後入先出法(LIFO)の仕組みと廃止理由・計算例を徹底解説

後入先出法(LIFO)の仕組みと廃止理由・計算例を徹底解説

後入先出法(LIFO)の仕組み・廃止理由・計算例を徹底解説

米国では後入先出法(LIFO)が今も合法的に使われており、インフレ時に法人税を数億円単位で圧縮できます。


この記事でわかること
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後入先出法(LIFO)の基本

「後から仕入れたものを先に出庫する」という考え方に基づく棚卸資産の評価方法。英語ではLast In First Outの略でLIFOと呼ばれます。

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日本では廃止、米国では継続

日本では2010年4月以降の事業年度から廃止されましたが、米国会計基準(US-GAAP)では現在も認められており、国際的に扱いが大きく異なります。

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廃止後に使える代替方法

現在の日本では、先入先出法・移動平均法・総平均法・個別法・売価還元法・最終仕入原価法の6つの方法から選択できます。


後入先出法(LIFO)とは何か・読み方と基本の考え方

後入先出法は「あといれさきだしほう」と読み、英語表記のLast In First Outの頭文字をとって「LIFO(ライフォ)」とも呼ばれます。棚卸資産の評価方法のひとつで、「後から仕入れた商品を先に出庫した」と仮定して期末の在庫金額や売上原価を計算する会計手法です。


実際の倉庫作業では古い商品から先に出すのが一般的です。ところがLIFOは、その逆を「帳簿上だけ」行います。つまり、実際に物がどう動いたかとは関係なく、計算上だけ「新しいものが先に売れた」と仮定するわけです。


この考え方がなぜ生まれたかというと、主にインフレ対策のためです。物価が上がり続ける局面では、新しく仕入れた高い仕入価格を売上原価に先に反映させることで、利益を過大に見せることなく、損益計算を安定させられるというメリットがありました。


感覚的にイメージしやすい例を挙げてみましょう。スーパーの陳列棚に商品が積み上げられているとします。先入先出法(FIFO)は棚の一番奥の古い商品から売れていくイメージです。一方のLIFOは、一番手前に置いた新しい商品から売れていくイメージになります。


つまり、LIFOが原則です。


































項目 後入先出法(LIFO) 先入先出法(FIFO)
出庫する順番 新しく仕入れたものから 古く仕入れたものから
期末在庫の評価 古い仕入価格で残る 新しい仕入価格で残る
インフレ時の売上原価 高め(利益が低くなる) 低め(利益が高くなる)
資産計上の実態反映 時価との乖離が大きくなる 時価に近い評価になる
日本での利用 2010年4月以降 廃止 現在も使用可能


後入先出法と先入先出法の違いをひとことで言えば、「出庫する順番の仮定が正反対」ということです。この順番の差が、インフレ・デフレ局面において損益計算に大きな影響をもたらします。どちらが正しいというわけではなく、かつては業種や経営戦略によって使い分けられていました。


以下のリンクは、日本公認会計士協会などが参照する棚卸資産評価基準の解説です。基本的な考え方の根拠として確認できます。


棚卸資産の評価方法に関する会計基準の詳細(金融庁)。
棚卸資産の評価に関する会計基準の改正について(金融庁)


後入先出法(LIFO)の具体的な計算方法・商品有高帳の書き方

後入先出法の計算は、商品有高帳を使って行うのが基本です。仕入れと払い出しのたびに、「後から入ったものを先に出す」という仮定に従って単価を記録していきます。


具体的な例を見てみましょう。A商品の動きが以下の通りだったとします。































日付 取引 数量 単価 金額
6月1日 仕入 10個 @100円 1,000円
6月2日 仕入 20個 @110円 2,200円
6月4日 売上(払出) 10個


6月4日に10個を払い出す際、後入先出法では「6月2日に仕入れた@110円の分から先に出す」と仮定します。


そのため、払出原価は 10個 × @110円 = 1,100円 となります。


期末(6月4日後)の在庫として残るのは次の通りです。



  • 6月2日仕入分の残り:10個 × @110円 = 1,100円

  • 6月1日仕入分:10個 × @100円 = 1,000円

  • 合計棚卸残高:2,100円


一方、同じ条件で先入先出法を使うとどうなるでしょうか? 先入先出法では「6月1日に仕入れた@100円の分から先に出す」と仮定します。払出原価は 10個 × @100円 = 1,000円 となり、100円の差が生まれます。この差額が積み重なると、損益計算書貸借対照表に表れる数字に大きな差を生み出します。


実務では計算の手間を減らすために商品有高帳を使いますが、Excel上で管理する企業も増えています。これは使えそうです。


なお、LIFOでは同じ日に複数回の入庫がある場合、その入庫の中でも「最後に仕入れたものから先に出す」という仮定を徹底します。単価が変わるたびに積み上がったレイヤーを頭の中で管理するイメージです。物理的なパレット(荷物台)の最上段から取り出していくイメージとも言われます。


以下のリンクでは、商品有高帳の記帳方法と各評価方法の実例が詳しく解説されています。実務で使いたい場合の参考として役立ちます。


棚卸資産の評価方法と商品有高帳についての参考(大和総研)。


後入先出法(LIFO)のメリット・デメリットとインフレへの影響

後入先出法の最大のメリットは、物価が激しく上昇するインフレ局面において、損益計算が実態に近い形で安定するという点です。


インフレ時には「現在の販売価格(高い)-古い仕入原価(安い)=大きな利益」という構図が先入先出法で生まれやすくなります。しかしLIFOでは「現在の販売価格(高い)-新しい仕入原価(高い)=適切な利益」となるため、利益が実態より過大に見えるのを防ぐ効果がありました。


インフレ抑制効果が原則です。


具体的な数字で見てみましょう。@500円で仕入れた商品が@2,000円に値上がりしたとします。先入先出法では売上原価に500円が