都市計画税とは基礎知識から計算方法まで金融従事者向け

都市計画税とは基礎知識から計算方法まで金融従事者向け

都市計画税とは基本的仕組み

都市計画税の基本概要
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目的税の性格

都市計画事業や土地区画整理事業の財源として使途が限定されている税金

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課税対象区域

市街化区域内の土地と建物のみが対象で、市町村の条例で課税

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税率制限

制限税率0.3%以下で市町村が独自に設定可能

都市計画税とは何か

都市計画税は、都市計画法に基づく都市計画事業や土地区画整理法に基づく土地区画整理事業に要する費用に充てるため、市町村が課税する目的税です。目的税とは、税収の使途が特定の政策目的のために定められている税金であり、一般的な普通税とは異なる性格を持ちます。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_16.html

 

具体的には、道路・公園・下水道整備などの都市計画事業や土地区画整理事業の費用として使われ、市町村の都市開発や生活基盤整備に直接貢献する重要な財源となっています。2022年4月1日現在、全国1,719の市町村のうち644団体(約37%)が都市計画税を課税しており、日本全体で約3分の1の市町村が課税しています。
参考)名古屋市:都市計画税について(暮らしの情報)

 

都市計画税の課税対象と範囲

都市計画税の課税対象は、市街化区域内に所在する土地と家屋に限定されます。市街化区域とは、既に市街地を形成している区域や概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として都市計画法で定められた地域です。
参考)都市計画税 とは

 

固定資産税が全ての土地・家屋・償却資産を対象とするのに対し、都市計画税は償却資産を対象とせず、市街化区域内の不動産のみが課税対象となります。毎年1月1日現在で土地や家屋を所有している個人・法人が納税義務者となり、令和4年度では土地に2,234万人、家屋に2,814万人が都市計画税を納税しています。
参考)【基本を解説】固定資産税と都市計画税の違いと基礎知識|土地活…

 

都市計画税の歴史と変遷

都市計画税の歴史は大正8年(1919年)の都市計画法制定とともに始まります。当初は「都市計画特別税」として創設され、都市計画事業に必要な費用に充てる目的税として導入されました。その後昭和15年(1940年)に「都市計画税」と名称変更されました。
参考)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10367905_po_0969.pdf?contentNo=1

 

昭和25年のシャウプ勧告により都市計画税は一旦廃止され、水利地益税に吸収されましたが、水利地益税では十分な財源確保が困難だったため、昭和31年(1956年)に都市計画税が復活し現在に至ります。税率についても、創設当時は0.2%でしたが、昭和53年に現在の制限税率0.3%に引き上げられました。
参考)https://www.tsu-cc.ac.jp/centerhp/pdf/H27training2.pdf.pdf

 

都市計画税と固定資産税の違い

都市計画税と固定資産税には、税の性格・課税対象・税率など多くの相違点があります。最も重要な違いは税の種類で、固定資産税が使途の定められていない普通税であるのに対し、都市計画税は使途が限定された目的税です。
課税対象についても、固定資産税は土地・家屋・償却資産の全てを対象としますが、都市計画税は市街化区域内の土地・家屋のみが対象です。税率については、固定資産税が標準税率1.4%に対し、都市計画税は制限税率0.3%以下となっています。
参考)都市計画税とはどんな税金?固定資産税との違いをあわせて解説

 

また、納税に関しても違いがあり、固定資産税は全国すべての市町村で課税されますが、都市計画税は市町村の判断により条例で定めた場合のみ課税されます。東京23区内では特例的に東京都が都税として課税することになっています。
参考)固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

 

都市計画税の計算方法と税率

都市計画税の税額は、課税標準額固定資産税評価額)に税率を乗じて算出されます。基本的な計算式は「土地又は家屋の評価額×税率(0.3%以下)= 税額」となります。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を所有している場合、都市計画税は2,000万円×0.3%= 6万円となります。ただし、自治体によって税率は異なり、税収が安定している自治体では0.2%や0.18%などに設定している場合もあります。
参考)都市計画税の計算方法は?一戸建てやマンションの都市計画税がい…

 

建物については、基本的に固定資産税評価額がそのまま課税標準額となりますが、土地については住宅用地に対する軽減措置が適用される場合があります。また、固定資産税が免税点未満(土地30万円、家屋20万円)の場合は、都市計画税も課税されません。
参考)固定資産税・都市計画税(土地・家屋)