

副業で収入があると国保組合に加入できません。
国保組合は同種の事業または業務に従事する個人事業主とその従業員で組織された健康保険団体です。全国に約160の国保組合が存在しており、業種ごとに独自の組合が設立されています。
参考)http://www.kokuhokyo.or.jp/page8-etc.html
対象となる主な業種は多岐にわたります。建設業では全国土木建築国民健康保険組合や建設連合国民健康保険組合があり、医療関係では医師、歯科医師、薬剤師などの専門職ごとに組合があります。美容業界では東京美容国民健康保険組合、全国美容国民健康保険組合が存在し、理容師や美容師が加入できます。
参考)個人事業主が加入できる業種ごとの保険組合を紹介。社会保険に加…
専門職では税理士、公認会計士、弁護士などの士業も対象です。文芸関係では作家、漫画家、芸能関係者を対象とした文芸美術国民健康保険組合があります。
参考)個人事業主が知っておきたい国民健康保険組合の選び方と加入の流…
このほか食品業界、浴場業、青果卸売業、自転車商、衣料業など、非常に幅広い業種で組合が設けられています。
つまり対象業種は多様です。
参考)【国保の大幅節税!?】業種別の国民健康保険組合について徹底解…
国保組合の最大のメリットは保険料が所得に連動しない点です。市区町村の国民健康保険は前年の所得額によって保険料が決定されるため、収入が増えるほど保険料も増加します。
参考)【個人事業主必見】国民健康保険組合に加入するメリット・デメリ…
一方、多くの国保組合では年齢や資格などによって保険料が一律に設定されており、所得額は保険料算定に影響しないか、影響が限定的です。例えば建設連合国民健康保険組合では保険料は一律で、世帯所得や就労状況、業種によって変動しません。
高所得の個人事業主にとっては、市区町村の国保と比較して保険料を大幅に削減できる可能性があります。ただし扶養家族の人数や収入状況によっては、必ずしも安くなるとは限らない点に注意が必要です。
各組合独自の給付制度や保健事業が提供されていることも特徴の一つです。例えば0歳児の保険料免除制度など、組合によって独自の福利厚生が用意されています。
国保組合への加入には複数の条件があります。最も重要なのは、該当業種が「主たる事業」であることです。
主たる事業とは、主に生計を立てている事業を意味します。つまり副業として該当業種を営んでいるだけでは加入できません。複数の事業を営んでいる場合、収入割合などで主たる事業が判定されることになります。
多くの組合では母体となる労働組合や団体の組合員になることが必要です。例えば建設連合国民健康保険組合に加入するには、一般社団法人日本建設組合連合の正会員である組合の組合員である必要があります。個人で直接国保組合に加入することはできません。
参考)加入方法・保険料-加入できる方|建設連合国民健康保険組合
地域要件も重要です。組合が対象とする地域に事業所または住所がある場合に加入できます。例えば東京土建国民健康保険組合では、東京都内に住所があること、または近隣県の一部地域に住所があって都内の事業所に勤務していることが条件です。
法人事業所の事業主や従業員は健康保険が強制適用となるため、原則として国保組合に加入できません。これは個人事業主から法人化した場合も同様で、法人化すると国保組合への新規加入はできなくなります。
参考)経審で3保険が「除外」になるケースを確認しておく|お役立ち記…
ただし例外的な継続加入制度があります。個人事業で国保組合に加入していた場合、法人化したときに一定の条件下で継続加入が認められることがあります。
継続加入するには、健康保険の適用除外承認申請書を年金事務所に提出し、承認を受ける必要があります。この手続きを経ることで、法人化後も例外的に国保組合に残ることができます。
参考)https://www.kyoto-shokuhin.jp/pdf/houjin.pdf
この制度は国保組合の事業運営の継続性の観点から例外的に認められたものです。しかし近年は法人の国保組合への新規加入は認められなくなっており、あくまで既存加入者の継続に限定されています。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001599955.pdf
税務担当者としてクライアントの国保組合加入を検討する際、まず収入構造の確認が必要です。対象業種からの収入が全収入のうち何割を占めているかを把握し、主たる事業と判断できるか検証します。
どういうことでしょうか?
副業収入がある場合、それが対象業種以外であれば主たる事業の判定に影響する可能性があります。収入割合だけでなく、事業に費やす時間や事業の継続性なども判断材料となります。
次に事業形態の確認です。法人化を検討しているクライアントに対しては、法人化すると国保組合への新規加入ができなくなることを事前に伝える必要があります。既に国保組合に加入している場合は、法人化後の継続加入手続きについて年金事務所への申請を案内します。
参考)先日、個人事業所から法人化をしました。文芸美術国保組合に加入…
保険料のシミュレーションも重要です。クライアントの所得額、扶養家族の人数、年齢構成などから、市区町村の国保と国保組合でそれぞれいくらの保険料になるかを試算します。高所得でも扶養家族が多い場合は、必ずしも国保組合が有利とは限りません。
地域の国保組合の存在を把握しておくことも税務担当者の役割です。クライアントの業種に対応する国保組合が活動地域にあるか、加入要件は何かを調べ、情報提供できる体制を整えておくと良いでしょう。
国民健康保険組合の一覧(全国の国保組合を業種別に確認できる公式情報)
従業員を雇用する場合の注意点もあります。国保組合に加入する場合、同一世帯で国保に加入している人も国保組合に入り直す必要があります。世帯単位での加入が原則となるため、家族構成も含めた総合的な判断が求められます。
厳しいところですね。
これらのポイントを確認した上で、クライアントにとって最適な健康保険の選択肢を提案することが、税務担当者に求められる役割です。