

あなたの「安全な分散投資」が金融危機の引き金になるかもしれません。
プロシクリカリティとは金融システムが景気循環を増幅させる性質です。好況時には資金供給が過剰になり、信用バブルが膨らみます。逆に不況期には信用が一気に引き締まり、実体経済に悪影響を及ぼします。つまり景気の波を大きくする要素です。
この構造は、金融政策の「ブレーキとアクセル」が機能しにくくなる点で危険です。中央銀行の利下げが遅れたり、金融機関が自己防衛的な姿勢に転じると、悪循環を加速させることもあります。結論はプロシクリカリティが経済の不安定性を高めるということです。
2008年のリーマンショックでは、バーゼルⅡのリスクウェイト規制により銀行が急激に資産圧縮を行いました。結果として融資残高が1年で10%減少し、実体経済に連鎖的なダメージを与えました。つまりリスクを減らす行動が新たなリスクを産んだのです。
また、コロナ禍の2020年では、IMFが各国政府に「逆サイクル資本バッファー」の活用を推奨しました。これは景気後退の際に銀行が融資を続けやすくするための制度です。要するに、金融安定の鍵はタイミングをずらした資本政策にあるということですね。
投資家のリスク許容度は相場環境で大きく変化します。たとえば日経平均が3万円を超えると、一般投資家の新規口座開設数が2倍近くに跳ね上がる統計もあります。これは「上昇相場に乗り遅れまい」という心理が働くためです。意外ですね。
しかし、市場全体がリスクを取りすぎた局面では、一度の下落で信用取引の追証が発生し、売りが連鎖します。つまり投資家の心理が価格変動の燃料になっているということです。この構造を理解しておけば、資産管理の精度も高まります。
金融当局は「マクロプルーデンス政策」と呼ばれる手法で、システム全体の安定を目指しています。代表例が逆サイクル資本バッファーです。好況期に余力を貯め、不況期に使う考え方ですね。
しかし、政策発動のタイミングが難しく、2023年にはイギリス銀行が「慎重すぎるバッファー運用でクレジット供給が低下した」と報告しました。つまり制度設計だけでなく実行の柔軟性が重要というわけです。
たとえば「株価が上がったから買う」という判断は、まさに個人版プロシクリカリティです。バックテストでは、上昇局面の後3カ月以内に買った投資家の平均損益率は▲6.2%でした。痛いですね。
プロシクリカリティを抑えるには、景気指標とボラティリティ指数を確認し、あえて「逆サイクル」でポジションを取る戦略が有効です。手堅いETF分散よりも、景気サイクル分析を交えたタイミング投資が功を奏する場面もあります。結論は冷静さが最大の武器です。
マクロプルーデンス政策の解説に関して詳しい分析は以下を参照ください。