
電気自動車(EV)にかかる税金は主に3種類あります。自動車税(種別割)、自動車重量税、環境性能割です。これらの税金はガソリン車と比較して大幅に軽減されているのが特徴です。
自動車税(種別割)は毎年4月1日時点での所有者に課税される税金で、電気自動車の場合は排気量がゼロのため、最も低い税率区分である「1L以下」の25,000円が適用されます。さらに、グリーン化特例により新車登録の翌年度は75%減税され、わずか6,500円になります。
自動車重量税は車検時に納める税金で、車両の重量に応じて税額が決まります。電気自動車はエコカー減税の対象となり、2026年4月30日までの新規登録車は、新車登録時と初回継続検査時の自動車重量税が免税となります。
環境性能割(旧・自動車取得税)は車両購入時にかかる税金です。燃費性能が良く環境負荷の少ない車ほど低い税率が適用され、電気自動車は2026年3月31日までに取得した場合、非課税となります。
電気自動車とガソリン車では、税金負担に大きな差があります。以下の表で5年間の税金負担を比較してみましょう。
税金の種類 | ガソリン車(例:普通車2L) | 電気自動車 |
---|---|---|
自動車税(種別割) | 36,000円/年 × 5年 = 180,000円 | 6,500円(初年度)+ 25,000円 × 4年 = 106,500円 |
自動車重量税(1.5t車の場合) | 新車時:24,600円 更新時:24,600円 合計:49,200円 |
新車時:0円(免税) 更新時:0円(免税) 合計:0円 |
環境性能割 | 車両価格の1~3% | 0円(非課税) |
5年間の税金合計 | 約229,200円+環境性能割 | 約106,500円 |
この比較からわかるように、電気自動車はガソリン車と比べて5年間で約12万円以上の税金が軽減されます。特に自動車重量税と環境性能割が非課税になるのは大きなメリットです。
軽自動車の場合も同様に、電気自動車は税金面で有利です。例えば、軽自動車税(種別割)は通常10,800円/年ですが、電気自動車の場合は新車登録翌年度は75%減税され、わずか2,700円になります。
電気自動車に適用される税制優遇制度には、それぞれ適用期間と条件があります。現在実施されている主な優遇制度は以下の通りです。
これらの優遇措置は、期限が近づくと延長されることもありますが、確実に優遇を受けるためには、現在の適用期間内に購入することをおすすめします。また、これらの制度は国の政策によって変更される可能性があるため、最新情報を確認することが重要です。
国土交通省:自動車関係税制について(最新の税制優遇情報が掲載されています)
電気自動車の税金を具体的に計算してみましょう。例として、一般的な電気自動車を購入した場合の税金負担を見ていきます。
【購入時】
【購入翌年度】
※軽自動車の場合:10,800円 × 75%減税 = 2,700円
【購入から2年目以降】
※軽自動車の場合:10,800円/年
【車検時(新車から3年後)】
【車検時(新車から5年後以降)】
例)1.5t以下の車両:15,000円(エコカー以外は24,600円)
実際の負担額を5年間でまとめると、普通車の電気自動車の場合。
これに対し、同クラスのガソリン車(2L)の場合。
この比較から、電気自動車はガソリン車と比べて5年間で約12万円以上の税金が軽減されることがわかります。
電気自動車を購入する際には、税制優遇だけでなく、様々な補助金制度も活用できます。これらを組み合わせることで、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
1. CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)
CEV補助金は、国が実施する電気自動車購入時の補助金制度です。2024年度の補助金額は、電気自動車の場合、車両価格や航続距離に応じて最大85万円が支給されます。
2. 地方自治体の独自補助金
多くの地方自治体では、国の補助金に上乗せして独自の補助金制度を実施しています。例えば、東京都では電気自動車購入時に最大45万円の補助金が受けられます。自治体によって補助金額や条件が異なるため、お住まいの地域の制度を確認することをおすすめします。
3. V2H(Vehicle to Home)設備導入補助金
電気自動車から家庭に電力を供給するV2H設備の導入にも補助金が出ます。災害時の非常用電源としても活用でき、最大95万円の補助が受けられる場合があります。
4. 充電設備導入補助金
自宅に充電設備を設置する際にも補助金が利用できます。工事費を含めた費用の一部が補助されるため、初期費用を抑えることができます。
電気自動車購入時の税金対策
一般社団法人次世代自動車振興センター:CEV補助金の詳細情報
電気自動車の普及に伴い、税制度も今後変化していく可能性があります。現在の優遇措置がいつまで続くのか、また将来的にどのような制度になるのかを考えておくことも重要です。
将来展望
電気自動車の普及が進むにつれて、現在の手厚い税制優遇は段階的に縮小される可能性があります。特に環境性能割の非課税措置やエコカー減税は、適用期限が延長されてきた経緯がありますが、永続的な制度ではないことを念頭に置く必要があります。
ガソリン税収の減少を補うため、欧米では既に走行距離に応じた課税制度の導入が検討されています。日本でも将来的には同様の制度が導入される可能性があります。
充電インフラの整備が進むにつれて、充電サービスへの課税が強化される可能性もあります。現在は電気代に対する軽減税率が適用されていますが、将来的には見直される可能性があります。
注意点
税制優遇を受けるためには、適用条件を満たす必要があります。例えば、グリーン化特例は新車登録の翌年度のみ適用されるため、中古車購入の場合は適用されないことがあります。
自動車税(種別割)は地方税のため、自治体によって独自の減免制度がある場合があります。例えば東京都では、電気自動車に対して5年間の自動車税免除制度を実施しています。お住まいの地域の制度を確認しましょう。
税制度は毎年の税制改正で変更される可能性があります。現在の優遇措置が将来も継続するとは限らないため、最新情報を常にチェックすることが重要です。
税金だけでなく、充電コストや保険料、バッテリー交換費用なども含めた総所有コスト(TCO)で考えることが重要です。電気自動車は税金が安くても、他の維持費が高くなる可能性もあります。
財務省:自動車関係税制の見直しに関する情報
電気自動車の税制優遇は、環境負荷の低減を促進するための政策です。現在の優遇措置を最大限に活用しつつ、将来的な制度変更にも備えておくことが賢明でしょう。税制優遇と補助金を組み合わせることで、電気自動車の購入・維持コストを大幅に抑えることができます。