地方揮発油税・地方揮発油譲与税の仕組みと税率・配分基準

地方揮発油税・地方揮発油譲与税の仕組みと税率・配分基準

地方揮発油税と地方揮発油譲与税の基本仕組み

地方揮発油税・地方揮発油譲与税の全体像
地方揮発油税

ガソリンに課税される国税で地方財源確保が目的

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地方揮発油譲与税

地方揮発油税収入を都道府県・市町村に譲与する仕組み

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配分と用途

道路面積・延長基準で配分、2009年から一般財源化

地方揮発油税の定義と課税目的

地方揮発油税は、揮発油(ガソリン)に課される国税であり、地方自治体への財源譲与を目的とした地方譲与税の一つです 。この税は地方揮発油税法第1条に基づき、揮発油に課され地方自治体に財源を譲与することを目的として創設されました 。
参考)地方揮発油税 - Wikipedia

 

本税は間接税に分類され、納税義務者は製油所から揮発油を移出した揮発油製造業者、または保税地域からの揮発油引取者となっています 。課税標準は移出数量や引取数量から貯蔵・輸送による減少分(欠減控除率100分の1.35)を差し引いた数量となります 。
参考)https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termlist/1001150/1001262.html

 

💡 興味深い点として、地方揮発油税は国税でありながら、その税収は全額が地方自治体に譲与される仕組みとなっており、国の一般会計収入にはカウントされません 。
参考)e-Gov 法令検索

 

地方揮発油譲与税の配分基準と算定方法

地方揮発油譲与税は、地方揮発油税の収入額に相当する額として都道府県及び市町村に譲与されます 。配分基準は道路の面積及び延長によって按分されており、総額の58%が都道府県及び指定都市に、残り42%が一般市町村に配分されます 。
参考)https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2014/10/1414471437.pdf

 

配分スケジュールは年3回(6月、11月、3月)に分けて実施され、各自治体の道路延長と面積に応じて客観的な基準により譲与されます 。この基準は地方揮発油譲与税法施行規則第2条によって詳細に規定されており、一般国道等の管理責任を有する地方自治体に対して適用されます 。
参考)地方揮発油譲与税譲与金|静岡県公式ホームページ

 

📈 令和6年度の地方揮発油譲与税譲与金として、6月期分だけで約605億円が全国の自治体に譲与されており、地方財政における重要な財源となっています 。
参考)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu02_02000420.html

 

地方揮発油税の税率構造と特例措置

地方揮発油税の本則税率は揮発油1キロリットルあたり4,400円(1リットルあたり4.4円)と定められています 。しかし、現在は租税特別措置法第88条の8により「当分の間」の暫定税率として5,200円(1リットルあたり5.2円)が適用されています 。
この暫定税率制度は1979年のオイルショック以降段階的に導入され、当初は8,200円、1993年から2008年までは5,200円が適用され、現在も継続されています 。揮発油税と合わせたガソリン税全体では、本則税率28.7円に対し暫定税率53.8円となっています 。
🌴 沖縄県では特例措置により、本土の53.8円に対し46.8円と7,000円/キロリットル(7円/リットル)の軽減が適用されており、この措置は令和9年5月14日まで延長されています 。

地方揮発油税から地方揮発油譲与税への歴史的変遷

地方揮発油税は元々「地方道路税」として1955年に創設され、道路特定財源制度の一環として運用されていました 。2009年4月1日の道路特定財源制度廃止に伴い、現在の「地方揮発油税」に名称変更されました 。
同時に地方道路譲与税も地方揮発油譲与税に改められ、使途制限が廃止されて一般財源化されました 。この改正により、地方自治体は道路整備以外の用途にも財源を活用できるようになりましたが、実際の配分基準は道路の延長・面積のままであり、多くが道路関連事業に使用されている実態があります 。
⚡ 制度変更の背景には、道路整備の必要性が一定程度充足された一方で、地方自治体の財政需要が多様化したことがあり、より柔軟な財源運用が求められたという事情があります 。

地方揮発油税の税収動向と将来の制度改正予定

地方揮発油税の税収は、ピーク時の2002年度3,034億円から2022年度2,209億円まで減少傾向が続いています 。この背景には、自動車の燃費向上、電気自動車の普及、人口減少による自動車保有台数の減少などがあります。
令和16年(2034年)4月1日からは、車体課税見直しの一環として税率改正が予定されており、揮発油税から地方揮発油税への税源移譲により地方揮発油税の本則税率が4,700円、当分の間税率が5,500円に引き上げられます 。同時に、都道府県自動車重量譲与税制度の創設も予定されています 。
参考)https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/589267_4865407_misc.pdf

 

📉 この制度改正により、地方自治体の社会インフラ財源が安定的に確保される見込みですが、ガソリン消費量の長期的減少トレンドは変わらず、将来的にはさらなる制度見直しが必要となる可能性があります 。
参考)https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/129.pdf