

買換え特例を使えば「税金がゼロになる」と思っているなら、将来の売却時に思わぬ大きな税額を請求されるかもしれません。
「特定の居住用財産の買換えの特例」は、一定要件を満たしたマイホームを売却して新たなマイホームに買い換えた際、発生した譲渡所得に対する課税を次回の売却時まで将来に繰り延べることができる制度です。国税庁のタックスアンサー(No.3355)にも正式に規定されており、現行では令和7年(2025年)12月31日までが適用期限です。
まず「課税の繰り延べ」がどういう意味かを具体的な数字で確認しておきましょう。
たとえば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円の新居に買い換えた場合を考えます。通常なら4,000万円の譲渡所得が生じ、長期譲渡所得の税率(所得税15.315%+住民税5%=合計約20.315%)で計算すると、約813万円の税金が売却年に発生します。これは4LDKの物件1部屋分の購入費に相当する金額感です。
買換え特例を利用した場合、この813万円の税金は売却年には発生しません。つまり資金的に最もタイトな「住み替えのタイミング」で、大きな現金出費を先延ばしにできるわけです。これが大きなメリットです。
ただし、免税になるわけではありません。将来その新居を売却した際、繰り延べていた4,000万円の課税繰延べ益が上乗せされて課税されます。つまり「税金の免除」ではなく「税金の先送り」が正確な理解です。
この区別を正確に把握することが、特例を正しく使いこなす第一歩です。
参考:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm
この特例を利用するためには、売却する物件・取得する物件の両方について、それぞれ複数の要件をすべて同時に満たす必要があります。一つでも欠けると適用を受けられないため、事前の確認が必須です。
【売却する物件の主な要件】
| 要件項目 | 内容 |
|---|---|
| 所有期間 | 売却年の1月1日時点で土地・建物ともに10年超 |
| 居住期間 | 通算で10年以上(転勤などによる一時離席は通算可) |
| 売却相手 | 親族・内縁関係者・特殊な関係法人への売却は不可 |
| 売却価格 | 1億円以下 |
| 売却時期 | 令和7年(2025年)12月31日まで |
【取得する物件(新居)の主な要件】
| 要件項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得時期 | 売却年の前年から翌年までの3年以内 |
| 床面積 | 50㎡以上(ハガキの長辺が14.8cmなので、その約34倍×34倍のイメージ) |
| 土地面積 | 500㎡以下(テニスコート約2面分) |
| 中古住宅の場合 | 取得日前25年以内の建築、または耐震基準適合証明取得済み |
| 省エネ基準 | 令和6年1月1日以降入居の新築住宅は断熱等性能等級4以上などの省エネ基準要件あり |
ここで特に見落とされやすいポイントが「居住期間は通算でOK」という点です。転勤などで一時的に別の場所に住んでいた期間があっても、合計10年以上居住していれば問題ありません。これは意外と知られていないルールです。
もう一つ注意が必要なのは「売却代金1億円以下」という上限です。土地と建物を分割して複数年に売却した場合は、売却年・前々年・翌々年を合算した金額で判定されます。分割売却で1億円を超えた場合、後から修正申告(売却から4ヶ月以内)と追加納税が発生するため、特に都市部の高額物件を持つ方は慎重に計算する必要があります。
参考:住友不動産ステップ「居住用財産の買換え特例」
https://www.stepon.co.jp/zeikin/kaikae_tokurei.html
買換え特例を検討するうえで最も重要な判断が、「他の特例・控除との比較」です。この特例は以下の制度とは一切併用できません。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
- マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有)
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
- マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
特に多くの方が誤解するのが住宅ローン控除との関係です。新居を住宅ローンで購入して入居した年と、その前後2〜3年以内に買換え特例を使うと、住宅ローン控除が丸ごと使えなくなります。住宅ローン控除は最長13年間にわたって年末残高の0.7%を控除できる制度で、残高4,000万円の場合なら年間最大28万円、13年間で最大364万円の控除効果があります。繰り延べた譲渡所得税が少額なら、むしろ住宅ローン控除を選んだほうが総額でトクになるケースもあります。
次に3,000万円の特別控除との比較ですが、こちらは所有期間の制限なしに最大3,000万円の譲渡所得を非課税にできる強力な特例です。長期譲渡所得(5年超)の場合、3,000万円の控除で最大約609万円の節税が可能です。
どちらを選ぶかの判断基準(目安)
| ケース | おすすめ |
|---|---|
| 譲渡所得が3,000万円以下 | 3,000万円特別控除(非課税になる) |
| 譲渡所得が3,000万円超で将来売却予定なし | 買換え特例(一生住み続けるなら税金なし) |
| 新居をローン購入で将来も住み続ける | 住宅ローン控除(13年間で数百万円の節税) |
| 住み替え後の新居を数年で再売却予定 | 慎重に専門家へ相談 |
つまりどれが最適かは個人の状況次第です。
参考:SUUMO「不動産の買い換え特例とは?適用要件や3000万円特別控除との違い」
https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20251008/001
買換え特例は「将来に課税が先送りになる」制度ですが、その将来の税負担がどれほど大きくなりうるのか、具体的な数字で把握しておくことが大切です。
先ほどの例に戻りましょう。1,000万円で買ったマイホームを5,000万円で売り、7,000万円の新居に買い換えた場合、売却時点では特例で4,000万円の課税が繰り延べられます。この状態で将来新居を8,000万円で売却したとします。
この場合、課税対象となるのは「実際の売却益(8,000万円 - 7,000万円=1,000万円)+繰り延べていた4,000万円=合計5,000万円」です。長期譲渡所得の税率20.315%で計算すると、約1,016万円の税金が一度に発生します。これは決して小さな金額ではありません。
また、注意すべき点がもう一つあります。買換え特例を使って取得した新居は、取得価額が「引き継いだ繰り延べ分だけ低く計算される」仕組みになります。たとえば7,000万円で購入した新居でも、特例適用後は税務上の取得価額が4,000万円程度に圧縮されるイメージです。これが将来売却時に重くのしかかる課税のメカニズムです。
相続が発生した場合にも注意が必要です。親が買換え特例を使って取得したマイホームを子どもが相続して売却する場合、繰り延べられていた課税が子の代で精算されることになります。税の先送りが世代をまたいで影響するケースがあることも覚えておきたいポイントです。
将来の税負担をシミュレーションするには、国税庁の確定申告書等作成コーナーや税理士への相談が有効です。
参考:東急リバブル「居住用財産の買換え特例とは?適用要件と手続きの流れ」
https://www.livable.co.jp/l-note/question/g14054/
買換え特例の適用を受けるには、必ず確定申告を行う必要があります。期限は売却した年の翌年2月16日〜3月15日です。この期限を1日でも過ぎると特例が受けられなくなる可能性があるため、書類の準備は早めに進めることが原則です。
【確定申告に必要な主な書類】
| 書類名 | 入手先 |
|---|---|
| 確定申告書(譲渡所得内訳書) | 税務署または国税庁HP |
| 売却・購入時の売買契約書(コピー) | 手元の書類 |
| 登記事項証明書(所有期間証明) | 法務局 |
| 住民票の写し・戸籍の附票 | 市区町村役所 |
| 売却代金が1億円以下と分かる書類 | 売買契約書など |
| 買換え後の床面積・土地面積が分かる書類 | 不動産会社・登記事項証明書 |
| 中古住宅の場合:耐震基準適合証明書など | 建築士・指定機関など |
| 省エネ基準適合の場合:住宅省エネ性能証明書など | 施工業者など |
特にトラブルになりやすいのは、「売却年に新居をまだ取得していない場合」の手続きです。売却年の翌年に新居を取得する予定であれば、売却年に「取得予定の旨と予定入居日」を記した書類を添付して先に申告することが可能です(コード3361参照)。ただし、期限内に取得・入居できなかった場合は取得日から4ヶ月以内に修正申告と納税が必要になります。
確定申告書の作成は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」をオンラインで利用するのが最も手間が少なく、誤入力も減らせます。特例の適用を検討している場合でも、税理士に事前相談することで、他の特例との比較も含めた最適な選択ができます。
申告先は、売却した物件を管轄する税務署ではなく、自分の住所地の所轄税務署であることも確認しておきましょう。
参考:国税庁「No.3361 譲渡した年に買換えができなかったとき(マイホーム)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3361.htm

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