
狩猟者登録税とは、都道府県知事から狩猟者登録を受ける者に対して課税される地方税です 。この税は2004年(平成16年)に狩猟者登録税と入猟税が統合されて創設された狩猟税の前身でもあります 。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_21.html
現在では狩猟税として知られていますが、狩猟者が狩猟を行うための資格を得ることに対して課税される仕組みとなっています 。この税制度は鳥獣の保護や狩猟に関する費用に充てられる目的税として位置づけられており、野生鳥獣の適切な管理と狩猟の健全な発展を支える重要な財源となっています。
参考)狩猟税 - 総務部財政局税務課
税制上の特徴として、狩猟者の登録を受ける際に一括で納付する必要があり、登録の都度課税される仕組みとなっています 。これは狩猟という特殊な活動に対する社会的責任を明確化する意味合いも含まれています。
参考)狩猟税 - 宮城県公式ウェブサイト
狩猟者登録税(現在の狩猟税)の税率は、免許区分と県民税の所得割納付状況によって決定されます 。
第一種銃猟免許(装薬銃)に係る狩猟者の場合、県民税の所得割額の納付を要する者は年額16,500円、納付を要しない者は年額11,000円となります 。網猟免許またはわな猟免許の場合、県民税の所得割額の納付を要する者は8,200円、要しない者は5,500円です 。
参考)狩猟税 - 県税のページ
第二種銃猟免許(空気銃)については、県民税の所得割納付状況に関わらず一律5,500円と設定されています 。この税率体系は、使用する狩猟具の危険性や社会への影響度を考慮した合理的な設計となっています。
北海道では独自の税率設定があり、第一種銃猟免許の場合、県民税の所得割を納める人は16,500円、それ以外の人は11,000円となっています 。
狩猟者登録税の申告は、狩猟者の登録申請時に同時に行われます 。申告書類は各都道府県で定められた様式を使用し、狩猟者登録申請書と一体化されている場合が多いです 。
参考)狩猟税 - 福岡県庁ホームページ
必要書類には、狩猟者登録申請書、写真、県民税の所得割に関する証明書(軽減税率適用者)、収入証紙または現金が含まれます 。特に県民税の所得割を納付していない者は、市町村長発行の証明書の提出が必要です 。
申告と納付は狩猟者登録を受ける際に行い、現金納付または銀行口座振込により納めます 。一部の都道府県では収入証紙による納付も可能ですが、北海道では収入証紙による納付は認められておらず現金納付が必須です 。
手続きの流れとしては、農林事務所での狩猟者登録申請後、県税事務所で狩猟税の申告を行う自治体もあります 。
狩猟者登録税には複数の課税免除制度が設けられています 。令和11年3月31日までの期間限定措置として、対象鳥獣捕獲員として狩猟者登録を受ける場合は課税免除となります 。
認定鳥獣捕獲等事業者の従事者についても同様に課税免除が適用されます 。これらの免除制度は、公的な鳥獣管理業務に従事する狩猟者の負担軽減を目的としています。
有害鳥獣捕獲許可に基づく捕獲に従事した経験がある者については、税率が2分の1に軽減される制度もあります 。この軽減措置を受けるためには、狩猟者登録申請日前1年以内に鳥獣保護管理法第9条第1項の許可を受けて捕獲業務に従事した実績が必要です。
参考)狩猟税|滋賀県ホームページ
県民税の所得割を納付しない者についても軽減措置があり、同一生計配偶者や扶養親族に該当する農林水産業従事者は軽減対象となります 。
狩猟者登録税の収入は、鳥獣の保護及び管理に関する費用に充当される目的税として重要な役割を果たしています 。近年、野生鳥獣による農林業被害が深刻化する中、適切な鳥獣管理のための財源確保が課題となっています。
狩猟税収は鳥獣保護区の設定・管理、野生鳥獣の生息状況調査、狩猟者への安全教育、鳥獣被害対策事業などに活用されています 。特に有害鳥獣対策については、公的な捕獲を担う狩猟者の育成と支援に税収が役立てられています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_kensyu/attach/pdf/R5/r5kensyu-030.pdf
武器等製造法との関連では、狩猟に使用される銃器の適切な管理と製造業者の監督にも税収が活用されています 。これにより、狩猟の安全性確保と社会的信頼の維持が図られています。
参考)e-Gov 法令検索
また、狩猟者数の減少が問題となる中、税制面からの支援策として課税免除制度の拡充が行われており、公的な鳥獣管理に従事する狩猟者の確保に効果を上げています 。野生鳥獣対策の実効性を高めるため、狩猟者登録税制度は継続的な見直しと改善が行われています。