年次有給休暇の付与日数パートでも知るべき完全ガイド

年次有給休暇の付与日数パートでも知るべき完全ガイド

年次有給休暇の付与日数はパートでも法律で守られている

週3日のパートでも、5年6ヶ月続けると有給が10日になって年5日取得の義務対象になります。


📋 この記事の3つのポイント
📅
パートでも6ヶ月勤務+出勤率8割で有給が発生する

雇用形態に関係なく、条件を満たせばすべての労働者に年次有給休暇が付与されます。週1日勤務でも対象になる場合があります。

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付与日数は週の勤務日数と勤続年数で決まる「比例付与」

週30時間未満・週4日以下のパートは「比例付与」が適用され、勤務日数に応じた日数が付与されます。週30時間以上なら正社員と同日数になります。

⚠️
有給を使わないと2年で消滅する+企業には罰金リスクも

有給休暇は付与日から2年で時効消滅します。また企業がパートに年5日取得させなかった場合、1人あたり最大30万円の罰金が科されることがあります。


年次有給休暇の付与日数がパートに発生する2つの条件

パートタイム労働者に年次有給休暇が付与されるには、2つの条件を同時に満たす必要があります。1つ目は「雇い入れの日から6ヶ月間の継続勤務」、2つ目は「その期間の全労働日に対して8割以上の出勤」です。この2条件は労働基準法第39条に明記されており、業種・業態・雇用形態を問わず適用されます。


「うちの会社にはパートの有給はない」という説明を受けたことがある方もいるかもしれません。しかしそれは誤りです。


法律上の要件を満たした瞬間に権利が発生するため、会社がどう言おうと有給休暇は存在します。厚生労働省も「会社が否定しても要件を満たした全ての労働者に取得する権利がある」と明言しており、拒否し続ければ6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。


8割出勤の計算には、育児休業・介護休業・産前産後休業・労災による休業期間は「出勤したもの」としてカウントされます。これが原則です。


一方で、会社都合の休業(たとえば工場の操業停止など)は、「全労働日」そのものから除外されます。つまり会社の都合で休ませておきながら、出勤率が低いとして有給を与えない、という対応は認められません。この点は意外と知られていないため、記録を残しておく習慣が大切です。



















条件 内容 補足
継続勤務期間 雇い入れの日から6ヶ月以上 定年後の嘱託再雇用も通算される
出勤率 全労働日の8割以上 育休・産休・労災休業は出勤扱い


参考:年次有給休暇の付与条件と出勤率算定の詳細(厚生労働省公式リーフレット)
厚生労働省|年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています(PDF)


年次有給休暇の付与日数をパートの勤務日数別に理解する比例付与の仕組み

週の所定労働時間が30時間未満かつ所定労働日数が週4日以下のパートには、「比例付与」という方式で有給日数が決まります。比例付与とは、フルタイム労働者の付与日数を基準に、週の勤務日数の比率に応じて計算する仕組みです。


具体的には、週1日勤務のパートでも条件を満たせば有給が付与されます。意外ですね。


下の表を見ると、たとえば週3日勤務で勤続5年6ヶ月を超えると11日の有給が付与されることがわかります。














































週所定労働日数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 5日 6日 7日
1日 2日 3日


なお、週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上勤務するパートは、正社員とまったく同じ付与日数が適用されます。つまり勤続6ヶ月で10日、最大では勤続6年半以上で年20日が付与されます。これが原則です。


1日6時間を週5日勤務しているパートは、時給制でも正社員と同じ10日から始まる付与日数になります。週5日フルで働いているパートにとって、これは大きなメリットになり得る知識です。有給を取得しても通常の賃金(所定労働時間×時給)が支払われるため、実質的な収入保護として機能します。


参考:比例付与の計算方法と週ごとの付与日数の詳細
freee|パート・アルバイトも有給休暇を取得できる!付与日数や賃金の計算方法を解説


年次有給休暇の付与日数が10日以上になるとパートにも義務が生じる理由

2019年4月の労働基準法改正によって、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、使用者が年間5日の有給取得を「させる義務」を負うことになりました。これはパートタイム労働者も例外ではありません。


では、パートがこの10日の基準に達するのはいつでしょうか?


比例付与の表を見ると、週4日勤務なら勤続3年半で10日、週3日勤務なら勤続5年半で10日に達することがわかります。長く続けているパートほど、気づかぬうちに義務化の対象になっているわけです。


会社がこの義務を怠り、対象となるパート従業員に年5日の有給を取得させなかった場合、「対象者1人につき最大30万円の罰金」が科されます。これは従業員1人ごとに適用されるため、対象者が10人いれば最大300万円規模のリスクになり得ます。痛いですね。


つまり、パートを長期雇用している会社は、有給管理が法的にも財務的にも重大な課題となります。雇用主の立場では、有給休暇管理簿を作成・3年間保存することも義務化されており、「管理していなかった」では済まされません。


パートとして長く勤めている方は、自分が年5日の義務化対象になっているかどうかを確認する価値があります。会社から自発的に案内がない場合でも、権利として取得を申し出ることができます。勤続年数と週の勤務日数を確認するだけで判断できます。


厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得(対象者・罰則の詳細)


年次有給休暇の付与日数を無駄にしないための時効と繰り越しルール

付与された有給休暇を使わずに放置すると、2年で時効消滅します。これは労働基準法第115条に基づくルールであり、会社側が独自に短縮することはできません。しかし延長することは可能で、就業規則に「3年繰り越し」などの特例を定めている会社も存在します。


有給が消えてしまうのは、お給料を捨てるのと同じことです。


具体的に計算してみましょう。たとえば週3日勤務のパートが勤続1.5年の時点で6日分の有給を取得しなかった場合、翌年に繰り越されます。さらに翌年も未使用のまま2年が経過すると、その6日分は消滅します。時給1,050円・1日6時間勤務なら、1日あたり6,300円が消えていく計算になります。6日分なら約37,800円相当です。


繰り越しルールをまとめると次の通りです。



  • 有給休暇は付与日から2年間有効(法定の時効)

  • 当年度に使い切れなかった分は翌年度に1回だけ繰り越し可能

  • 繰り越し後さらに未使用のまま2年経過すると消滅

  • 最大保有日数は「前年繰越分+当年付与分」で上限40日(週5日以上の場合)


有給消化の状況を把握するためには、会社の給与明細や就業規則、あるいは有給管理ツールで残日数を確認するのが確実です。スマホから給与明細を確認できる勤怠管理アプリを導入している会社も増えているため、残日数の確認は数分で完了します。まず残日数をメモするところから始めましょう。


e-Gov法令検索|労働基準法第百十五条(時効の規定)


年次有給休暇をパートが取得する際の賃金計算と金融的なメリット

有給休暇を取得した日に支払われる賃金には3つの計算方法があり、会社の就業規則によっていずれかが採用されています。この計算方法を知っておくことは、金融面から家計管理を考える上でも有益です。


結論は3通りの計算式です。


1つ目は「通常の賃金による計算」で、所定労働時間に時給をかけた金額が支払われます。たとえば時給1,200円・6時間勤務なら7,200円です。2つ目は「平均賃金による計算」で、直近3ヶ月の賃金総額を暦日数で割った金額が適用されます。3つ目は「標準報酬日額」で、健康保険の標準報酬月額を30で割った金額です。標準報酬日額は、他の2つより金額が低くなる場合があるため、この方式を採用する場合は労使協定の締結が必要です。


これは使えそうです。


金融に興味のある方の視点で整理すると、有給休暇はいわば「休んでも収入が確保されるセーフティネット」です。パートとして副業投資の勉強に充てる時間を確保したい場合でも、有給を使えば収入を維持しながら時間を捻出できます。月2日分の有給活用で、年間約15,000〜20,000円程度(時給1,200円・6時間換算)の賃金を守ることができます。


有給取得を理由に賞与を減らしたり、皆勤手当を不支給にしたりすることは法律で禁止されています。有給を取得した日は「労働したものとみなす」のが原則であるため、不当な扱いを受けた場合は最寄りの労働基準監督署または都道府県労働局に相談することができます。相談は無料です。



  • 🏢 労働基準監督署への相談(全国各都道府県に設置・無料)

  • 📞 総合労働相談コーナー:0120-811-610(厚生労働省)

  • 💻 厚生労働省の「確かめよう労働条件」サイトでセルフチェック可能


厚生労働省「確かめよう労働条件」|年次有給休暇をとる条件・パート労働者への適用