎日額の選び方

給付基礎日額は3,500円から25,000円まで16段階に分かれています。特別加入の際に任意の金額を一つ選択する仕組みです。


参考)労災保険特別加入の給付基礎日額とは?設定できる金額や決め方を…


給付基礎日額が高くなるほど保険料も高くなりますが、補償額も手厚くなります。実際の収入に見合ったものを選択するのが基本です。

一度決定された給付基礎日額は年度の途中では変更できません。


慎重に選ぶ必要がありますね。



参考)労災保険特別加入者の給付基礎日額の変更

たとえば給付基礎日額8,000円を選ぶと、建設業の場合、年間保険料は約2.2万円(月額約1,850円)になります。それに加えて組合への入会金1,000円と年会費3,600円(月450円)がかかります。


参考)一人親方の労災保険の特別加入費用|一人親方の労災センター共済…

労災特別加入の中小事業主の手続き

中小事業主が特別加入するには、労働保険事務組合に労働保険の事務処理を委託することが必須条件です。


この委託契約なしには申請できません。



参考)中小事業主の労災保険特別加入


手続きの流れは次のとおりです。


まず労働保険事務組合と委託契約を結びます。


次に「特別加入申請書(中小事業主等)」を作成し、組合へ提出します。


参考)中小事業主も入れる労災保険「特別加入制度」とは?保険料・メリ…

組合から所轄の労働基準監督署長を経由して労働局長に申請書が提出され、審査が行われます。申請が受理されると、申請の翌日から30日以内の範囲で希望した日が加入開始日として承認されます。

労災保険による補償の対象となるのは、加入開始日以降に発生した災害です。つまり申請前の事故には補償が出ないということですね。

個人事業主の労災保険料の計算方法

保険料は「給付基礎日額×365日×保険料率」で計算されます。保険料率は業種によって異なり、たとえば建設業(建築・土木工事業)は約9/1000です。

給付基礎日額8,000円を選んだ場合、8,000円×365日×9/1000=26,280円(年間)となります。


これに組合費が別途かかります。



初年度は保険料に加えて入会金1,000円と年会費3,600円が必要です。2年度目以降は入会金がなくなり、保険料と年会費のみになります。

保険料自体は国の制度なのでどの組合でも同じです。ただし組合費は組合によって異なるため、比較検討する価値があります。


参考)一人親方の労災保険特別加入【組合費や保険料等の費用について】

労災特別加入の一人親方の手続き

一人親方の特別加入は、特別加入団体を通じて行います。中小事業主と異なり、労働保険事務組合への委託は不要です。


参考)https://www.rouhoren.or.jp/freelance-rousai/freelance-rousai/specialenrollment.html

まず自分の業種に対応した特別加入団体を選びます。


入会申込書を提出し、団体の審査を受けます。



審査が通ったら保険料と組合費を納付します。手続きが受理され労働局長の承認が下りると正式に加入完了です。

一人親方向けの団体は複数あり、組合費や対応の早さが異なります。より安く、より早く加入できる団体を選ぶことが大切です。

厚生労働省の労災保険への特別加入制度の詳細ページ
労災保険の特別加入制度について、対象者の範囲、加入手続き、給付内容などの公式情報が掲載されています。




個人事業主1年目の強化書