
特定財源とは、使途が特定の目的に限定された財源のことで、一般財源とは対照的な概念です。地方自治体の財政運営において、全体の歳入構造を理解する上で重要な要素となっています。
参考)https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000111747.pdf
特定財源は主に依存財源として位置づけられ、自治体が独自に調達するものではなく、国や県の意思により定められた額が交付されるという特徴があります。これらの財源は法律や条例により使途が明確に規定されており、指定された目的以外への流用は原則として認められていません。
参考)一般財源と特定財源とは? - リコメンド SaaS
特定財源は以下の主要カテゴリーに分類されます:
参考)「一般財源」「特定財源」ってなに?−わかるお役所用語解説29…
国庫支出金関連
地方債関連
その他特定財源
これらの財源は、それぞれ異なる法的根拠と配分基準を持ち、地方自治体の政策実施における重要な役割を果たしています。
国庫支出金は特定財源の中でも最も重要な構成要素の一つです。平成30年度の実績では、地方自治体全体で約16兆円の国庫支出金が交付されており、これは地方歳入総額の約17%を占めています。
参考)https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/special_account/fy2022/2022-sankoudetashuu.pdf
国庫負担金の主要分野
国庫補助金の特徴的な事例
国庫補助金は政策誘導機能を持ち、国の重点施策を地方レベルで推進する役割があります。例えば、地方創生関係交付金では、地域の創意工夫を活かした事業に対して重点的に配分されています。
参考)https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/special_account/fy2023/2023-sankoudetashuu.pdf
興味深い点として、近年の制度改正では森林環境譲与税が新設され、森林整備や木材利用促進等の財源として市町村に直接交付される仕組みが構築されました。これは従来の補助金制度とは異なる新しい特定財源の形態として注目されています。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000576562.pdf
地方債は特定財源の中でも特殊な性格を持つ財源で、将来世代との負担の公平性を図る機能があります。建設事業など社会資本整備の財源として活用され、その償還は長期間にわたって行われます。
地方債の主要種類
地方債の発行には国や都道府県の許可・協議が必要で、起債制限比率などの財政指標による管理が行われています。特に臨時財政対策債は、地方交付税の代替措置として発行される特殊な地方債で、その元利償還金は後年度の地方交付税で措置される仕組みとなっています。
参考)https://www.pref.ishikawa.lg.jp/zaisei/zaisei/aramasi2010-06/documents/1-4.pdf
また、地方債の発行可能額は「基準財政需要額」を基本として各自治体の財政力に応じて算定されており、健全な財政運営を維持するための制度設計がなされています。
参考)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/342399_53738119_misc.pdf
使用料・手数料は特定財源の中でも自主財源に分類される特殊な財源です。これらは地方自治体が提供するサービスの対価として徴収するもので、受益者負担の原則に基づいています。
参考)財政用語の説明
使用料の主要対象
手数料の代表例
使用料・手数料の設定においては、受益者負担の適正化と行政サービスの質の向上のバランスが重要な課題となっています。特に近年では、公の施設の利用料金について、民間委託や指定管理者制度の導入に伴い、料金設定の柔軟性が求められています。
参考)https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/zaimu/zaisei/files/05siryo_all.pdf
興味深い動向として、デジタル化の進展により電子申請手数料の新設や、キャッシュレス決済に対応した手数料体系の見直しが各自治体で進められています。これらの取り組みは行政サービスの利便性向上と収入確保の両面で効果を上げています。
目的税と譲与税は、特定財源の中でも制度的に特殊な位置づけを持つ財源です。これらは国レベルでの政策調整機能と地方財政の安定化機能を併せ持っています。
参考)https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2008pdf/20080905066.pdf
主要な目的税
地方譲与税の種類
特に注目すべきは特別法人事業税の創設です。これは令和元年度税制改正により、地方法人課税の税源偏在是正のため法人事業税の一部を分離して創設された国税で、特別法人事業譲与税として各都道府県に再配分される仕組みです。
この制度は、従来の地方法人特別税(平成20年度創設、令和元年度廃止)の後継制度として位置づけられ、譲与基準に人口を用いることで、より効果的な税源偏在是正を図っています。
また、森林環境譲与税は市町村の森林整備推進を目的とした新しい譲与税で、都市部と山間部の連携による森林保全の財源として期待されています。