

あなたが65歳まで待つと、実は厚生年金基金分だけで生涯200万円以上損するケースがあります。
厚生年金基金と聞くと、「とりあえず65歳から請求するもの」とイメージしている人が多いはずです。ですが、制度の土台にあるのはあくまで国の老齢厚生年金であり、その支給開始年齢は原則65歳、生涯にわたって受け取る仕組みです。 biz.moneyforward(https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/57244/)
さらにややこしいのが、1961年4月1日以前生まれの男性・1966年4月1日以前生まれの女性などには「特別支給の老齢厚生年金」があり、60~64歳から報酬比例部分などを受け取れるという経過措置が残っている点です。 これは言い換えると、同じ60歳でも「受け取れる人」と「まだ待たされる人」が生年月日で分かれるということです。つまり生年月日が条件です。 kyowa-kirin-kikin.or(https://www.kyowa-kirin-kikin.or.jp/scheme/e_pension.html)
一方で、かつて加入していた厚生年金基金が解散して、企業年金連合会に「代行部分」や加算部分が移っている場合、その老齢年金をいつから受給できるかは、国の老齢厚生年金の裁定を受けていることが前提になります。 企業年金連合会自身も、国の制度改正に合わせて支給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げており、60歳ぴったりで請求できるケースはかなり限定的です。 pfa.or(https://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkinkyufu/nenkinkyuufu03.html)
このように、「基金だから早くもらえる」という思い込みは危険です。つまり早期受給が当然ではないのです。
老齢基礎年金については、10年以上の受給資格期間があり、原則65歳から支給されるものの、希望により60~65歳の間での繰上げ、66~75歳の間での繰下げが認められています。 ただし、厚生年金基金の年金はこの繰上げ・繰下げに連動して増減することがあり、単純に「早くもらえるなら得」という発想では済まないのが実情です。 nenkin.go(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html)
厚生年金基金分も含めて、まずは「原則65歳・例外60~64歳」という大枠を押さえることが出発点です。結論は制度ごとの年齢を切り分けて見ることです。
「どうせ長くはもらえないから、老齢年金は60歳から繰上げた方が得だ」と考える人は少なくありません。ところが、日本年金機構が説明しているように、老齢基礎年金・老齢厚生年金を60歳から繰上げると、繰上げた月数に応じて年金額が一生涯にわたって減額され、その減額率は一生変わらない仕組みです。 例えば5年(60か月)繰上げると、将来にわたってかなり大きなマイナスが固定されます。繰上げは生涯減額ということですね。 nenkin.go(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html)
問題はここからです。繰上げを選ぶと、厚生年金基金から支給される年金も減額されるケースがあると、同じく日本年金機構が注意喚起しています。 国の年金だけでなく、企業年金連合会や残存している基金の給付にも影響し、結果としてトータルの生涯受取額が200万円単位で減ることも十分考えられます。例えば、基金由来の年金が年額10万円で20年間受給できると仮定すると、その部分だけで200万円です。 smilenenkin(https://smilenenkin.com/db01.html)
60歳から前倒しで受け取れる金額と、65歳以降の減額後の年金額を比較すると、平均寿命近くまで生きるケースでは「60歳繰上げがトータルで損」になる試算が多くなります。つまり長生き前提だと繰上げは不利になりやすいです。
老後資金に余裕があり、長寿リスクに備えたい人にとっては、繰下げは有力な選択肢です。この場合は慎重にシミュレーションしたいところですね。
厚生年金基金はすでに多くが解散しており、その代行部分の記録と原資は企業年金連合会に移換されています。 このため、昔の会社の「厚生年金基金」に加入していた人でも、現在は企業年金連合会から老齢年金を受け取ることになるケースが増えています。これは制度の歴史的な流れということですね。 pfa.or(https://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkinkyufu/nenkinkyuufu03.html)
企業年金連合会の老齢年金(代行年金)を受け取るには、国の老齢厚生年金の裁定を受けていることが前提条件とされており、「国側の請求手続き」が遅れると、企業年金連合会側の年金受給開始も同時に遅れてしまいます。 公式サイトでも、老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げ(60歳→65歳)に合わせて、代行年金の支給開始年齢も段階的に65歳へ引き上げていると明記されています。 pfa.or(https://www.pfa.or.jp/nenkin/nenkinkyufu/nenkinkyuufu03.html)
また、年金を受ける年齢に達していない待期者については、60歳到達時の基金由来の年金額と、後日分配金確定時の年金額を比較して高い方を採用する仕組みが示されており、年額10万円×20年と13万円×20年のように、同じ元本でも受け取り方次第で総額が大きく変わる例が紹介されています。 smilenenkin(https://smilenenkin.com/db01.html)
このように、企業年金連合会や解散基金の取り扱いは、国の年金手続きと合わせて考えないと、思わぬ請求漏れや受取額の減少につながります。つまり連動性を理解することが大切です。
実務上のリスクとして侮れないのが、65歳時点の手続き漏れです。日本年金機構は、特別支給の老齢厚生年金を受けていた人に対し、65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれは前月)に年金請求書を送付し、誕生月末までに提出するよう案内しています。 これが遅れると、年金の支払いが一時保留されることがあると明記されており、実質的には「請求を忘れた期間分は後からまとめて受け取れるが、その間は無収入になる」という資金繰りリスクを抱えることになります。 nenkin.go(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20140421-26.html)
厚生年金基金由来の老齢年金を確実に受け取るためにも、「国の65歳時点の裁定手続き」をカレンダーアプリなどで事前にリマインドしておくのが現実的な対策です。年金手続きの管理アプリを1つ決めておくと安心ですね。
ここまで見てきたように、「何歳から請求するのが得か」は、老齢基礎年金・老齢厚生年金・厚生年金基金(企業年金連合会含む)の三つ巴で考える必要があります。そこで有効なのが、自分自身の前提条件を整理したうえで、ざっくりとしたキャッシュフロー表をつくるというアプローチです。これは家計版の事業計画書ということですね。
具体的には、以下のステップで進めます。
- 60~75歳までの各年齢について、受け取れる可能性のある年金(基礎・厚生・基金)の年額を、繰上げ・繰下げ別に表にする
- それぞれのケースで「80歳まで・85歳まで・90歳まで」の累計受取額を計算する
- 手持ち資産や就労予定も加味し、どのケースが「生活防衛」と「長寿リスク対策」のバランスが良いかを比較する
例えば、基金由来の年金が年額15万円、国の老齢年金が合計年額150万円と仮定すると、10年で1650万円、20年で3300万円という規模になります。東京ドーム約0.3個分の建設費に相当する金額です。これだけの資金が「繰上げによる減額」や「請求漏れ」で目減りする可能性があると考えると、Excelや家計簿アプリでのシミュレーションに1~2時間かける価値は十分にあります。時間投資としては悪くありません。
もちろん、すべてを自力で計算する必要はありません。金融機関やFP事務所の中には、日本年金機構の情報や企業年金連合会のデータを踏まえて、繰上げ・繰下げや受給開始年齢別のシミュレーションを行うサービスを提供しているところもあります。 その際は、「厚生年金基金由来の企業年金も含めて一体で試算してほしい」と一言添えるのがポイントです。繰上げ・繰下げと基金減額の関係を見落とさないためですね。 jili.or(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1132.html)
自分の生年月日・加入歴・退職時期によって最適解は変わりますが、「65歳を基準に、60歳・70歳をどう組み合わせるか」という視点で考えると整理しやすくなります。結論はケースごとの比較が必須です。
厚生年金・基金制度の基本的な仕組みや特別支給の条件を確認するには、生命保険文化センターの解説が参考になります。
老齢厚生年金の受給開始年齢と特別支給に関する解説(生命保険文化センター)
厚生年金基金が解散して企業年金連合会に移換されたケースでの受給開始年齢や繰上げ・60歳選択のルールは、連合会の公式ページが詳しいです。
いつから老齢年金が受給できるのか(企業年金連合会)
繰上げ受給を検討する際の減額率や、厚生年金基金への影響などの注意点は、日本年金機構のページで詳細に説明されています。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)
65歳時点の手続きの流れや、請求が遅れた場合の扱いは、こちらの公式解説が参考になります。
65歳時の年金の手続き(日本年金機構)
厚生年金基金加入者が老齢厚生年金を繰下げるときの、基金側の繰下げ待機の扱いなどは、社労士による解説が具体的です。